私だけの王子様を待ち望んでいるのですが、問題だらけで困っています

珠宮さくら

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セレスティノは、兄のクラウディオとその妻のマルティーナが自分たちの結婚式で大暴れしたことで激怒していた。


(この方が怒るの初めて見たわ)


ルシアは、そんな場違いなことを思ってしまっていたが、表情は悲しげな顔をしていた。せっかくの結婚式をこんな形でぶち壊されたのもショックだったが、散々な目に合うのに慣れすぎてしまっているせいで、どうにも怒る気力がわかなかったのだ。

だが、セレスティノの怒りっぷりは凄まじいものがあったが、それを聞いて問題行動ばかりの二人は……。


「そんなに怒ることではないだろ」
「そうよ。これが、私たちの愛情表情なのよ」


周りによく言われ続けた言葉を口にしたのだ。

そんな言葉で、この場を言い逃れられると思っていることに腹立たないわけがない。


(兄が余計な一言を言ったのがきっかけなのよね。なのにお兄様は、知らん顔してるし、最低すぎるわ)


ルシアは、そんなことを思って顔を伏せた。周りは、ついに新婦が泣き始めたと思ったようだ。

セレスティノは、そんなルシアの姿が視界に映って、兄たちを怒鳴らずにはいられなくなったようだ。


「どこが、愛情表情だ! 今まで、散々恥をかかせてきただけで飽き足らず、私たちの大事な日すら祝えないような兄なんていらない!!」
「何だと!?」
「そうだな。こんなのを我が家の跡継ぎのままにしておいたのがいけなかった。お前は、今日で跡継ぎから外す。好きなように愛情表現をし続ければいい。勘当する」
「「っ!?」」


セレスティノの両親の堪忍袋の緒が切れることになったのだ。

マルティーナの方も、義理の弟の結婚式を台無しにして、暴れ回ったことがわかると両親から勘当されることになった。

どちらも、帰る家がなくなってしまい、すぐにでも離婚するかと思いきやお互いを利用しあって、図太く生活することにしたようだ。








(まさか、仕返しの仕返しをされることになるなんてね。まぁ、あれはいい子がすることではなかったものね。そう、これは自業自得よね。それにしても、お兄様はすっかり残念に仕上がってしまったものだわ)


ルシアは、そんなことを思って苦笑しながら、反省することになった。

それこそ、双方の両親や親戚、友人知人たちはそんなルシアたちにみんなが心から同情してくれた。

特に母親と義母となるセレスティノの母親は、息子が義娘となるルシアの結婚式を台無しにしたことに心を痛めてくれて、嫁ぐことになってセレスティノが急遽跡継ぎとなった家に住むようになってからも、ルシアのことを何かと気にかけてくれるようになったことは、ありがたかった。

しかも、結婚式を仕切り直すことになった時も、たくさんの人が二人を気にかけてくれることになって、それは盛大な式になったのだ。

その式で、ルシアの兄であるアドルフィトは、ようやく運命の人に出会うことになったのだ。

ルシアが隣国で仲良くなった令嬢で、彼女は結婚を約束していた人が浮気しいることがわかり、婚約を解消したらしく、一度目の招待の時は都合が悪いと出席できなかったが、仕切り直した結婚式には来てくれたのだ。

そこで、アドルフィトと彼女は意気投合したらしく、あっという間に婚約して、周りがびっくりするほどの早さで結婚することになったのだ。

アドルフィトの駄目っぷりは、妻となった夫人がしっかりと手綱を握ったことで、ものの見事なまでに修正されることになって、見違えるほどになってルシアはそれにホッとすることになった。


(世の中わからないものね)


ルシアは、彼女の義理の姉妹になれたことを喜び、兄たちが幸せそうにしているのを我が事のように見ていた。やっと昔の大好きで尊敬してやまない兄が戻って来てくれたようで、ルシアは嬉しくて仕方がなかった。


(いい子にしてばかりではなかったけれど、私だけの王子様を見つけられて、最愛の人のお姫様にもなれた。なんて、素敵な人生かしらね)


それから、ルシアは長生きをした。愛してやまない人と家族を増やして、孫たちに自分が前世で読み聞かせてもらっていた絵本を自分で描いて話して聞かせて、笑顔溢れる生涯を謳歌して、前世で思い残したようなことがたい一生を終えることができたのだった。


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