訳あり少女は、転生先でも散々な目に合う道を自ら選び続けて、みんなの幸せを願わずにはいられない性分のようです

珠宮さくら

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「全く、あんなのを雇っていたとはな。しかも、アンジェリーカの方ができるからと自分のできなさを棚にあげて言うに事欠いて、化け物扱いするとは信じられん!」
「本当にそうね。できがいい子が娘で鼻が高いわ」
「全くだ」


両親が、そんなことを言っているのをアンジェリーカは聞いて、げんなりしていた。全く懲りてはいないようだ。

厳選して先生を選ぶようになったが、選ぶだけ選んだ後は、両親は全てを丸投げしていた。

世話は使用人たちがするばかりで、アンジェリーカに用もないと両親とは会うこともなくなったのも、日常と化していた。

扱いやすい娘になるまでは、金に物を言って他人に世話させ続けて、自分たちは娘自慢を至るところですることが忙しくて仕方がないようだ。

両親も、アンジェリーカの恐ろしさをまだまだ完全に理解しきれてはいないだけで、知っていたら同じようなことを言い出すようになりそうだが、今は興味が他所に向いていることにアンジェリーカは、ホッとするばかりだった。


(私は、あの人たちを飾り立てるアクセサリーってことね。そのために頑張っているわけではないのだけど。まぁ、今は、自分のためにできることを増やしていかないと駄目よね。でも、私に理解できないと思って教えようとしてくれる先生はいないのよね。……仕方がないけど、ばっちり聞いているのに)


アンジェリーカは、言ってもわからないとばかりに授業をしっかりする者はいなかったのだ。

使用人も、一緒にいるようになったのだが、きちんと授業をやる気のない先生方に賄賂をもらっているらしく、そんな態度の悪い先生が長らくアンジェリーカの先生となることになった。

その先生のやる気のなさっぷりにアンジェリーカは何かすることはなかったのは、どうせ同じようなのしか来ないと思って、しばらくはそのままにしておくことにしたのだ。

その間にアンジェリーカは、1人で立ち上がる練習を密かに始めていた。そう、まだ、この段階なのだ。魔力を上手く使えるようになるうんねんよりも、体幹を鍛えるとかしてほしいところだが、あの両親の要望が安全に使えるようになることのせいで、こんなことになっていた。

だが、そんな先生が使用人とイチャつき始めるのも早かった。時間を有効に使う方向を完全に間違えているのは、確かだ。


(私がいるんですけど?!)


「やぁー!!」


そんなことを思って赤面してしまったことで、暴走することになり、その騒ぎを聞きつけて両親がやって来て、半裸の先生と使用人を見て怒鳴る声が聞こえて来たのは、すぐだった。


「アンジェリーカ。大丈夫だった?」


母親がアンジェリーカを覗き込みに来て、顔を真っ赤にしているのを見てぎょっとして、熱を出しているとわかって、慌てふためかれることになったのも、すぐのことだった。


(あんなの聞いてたせいかな? 見たくなかった。何か、物凄く気持ち悪い)


そう思っていると吐いてしまい、更に大騒ぎになるのも早かった。

アンジェリーカは、そのまま高熱を出して寝込むことになり、あの二人は解雇されたようだが、アンジェリーカの側で二人の話をする者は現れることはなかった。

使用人たちも、世話をしている子供の側で、しかも仕事中によそ事をするような面々は論外だと思ったようだ。

寝込んでから、ぐったりしているアンジェリーカに付き添い続けてくれていたのも、年若いメイドが1番多かった。

その間、両親は自分たちは医者でも何でもないからと専門家に任せっきりで、報告を聞くばかりでアンジェリーカのところに足繁く通って、どうしているかを顔を見て判断することもなかった。


(確かに医者の資格はないだろうけど、実の娘が具合悪くしていたのを知っていて、祝福にも魔力にも対して影響ないとわかると放置するって、最低な親がいたものだわ。これまで、我が子を放置して自分たちのことを優先する親に会ったことなかったけど、こんな親もいるのね。……知りたくもなかったわ)


アンジェリーカは、そんなことを思っていた。今世の両親は、これまで出会った親の中でも最低最悪なことは間違いない。

そして、この世界ではこれが貴族の普通のようになっているようだ。これでは、ろくな人間に成長するわけがない。もはや夢も希望もない気がしてきて、アンジェリーカの目は益々輝きを失い始めていくばかりだった。


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