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しおりを挟む学園でシュリティたちに話をする前、家族が揃って集まった時にナーラは、こんなことを言った。
「薄情な連中ね。安心して、お母様。私は何があっても、お母様の味方よ」
「ナーラ。ありがとう」
それを聞いていたナーラの兄のラムチャンドラ・トゥリベティと妹のレーシュミ・トゥリベティとそれと父親は、信じられない顔をしてナーラを見ていた。
この時、全部を説明されたはずなのだが、ナーラは浮気していたのは父がしていたと思い込んでいた。そもそも、浮気という単語だけで、オトコがするものとナーラは偏見まみれに思ってたせいだ。
その勘違いのせいで、この後で何が起こるのかを全く予想していなかったのは、ナーラだけではなかったが、母親は娘が1人でも味方してくれると聞いて嬉しそうにした。
浮気と世間は誤解しているが、純愛だとわかってくれる者はいるとばかりに母親は、夫をふふんという顔をして見た。
それに夫であり、ナーラの父親はため息をついた。
「そこまで言うなら、ナーラの親権はそちらが持てばいい。こちらの2人は私が持つ」
そこから、また色々話し合いが続いた。それこそ、慰謝料を払うのが誰かというのもなされたが、ナーラは全く聞いていなかった。一番重要なことをその日、ずっと話していたというのにそれを全く聞いていなかったのだ。肝心な部分をスルーしたのは、ナーラの自業自得でしかない。聞いていないなんてことで、済まされないことになることを身をもって知ることになるとは、この時のナーラは思いもしなかった。
更にトゥリベティ伯爵家の面々も聞いていないとは思わずに今後のことを話し合った。でも、その間のナーラの頭の中は今後の予定でいっぱいになっていた。
「あいつ、何をニヤついてるんだ?」
「どうせ、ろくでもないことしか考えていないわよ。お兄様、何も言わない方がいいわ」
「だが、あの顔は、どう見ても聞いてないだろ」
「だから? 向こうは、あの人について行くって決めたんだもの。今後は、他人よ」
ラムチャンドラは、レーシュミの言葉にそれは、そうだろうがと言う顔をした。今でさえ、どうにかすれば赤の他人になれると言うのだ。
それこそ、どちらかといえば、レーシュミの方が姉のようだ。ラムチャンドラよりも年上なのではないかと思わせることをよくしていた。
「お兄様。しっかりしてよ。あの人がいなくなってくれなきゃ、まともな婚約者もできないのよ」
「……それは、そうだが」
「また、解消されたくないでしょ?」
「……」
「私は、絶対に嫌よ。あの人のせいで、引っ掻き回されるの」
レーシュミは婚約したくとも、ナーラのせいでしぶられているのを知っていた。ラムチャンドラは、婚約したのにナーラがぶち壊して婚約が解消されることになったのは、最近のことだ。
それなのに当の本人は、そんなことをしたという気がまるでない。何をしたかもわかっていない。そんなことをレーシュミがされたら、腹が立って怒鳴り散らしているところだが、ラムチャンドラは仕方がないとばかりにしていた。
それにレーシュミは、イライラしていた。解消になったというのに仕方がないとばかりにしていることに腹が立って仕方がなかった。ナーラは、いつものことでも、兄がこんなに情けないとは思わなかったのだ。
「解消になった理由がいなくなったら、やり直せるかもしれないとか。考えないの?」
「っ!?」
「もう、しっかりしてよ」
「レーシュミ? 何か、聞いておきたいことでもあるのか?」
兄に色々と言っていたレーシュミは父に言われて、にっこりと笑顔になった。
「いつ、お2人は出て行くことになるんですか?」
兄を焚き付けているのに忙しくしていたが、しっかり聞いていたかと言うと適当に聞いていた。咄嗟に聞かれて、そんなことを聞いた。
「そんなにすぐには……」
「手続きが済み次第、出て行ってもらう」
「そんな」
「早い方が良いのではないか?」
怪訝な顔をして夫を見ていたが、再婚するのは早い方がいいと言うとナーラが、眉を顰めて何か言いそうになるのを見てレーシュミは、すかさず他のことを質問した。
どう聞いていても、ナーラが勘違いしているのにレーシュミは気づいていたため、ここで台無しにされたくなくて姉が余計なことを言わないようにせるのに必死になって、とても疲れることになった。
兄はともかく、父親はレーシュミが必死になっている理由がわかっていて、上手くやるものだと感心されていても、全く嬉しくなかった。
兄と姉と母親は、レーシュミが何を頑張っているかにあまり気づいていなかった。
まぁ、そんな事があったのだが、ナーラは妹の頑張りが全くわからないまま、ナーラは学園でシュリティたちに色々言っていたかと思えば、最後にはこんなことを言い始めた。
「お母様について行くことにしたから、お別れね」
「……どういうこと?」
母方の祖父母のいる隣国に母と行くことになると言うのに聞いているシュリティたちは首を傾げずにはいられなかった。
浮気をしていたのを父親の方だと思っている気はしていたが、そこからなぜお別れなんて言葉が出るのかがわからなかった。
「ナーラ。あなた、おば様の方についたのよね?」
「? そうだけど??」
シュリティだけでなく、それを聞いていた令嬢たちは首を傾げた。変に関わると大変なことになると距離を置こうとしていたが、どうにも変だった。
そのため、シュリティだけでなくて、他の令嬢がナーラにあれこれ聞いて発覚したのは、とんでもない勘違いが起こっていることだった。
よくよく聞くと浮気していたのは、父親だと思っていることがはっきりと伺えた。そのため、他の兄と妹が父親を選んだことに憤慨していた。
それにシュリティだけでなく、他の令嬢たちも顔を見合わせて何とも言えない顔をした。
家族で話し合うよりも、以前から色々と噂にもなっているのにナーラは全く知らないのがよくわかった。
「……ねぇ、あなたお母様に実家に戻ると言われているの?」
「シュリティ。そんなことを一々確認する必要なんてないでしょ? 浮気していたのは、あっちなんだもの。お母様が実家に戻るのなんて、普通のことじゃない」
「「「……」」」
浮気したのが、これだけ広まっているのに実家に帰れるわけがないと思うが、ナーラにはその発想がないようだ。
「何よ?」
「ううん。何でもないわ。ね? シュリティ様」
「えぇ、そうね」
他の令嬢たちも、何でもないと言っていたが、シュリティだけでなくて、この話を聞いていた者たちは今後、ナーラに関わりたくないと思っていることにナーラだけが全く気づいていなかった。
この後も、好き勝手なことを話していたが、それに適当な合図を打つだけで、根ほり葉ほり聞く者はいなかった。
そもそも、聞いてもいないのにナーラは、あれこれ好き勝手に話していてシュリティは、それに何を言うこともなかった。
ただ、トゥリベティ伯爵家にとって夫人とナーラがいなくなった方がよくなるのは間違いないと誰もが思っていた。
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