私の欲する愛を独占している双子に嫉妬して入れ替わったら、妹への恨み辛みを一身に受けましたが、欲しかったものは手にできました

珠宮さくら

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隣国にいる叔母のイライザが、従兄のアリスターと一緒になって、侯爵家にやって来た。

その頃には、エレインは着ていたのがユーフェミアのドレスだったことで、ユーフェミアとして階段から落ちて目が覚めてから、ずっと扱われていた。

そして、ユーフェミアの方は元王女である公爵夫人からもらったドレスを着ていたから、エレインだと思われていた。

その時を狙ったわけではないが、相手のドレスを着たくなったのは、双子ならではだったのかもしれない。


「全く、ユーフェミアも怪我したというのにエレインの見舞いをして、こっちに顔を見せないつもりかしらね」
「……」


母は、ユーフェミアだと思っているからこそ、ずっと側にいた。

見た目で判断していると思っていたが、似すぎていたので着ているもので判断したようだ。

そう、誰も彼も気づいていない。それに複雑なものがあった。

ユーフェミアが、あのドレスを着ていてくれたから、余計に誤解されることになったのだ。そして、ここまで気づかれないとも思わなかった。

それと頭を思いっきり打ち付けたようで、ユーフェミア、いや、もうあちらがエレインでいい。ややこしすぎる。

エレインの方は、遅れて目が覚めて自分がエレインなのだと言われて、そうなのだとすんなり思ったようだ。それは、エレインではないのだが、今はユーフェミアとなった双子の片割れとしては、嬉しい誤算でしかない。

記憶がある方は、叔母と従兄が偏っているところが母にそっくりだと思っていた。

あちらも、自分に似ているからエレインのことを心配してここまで来たのだ。従兄も、叔母に似ているから、エレインの方が好きなのは無理ないが、従兄に何かした覚えは特にない。叔母に感化されているかのように覚えている限り、前からこんな感じだった。

今はユーフェミアとなって、エレインしか姪も従妹もいないかのようにしてエレインの部屋から、こちらに来る気配がない。

そのせいで、母の愚痴が酷いかと言えば、ユーフェミアが気にしていないかと気にかけてくれているだけで、義姉たちの悪口をあまり言うことはなかった。

いつもは、ユーフェミアが酷かった。ずるいと騒ぐせいで、母なりに宥めていただけのように思えた。

しばらくして、ユーフェミアの部屋にも2人は来た。叔父にでも言われて寄ることにしたのかもしれない。


「……エレインよりも、大したことなさそうね」
「……」


それを聞いて、ユーフェミアだと思われている方は……。


(お見舞いに来てくれたのよね……?)


思わずそんなことを思ってしまった。その目は、エレインの時に見たものと全然違っていた。


(この目は、エレインのことを見ていたお母様の目にそっくりだわ) 


そんなことをいきなり言うのに母が、隣でムッとした顔をしているのが見えた。手を骨折して足を捻挫しているユーフェミアを見て、そんなことを言うのだから怒らないわけがない。

エレインと思われている方は、頭を強く打っただけで、手足のどこも怪我してはいない。記憶がとんだだけだ。常識知らずなところがあるから、そんな記憶がなくなっても大した損害はないはずだ。

この時のユーフェミアとなった片割れが、そんなことを思っていたのは、一重に母の愛情を独占していたことを色々と思っていたからであった。

でも、次の言葉というか。叔母の言葉を聞くうちに段々と独占していた愛情が、違っていた気がしてきた。


「どうせ、大げさにしているだけでしょ」
「……」


そんな嫌味なことを叔母から言われたことがなかったが、その言い方は母にそっくりだった。

それに思わず眉を顰めそうになってしまったが、この叔母と従兄もまたどちらが本物のエレインなのかがわからないようだ。


(なんだ。この人たちも、そうなんだわ)


ずっと側にいた母があっさりと間違えたのだ。たまにしか会わないこの人たちにはわからなくても仕方がないのかもしれないが、一気に滅多に会えないだけでなく、この2人のことを元々あまり好きではなかったのが、あまりがつかないものに変わるのは、すぐだった。

そんなようなこと言って、どう見てもお見舞いなんて言えることをせずにエレインが、ここにいたままではまた殺されかけるのではないかと叔母が父に話して、父もそれを考えていたのか。あっさりとあちらのエレインを叔母夫妻の養子にすることにした。

そのあっさりとエレインの今後の安全のために動いたことに本物のエレインの方は複雑な思いしか抱けなかった。


(入れ替わった途端にこんなにもあっさりとこの家を出れるのね。何か、本当に馬鹿みたいだわ)


そんな風に思って、ぽつりと呟いた。


「エレインだって、ずるいところあるじゃない」


ユーフェミアとなって、よくわかったのは、ずるいと言う理由だった。それが、上手く伝えられなかっただけに思えたら、何とも言えない気持ちになってしまった。

その後、ユーフェミアとなって更にどんな環境にいたかを思い知ることになってからは、ストレスも溜まってわがままを言いたくなるのもわからなくはないと思うことになるとは、この時は思いもしなかった。

周りが、偏りすぎたのを正そうとして、すっかり偏りきってしまうとは誰も思わず、それをおかしいとおもわない方向に染まるとは思うわけがない。


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