欲しいものを手に入れようと必死になって足掻いて父と兄を巻き込みましたが、一番欲しいと思っていたものがそもそも違っていたようです

珠宮さくら

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ルイーザは、留学から戻って大人しくしていた。

それこそ、学園を卒業したら、修道院にでも行こうと思っていた。クレールのことで、とんでもないものを欲しがってしまったツケをギュスターヴと婚約して、上手く厄介な人たちを居なくなるように仕向けることに成功しても、そんなことを思っていた。


「ルイーザ。お帰りなさい」
「アンリエットお義姉様。ただいま戻りました」
「ルイーザに渡したいものがあるのよ」
「?」
「気に入ってくれるといいのだけど」


箱に入ったそれを受け取ってルイーザは、それを開けた。


「っ、」
「バスティアン様や侯爵様と話して、あなたの髪に似合うように仕上げてもらったのだけど、どうかしら?」
「っ、とても素敵です」
「気に入った?」
「はい。とても、嬉しいです」


ルイーザは、母の形見が自分好みになって戻ってきたことに泣いて喜んだ。


「そんなに泣かないで。私、あなたを泣かせてばかりいるわ」
「そんなことは」
「ねぇ、ルイーザ。もう、十分よ」


なぜか、アンリエットにはルイーザが何をしようとしているかが筒抜けになっているように思えた。


「厄介なのはいなくなったわ」
「……あの子は、実母のところに?」
「それが、再婚しているみたいよ」
「え? 再婚??」


ルイーザは、全く知らなかった。どうやら、クレールにもそれを知らせてなかったようだ。

アンリエットは、大体のことを調べさせてくれて、それを聞いてルイーザは遠い目をしてしまった。


「えっと、元婚約者は?」
「弟に会いに行ったみたいだけど、行き違ったみたいよ。よほど、日ごろの行いが悪かったみたいね」


ギュスターヴの方も、ルイーザが思っていた以上に凄い方向に向かったようだ。


「勘当されたんですね」
「遅かれ早かれそうなっていたことよ」
「……」


アンリエットの言葉にルイーザは、何とも言えない顔をした。留学している間にそれぞれが遠いところに行っていたのにはびっくりしてしまった。

チラッとアンリエットを見ると……。


「何もしていないわ。2人共、似たような思考をしていたけど、どっちも自分でどうにかしようとしたのよ」


それは、何もすることがなくてつまらなそうにも見えた。


「おや? アンリエットとルイーザ。女子会かな?」
「ふふっ。えぇ、でも、これから留学先のことをルイーザに聞こうと思っているんですよ。バスティアン様も、お聞きになりませんか?」
「それは、楽しそうだな」


ルイーザは、これまでの話を女子会だと言うアンリエットに苦笑しそうになったが、兄が嬉しそうに混ざって来たので、留学先のことを話すことにした。

それは、クレールがいた頃には考えられない和やかなものだった。


「楽しそうだな。私も混じっていいかな?」


父であるマンディアルグ侯爵が、娘が留学から戻ったからと早めに帰って来たが、アンリエットとバスティアンがルイーザと楽しげに話していて、それでも遅かったかと言う顔をしていた。


「父上。早いですね」
「早めに切り上げた」
「大丈夫なんですか?」
「問題ないさ。それより、ルイーザの話の方が重要案件だ」


キリッとした顔で、そんなことを言う父にルイーザとバスティアンは呆れ、アンリエットは微笑ましそうに笑っていた。



(あぁ、この光景だわ)


ルイーザは、それを見ていいなと思っていた。









そこから、ルイーザがオーギュストと婚約することになるまで、そんなに時間はかからなかった。

ルイーザとオーギュストは、周りが良縁だとばかりに外堀を埋めていっていて気づけば、婚約することになっていた。


「えっと」
「埋められましたね」
「え?」


オーギュストは、ルイーザの言葉の意味するところがわからなかったようだ。


「外堀です。綺麗に埋められてしまいました」
「あぁ、そうですね。確かに。みんな、そういうの上手ですよね。私は、苦手ですけど」


どうにも人を思い通りにするのは苦手だと言ったが、自分がそうされても怒ることもないのが、彼だった。


「みんないい人たちで、優しい人たちばかりですね」
「……そうですね」


ルイーザは、しみじみと言うオーギュストに余計なことをしたと欠片も思っていない姿にこの人と婚約してよかったと思えてならなかった。


「話はかわりますが、その髪飾りとても素敵ですね」
「っ、」
「ルイーザによく似合っています」
「ありがとうございます」
「はぁ」
「あの……?」


ため息をつくのにルイーザは首を傾げた。


「私には、それ以上のものなんて、選べそうもないです」
「……」


それにがっくりとうなだれているのだと思うと何とも言えない顔をしてしまった。

誰が贈ったのかがオーギュストにはわかっているように見えた。いや、ちゃんとわかっていなくとも、大事なものだとわかって、そう言ったようだ。


「オーギュスト様。でしたら、一緒に選んでください」
「……それが良さそうですね。私に内緒でプレゼントを選ぶのは無理そうだとよくわかりました」


こうして、ルイーザは一番自分にあった婚約者を得ることになり、周りもルイーザのことを大事にしてくれる人たちに見守られながら、幸せいっぱいの人生を歩み続けることができたのだった。


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