2 / 3
2
しおりを挟むプルメリアは、チラッと見えたアマンダといる子息を眺めていた。幼なじみの王女の元婚約者なのだが、しばらく前に婚約破棄になっていた。王女のアナスターシャも、プルメリアと一緒になってアマンダたちを見ていたが、面白そうにしていた。
(王女の婚約者を奪ったことで、周りの目は厳しいものになったみたいね)
アマンダの友達は、王女の機嫌をアマンダに巻き込まれて悪くさせたくないと思ったようで、逆にご機嫌伺いの令嬢たちがプルメリアにアナスターシャのことを聞いて来るのも増えてしまって、プルメリアはため息をつきたくなっていた。
(見てわかるでしょうに。破棄されて、傷ついてなんかいないわよ。むしろ、新しい婚約者のアマンダがどうなるかを見ものだと思ってるところで、物凄く機嫌がいいのが、どうしてわからないのかしら?)
それこそ、幼なじみ同士でアナスターシャの機嫌は手に取るようにわかりやすいとプルメリアは思っていたが、どうやら他の面々には王女の気分は分かりづらいらしい。
(そう言えば、王太子殿下も、アナスターシャの機嫌はどうかって昔から私に聞いて来るのよね)
そんなことをプルメリアは思っていた。
そんなことがあってから、しばらくしてプルメリアは王太子と婚約することになり、そのことでアマンダに嫌味なことを散々なまでに言われることになったのだ。
(ここにきて、私のことじゃなくて、婚約者のことを比べるのね。余程、私と自分を比べると勝てないと思っているってことなのかしら?)
アマンダは、プルメリアと婚約した王太子のことで、こんなことを言い出したのだ。
「私の婚約者の方が見た目はいまいちでも、中身がいいのよ!」
「……」
(それを大声で言うなんて……)
それによって、アマンダは世の多くの令嬢たちを敵に回しつつ、嘲笑われることになったのは、すぐのことだった。
(王太子の中身も評判がいいことくらい知ってるでしょうに。二人っきりの時ならまだしも、みんなに聞こえるように言わなきゃいいのに)
プルメリアがそんなことを思いつつ苦笑している間にアマンダの婚約者は外見がいまいちだと言ったことを知られることになり、アマンダたちは険悪になったようだ。アマンダは必死でフォローしても怒りがおさまらなかったようで、婚約を破棄することになるまで、そんなに時間はかからなかった。だが、王女との婚約を破棄しておいて、一ヶ月ほどでこんなことになったのだ。家からは厄介者として扱われることになり、アマンダは勘当されることになるまで、あっという間だった。
694
あなたにおすすめの小説
婚約破棄しようがない
白羽鳥(扇つくも)
恋愛
「アンリエット、貴様との婚約を破棄する!私はリジョーヌとの愛を貫く!」
卒業式典のパーティーでばかでかい声を上げ、一人の男爵令嬢を抱き寄せるのは、信じたくはないがこの国の第一王子。
「あっそうですか、どうぞご自由に。と言うかわたくしたち、最初から婚約してませんけど」
そもそも婚約自体成立しないんですけどね…
勘違い系婚約破棄ものです。このパターンはまだなかったはず。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載。
なんでそんなに婚約者が嫌いなのかと問われた殿下が、婚約者である私にわざわざ理由を聞きに来たんですけど。
下菊みこと
恋愛
侍従くんの一言でさくっと全部解決に向かうお話。
ご都合主義のハッピーエンド。
小説家になろう様でも投稿しています。
婚約者の元恋人が復縁を望んでいるので、婚約破棄してお返しします。
coco
恋愛
「彼を返して!」
婚約者の元恋人は、復縁を望んでいる様だ。
彼も、まんざらではないらしい。
そういうことなら、婚約破棄してお返ししますね。
でも、後から要らないと言うのは無しですから。
あなたは、どんな彼でも愛せるんでしょ─?
【完結】身分に見合う振る舞いをしていただけですが…ではもう止めますからどうか平穏に暮らさせて下さい。
まりぃべる
恋愛
私は公爵令嬢。
この国の高位貴族であるのだから身分に相応しい振る舞いをしないとね。
ちゃんと立場を理解できていない人には、私が教えて差し上げませんと。
え?口うるさい?婚約破棄!?
そうですか…では私は修道院に行って皆様から離れますからどうぞお幸せに。
☆
あくまでもまりぃべるの世界観です。王道のお話がお好みの方は、合わないかと思われますので、そこのところ理解いただき読んでいただけると幸いです。
☆★
全21話です。
出来上がってますので随時更新していきます。
途中、区切れず長い話もあってすみません。
読んで下さるとうれしいです。
【短編】お姉さまは愚弟を赦さない
宇水涼麻
恋愛
この国の第1王子であるザリアートが学園のダンスパーティーの席で、婚約者であるエレノアを声高に呼びつけた。
そして、テンプレのように婚約破棄を言い渡した。
すぐに了承し会場を出ようとするエレノアをザリアートが引き止める。
そこへ颯爽と3人の淑女が現れた。美しく気高く凛々しい彼女たちは何者なのか?
短編にしては長めになってしまいました。
西洋ヨーロッパ風学園ラブストーリーです。
ざまぁを回避したい王子は婚約者を溺愛しています
宇水涼麻
恋愛
春の学生食堂で、可愛らしい女の子とその取り巻きたちは、一つのテーブルに向かった。
そこには、ファリアリス公爵令嬢がいた。
「ファリアリス様、ディック様との婚約を破棄してください!」
いきなりの横暴な要求に、ファリアリスは訝しみながらも、淑女として、可憐に凛々しく対応していく。
「最初から期待してないからいいんです」家族から見放された少女、後に家族から助けを求められるも戦勝国の王弟殿下へ嫁入りしているので拒否る。
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に仕立て上げられた少女が幸せなるお話。
主人公は聖女に嵌められた。結果、家族からも見捨てられた。独りぼっちになった彼女は、敵国の王弟に拾われて妻となった。
小説家になろう様でも投稿しています。
自分を裏切った聖女の姉を再び愛する王にはもう呆れたので、私は国を去る事にします。
coco
恋愛
自分を裏切り他の男に走った姉を、再び迎え入れた王。
代わりに、私を邪魔者扱いし捨てようとして来て…?
そうなる前に、私は自らこの国を去ります─。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる