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次の日。ドゥニーズは、アルレットを怒鳴り散らしていた。
それは、コンスタンスがエディットがしていたのと似ていたが、それより酷かった。
「婚約者の候補で、争っていたのをなかったことにするなんて、信じられないわ! あんまりよ!!」
人がいっぱいいるところで、さも悪いのはアルレットのようにして悲しんでいるようにしたのだ。
「争ってなんかないわ。あなた、そもそも候補ですらなかったもの」
「っ、嘘つかないでよ!!」
面倒くさそうにアルレットはそう返した。それにドゥニーズがカッとなっていた。それまで、言い返せずに肯定も否定もしなかったのに言い返したことにアルレットは驚いていた。
「嘘じゃないぞ」
「王太子殿下」
ドゥニーズは、王太子が来ても呆然としていた。
アルレットは、綺麗なカーテシーをしていた。周りも、何事かと集まっていたが、王太子の登場に礼を尽くしていた。
「本当のことだ。君は、何を勘違いしていたか知らないが、ありえない誤解していただけだ」
「っ、そんな、だってアルレットが」
「彼女は、肯定も否定もしていない。君が、勝手に言っていただけだ。わかっていて、そうしていたんだろ? アルレットの優しさに漬け込みすぎだ」
「っ、」
王太子がそう言っても、そんなわけない!とドゥニーズは認めようとしなかった。
それを見ていた周りは……。
「今更よね」
「えぇ、誰も、あの人が言ってるの信じてないわよね?」
「あら、一部が面白がって信じてるみたいにしてたじゃない」
「あれを真に受けてたってこと? おめでたいわね」
「っ!?」
どうやら、ドゥニーズのことを信じていたのは、わずかだったようだ。みんなアルレットが、何も言わずにそのままにしているから放置していただけのようだ。
それを遠目でコンスタンスは、エディットと見ていた。エディットは、王太子が居るのに怒鳴り散らしているのを見てぎょっとしていた。
それから、エディットは……。
「コンスタンス」
「何?」
「私、あなたに怒鳴り散らしたの謝ってなかったわ」
「いいのよ」
「でも」
「お姉さんのためでしょ? 私も、お姉様のためなら、頑張って怒鳴るわ。怒鳴ったことないけど」
「え? コンスタンス、怒ったことないの?」
「ない」
「……そんな感じね」
「?」
そんな話をしているとドゥニーズは、自分が悪くなったのを察知したのか。怒鳴り散らしていなくなっていた。
その後、ドゥニーズを見ることはなかった。侯爵家のみならず、王太子からも苦情と抗議がなされて何をしたかが両親に知られることになったのだ。
「謝罪するならまだしも、王太子もいるのに怒鳴り散らすなんて、何を考えているんだ!!」
「そうよ。謝罪すべきは、あなたなのに。どうして、更に酷いことをするのよ」
それでも、自分は何も間違ったことはしていないとばかりにドゥニーズはしていて、アルレットがハメたと言っていた。
「違う。全部悪いのは、アルレットよ」
だが、そんなことを言うドゥニーズを両親も信じることはなかった。
そんなのをどうにかして婚約させようとするのを両親はやめて、修道院に行けと言っても自分は悪くないと言って聞かず、この家に置いておけないと勘当したのはすぐだった。
エディットは、そのやり取りを見ていて、げんなりしていた。こんなのを庇って信じていたのかと思うと過去の自分の見る目のなさにため息しか出なかった。
それでも、勘当されることになってエディットにドゥニーズは……。
「エディット。あなたならわかるわよね? 私は、いい姉よね? アルレットなんかより上だったでしょ?」
「比べるまでもないわ」
「そうよね!」
「アルレット様と比べられるほどではないわ」
「っ、!?」
そんなことを妹が言うとは思っていなかったらしく、ドゥニーズは激昂していた。手をあげようとまでしていて、それを両親が見て怪我をさせかねないと使用人たちに追い出させながらも、凄い顔で暴れているのと自分が血の繋がりがあるのが、恥ずかしくて仕方がなかった。
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