婚約者の私には何も買ってはくれないのに妹に好きな物を買い与えるのは酷すぎます。婚約破棄になって清々しているので付き纏わないで

珠宮さくら

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(憂鬱だわ。今日も、どうせ着いて来る気よね。どうにかならないものかしら)


ゼフィリーヌは、婚約者のシザンサスに会うことになっているのだが、数日前から既に気が滅入っていた。

その理由が、シザンサスの妹のルティエだ。兄妹の仲がいいのは悪いことではないのだが、出掛けると知るや一緒に連れて行ってくれと必ずわがままを言って来るのだ。

そして、着いて来たルティエが大人しくしていることなど一度としてなかった。ルティエは兄に好きな物を買ってもらうのが出掛けた時の恒例だと宣い、シザンサスもそれを咎めることなく、好きにさせているのだ。

彼らの両親は娘がシザンサスとゼフィリーヌと一緒に出掛けていることも知らないようで、毎回着いて回っていることも聞かされていないようだ。

それこそ、ゼフィリーヌがシザンサスにわがままを言って買わせていると思っていて、いくら何でも度が過ぎるから控えさせてほしいとゼフィリーヌの母親にお茶会で会った時にシザンサスの母親が、散々言ったらしく、機嫌を悪くした母にゼフィリーヌは説教されてしまったのだ。

よほど、腹正しい思いをしたのか母は、ゼフィリーヌの話を聞こうとしてくれずに父が帰宅して間に入ってくれて、ようやく事の詳細を話せたほどだ。


(とばっちりもいいところよね。あんなに怒ってるのを見たこともなかったけど。話しすら聞いてくれなかったのも初めてだったわ。よほど余裕がなかったのでしょうけど、娘のことを信用してくれても良いところよね)


ゼフィリーヌは、母とのことを思い出して眉を顰めていた。


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