訳あり少女は、転生先でも散々な目に合う道を自ら選び続けて、みんなの幸せを願わずにはいられない性分のようです

珠宮さくら

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何度やり直しても、予定より大分早く戻って来てしまうということを繰り返す一人の女の子が見慣れた場所を歩き続けていた。

見慣れたというのもおかしな話なのだが、すっかり馴染みのある場所となってしまっていた。見るたび、美しいものがたくさんあった。咲き誇る花々は季節など関係なく、きらきらと光り輝いて咲いていた。空気すら澄んでいて、朝昼晩がなく、ずっと昼間のようになっていても、気にする者など滅多にいないところだった。

彼女としては、馴染む気は全くなかったのだが、馴染まずにはいられないほど、そこを訪れてしまっていた。

女の子は、今回亡くなったばかりの年齢と同じ姿形をしていた。事故にあった時の姿ではなくて、怪我一つない元気いっぱいの10歳の女の子が、そこにはいた。

彼女のお気に入りとなっている誕生日に買ってもらったワンピースを着てはいるが、前は違う色をしていた。ここに来るとどんなに素敵な服であろうとも、毎回女の子が着るものの色合いは白に変化していた。


(前回は、7歳だったかな。その前は、中学生とかだった気がする。……高校まで入るのが、そもそもできてないのよね。せめて、高校を無事に卒業して、成人してみたいのだけど、そこまで到達できないのよね。……何でだろう? みんなは、どうやって、長生きしてるんだろ?)


女の子にとって、成人を迎えることすら長生きのような感覚になっていた。そんなことを思って、思案しながらため息をつきたくなっていた。もっと色々な経験をしてみたかった。恋をしてみたいとか。最低でも高校を卒業して、働いてみたいとかだ。


(結婚して、幸せな家庭を築いてみたいって願いは、私にはとてつもない贅沢なことのように思えてしまってるのよね。目下、成人してみたいな。親より長生きしてみたいけど、夢のまた夢みたいになってるから、今の私は親不孝もいいところよね)


そんなことを思っていると目的地にたどり着いていた。そこに来るまで、どのくらい経っているのかわからない。ここは、時間があってないようなところだ。だから、どう表現したら正確なのかが少女にはわからなかった。毎回そこに長くいることはないため、困ることもなかったが。

彼女が、そこに入るとそこにいた人物はさも今ようやく気づいたかのように入って来た人物を見て、こんなことを言った。


「もう、戻って来たのか。今回も、早く戻ってきたな」
「申し訳ありません」


まるで、学校帰りのように気軽に声をかけてきているが、そこにいたのは神様だ。女の子も慣れたもので、こうやって会うのは、何度目になるか数えてはいないが戻るたび、彼が誰なのかを思い出して同じような会話をしていた。

それに思わず、女の子は謝っていた。毎回同じことを繰り返しているが、早く戻って来る気など彼女には全くないのだ。目標の一つである高校を卒業する前になぜだが、毎回死んでしまうのだ。


「お前が謝ることではない。お前が、お前であることをやめられないのは今に始まったことではない」
「??」


(私が、私をやめられるわけがないと思うけど……。どういう意味なのかな?)


何やら書類を見つめながら神様は、そんなことを言って、パラパラと資料を眺め始めた。

それを女の子は聞きながら首を傾げていた。学校を卒業できてはいないが、生きていたこれまでの分の年齢をあわせると結構な年齢になるため、死んだ年齢よりも魂の年齢はそれなりになっているが、そんなことを言われてすぐに理解できる人間は少ないのではなかろうか。

それこそ、何度目になるかわからないが、神様にこの時のようなことを言われたのは初めてだったのだ。


「あの、それって、どういう……?」
「別の世界に転生するのに抵抗は?」
「へ? 別の世界??」


また、わからないことを女の子は問われることになり、益々わからなくなってしまった。これだけで理解がすぐできる者など、いないと思うが。


「別の世界っていうと、えっも、そこに両親や友達は……」
「いない。別の世界に行けるのは、一握りの魂だけだ。高みにのぼることになるか。その逆かしかない。お前のような者を送るのは、稀だ」
「……そこでなら、寿命まで生きられるのですか?」
「そこは、お前次第だろう。早死したくてしているわけではないんだ。これまで通り、好きに生きてみるといい。それでも、改善が見られないなら、また考えるしかないだろうが」
「たくさん生きられるところがいいです。神様にこうして何度も会えるのは嬉しいけど、人生を全うして、あの列に並んで天国に逝ってゆっくりしてみたい」


それが、女の子の本音だった。

それこそ、これまでの家族がこの少女を思ってくれているからこそ、生まれ変わるたびにおかしなことになっていることを知らないこともあり、全ての原因は自分にあるのだと彼女は思っていた。


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