完璧すぎる王太子に愛されていると思っていたら、自称聖女が現れて私の人生が狂わされましたが、最愛の人との再会で軌道修正を始めたようです

珠宮さくら

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エウリュディケには、兄がいた。兄の名前は、ヘシュキオス。兄もまた恵まれた環境で生まれ育った1人と周りに思われていた。彼は、妹が婚約した後に侯爵家の令嬢と婚約したのだが、この2人も並ぶと見目麗しく、人々はエウリュディケたちのように羨ましそうに彼らを見ては、そこかしこで話題にのぼるような人たちだった。

エウリュディケのように話題にのぼるのを面倒だと思うことなく、むしろ話題にのぼってナンボのものと思うような性格をしていたようだが、その性格の悪さが家族以外にはバレてはいなかったようだ。

いや、婚約者の令嬢には中身が見た目ほどではないとバレている気がするが、上手いこと隠している気がする。ヘシュキオスのためにしているというより、残念な人と婚約していることを隠したいがためにして必死になってしている気がしてならない。


(まぁ、公爵家の次期当主だし、顔はいいから残念なところを隠せば、周りからは羨ましがられるのはわかるけど。でも、これから先、ずっと隠し続ける必要があることを理解しているのかしらね。私なら、好きでもない人のためにそんなことし続けるのは勘弁だわ。お兄様のフォローなんてしていられないわ)


エウリュディケは、兄をフォローし続ける婚約者の令嬢にそんなことを思っていた。中身が残念なことを昔は、エウリュディケが隠していた。兄が好きだからではなくて自分まで笑い者にされるのを回避するために頑張っていたに他ならない。

だが、そんな兄が婚約してからは婚約者の令嬢に丸投げしていた。多分、婚約してから残念なところが思っていたより酷いことを知ることになったはずだが、エウリュディケに愚痴ることはなかった。

いや、愚痴りたかったのかも知れないが、エウリュディケの隣にはフォルミオンが高確率でいるのとそうでなければ他の令嬢がいるせいで、愚痴ることができなかったのだろう。フォルミオンと他の令嬢がいない時は、ヘシュキオスがいるのだ。兄のことをボロクソに言いたくても言えるはずがない。

それでも、見た目だけが兄はいいのだ。それがなかったら、今の婚約者は兄を選んではいなかったと思う。

エウリュディケたちの両親は、そこまで見目がよくないため、子供たちは一体誰に似ているのやらと言われているほどだ。両親はそれを聞こえないふりしていた。聞こえるのは都合のいいことばかりだった。

それは、ヘシュキオスにも受け継がれているようだ。どんなに見た目が良くても、中身が残念であろうとも、自分で自分の残念さを隠し通せないところがあることにすら気づいていなかった。それを妹がしていて、婚約者が今度は引き継いで必死にしていることにも、全く気づいていないようだ。いや、気づいているのかも知れないが、認めたくないのかも知れない。

そういう人たちに囲まれて育ったこともあり、幼なじみがいなければ、エウリュディケはそれを何とも思わない令嬢に育っていたことは間違いない。

兄たちは、いい噂だけで話題になったことはない。妬んだり、嫉妬したりする者たちが嫌味なことを言っていることの方が多かったと思うが、本人たちの周りではいい噂ばかりをさえずる者しかいなかったようだ。

ごくたまに聞きたくもない耳障りなことを耳にした兄は、両親たちよりも手に負えないところがあった。その酷さについては、ヘシュキオスの婚約者の令嬢もまだ知らないようだ。

これを知っていたら、流石に婚約し続けるのも改めて考え直していた気がする。だが、それをエウリュディケが彼女に話すことはなかった。

話したら、再びエウリュディケが兄のフォローを徹底してやらなければならなくなるのだ。それだけはもうやりたくないと思っていることもあり、兄の婚約者の令嬢と2人っきりで話す機会がないようにすることだけは抜かりはなかった。


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