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しおりを挟むエルフたちも存在を明かすことになると議論に議論を重ねて、許可がなければ話せないことにまでなっているのだ。それをアンジェリーカが知ったからといって話すわけにはいかない。更には、ちょっと接触しただけで、記憶が操作されるのだ。
下手なことを言えば、今のアンジェリーカの記憶もどうなることやら。
(私の記憶も、消えている部分もあるのだもの。トップシークレットなはずだから、話すなんて選択は論外だわ)
その辺のことで釘をさされたわけではないが、アンジェリーカは言いたくなくて黙っていた。
大体、エルフなんておとぎの国どころか。歴史からも、綺麗さっぱりとなかったことにされているほどだ。話したところで頭の心配をされるだけだ。いや、心配されるだけマシかも知れない。周りが、アンジェリーカの心配なんてするわけがない。
いつも、自分たちの心配しかしていないような人たちだ。心配しているふりをしながら、他所で散々なことを当たり前に言うような人たちばかりなのだ。
それなのにどうしてアンジェリーカは何もなくなっても、何とかなると思っていたのだろうか。まぁ、それよりもエルフたちのことだ。
(この国に住む私のところにわざわざ来てくれたのは、流石だよね。あんなに辛そうにしながら、よく私のところまで来たものだわな。……戻る時も大丈夫だったのかな?、まぁ、私の魔力があれば簡単に戻れたはずだけど、あれを使いこなせるエルフが、どれだけいるかだよね。わんさかいたら、大変だな。これで存在が知れ渡って、争いの火種になったら、人間たちは一溜りもなさそうだな)
アンジェリーカは、そこに行き着いてしまって、遠い目をしてしまっていた。エルフたちは自分たちの種を守るためだけに全力で、人間のことをどうこうしないなら問題ないだろうが、アンジェリーカに何かあったら暴れまわるなんてことにのるのだろうか?
(……まぁ、戻って来た時に会うだろうし、その時に何か起こりそうなら釘をさしておけば大丈夫かな。どうして、今、そこに気づいちゃったかな)
恐ろしい未来を垣間見てしまったアンジェリーカは目を潤ませてしまった。そんな娘を見て、両親は別の勘違いをしたようだが、そんなことはどうでも良かった。
アンジェリーカの貸し出したもののせいで、大変なことになったとしたら、返してもらえるタイミングを間違えば、人間に勝ち目はないだろう。
(なんて迂闊なことをしてしまったんだろう)
アンジェリーカは、自分のことを優先し過ぎたことを痛感することになった。
元は自分の持っていたもので、恐ろしいことになるかもと思ってしまったが、それを元々持っていたのは自分なことを失念していた。そんなものを平然と持っていたのだ。
上手く使いこなせていなかったにしろ。持ち続けているだけでも、大変物騒なしろものだったとようやく自覚し始めたことで、今何か起こったら自分のせいになると思って焦りもした。
そんなことがあってから、家でも、学園でも、アンジェリーカは肩身の狭い思いをして、友人知人もいないというか。できないまま、寂しい生活を送ることを余儀なくされたかというとそんなことにはならなかった。
アンジェリーカは自分が成人までたえれば、エルフ族を救うことができると聞いたことを信じることにした。自分がやりたいことのために残ったのだからと泣き言なんて言ってはいられないと物騒すぎる未来を知らぬ存ぜぬでなかったことにして、周りにもそもそも言う気もなかった。
与えられた複数の祝福と異常な魔力を貸すと約束したのは12歳の頃だった。
その日から、しばらくしてアンジェリーカが願ってやまないことは無事に学園を卒業することだったが、それは保留されることになった。
(学園に入ってからなら、まだ何とかなったかも知れないけど、入ることすら許してもらえなくなるとは思わなかったわ。私も、馬鹿よね)
アンジェリーカは、王子と婚約破棄することになったのだ。両親からは何も持ち合わせていない無能な娘として、勘当されることになった。恥さらしだとして罵られながら、追放処分にまでなるまで、あっという間のことだった。
(こんな、あっさりと捨てられることになるとは思わなかったな。まだまだ甘かったみたいね。……ここ存続の危機になるかもなんて心配してる場合じゃなかったのよね。何で気づかなかったんだろ)
さっさと出て行けと言われ、取り入ろうと必死になっていた面々も離れ、使用人たちからも散々なことを言われて行く宛もないまま、この国から出るしかなくなることになったが、エルフの一族がみんな元気になって幸せになることを一心に祈っていた。
そして、それ以上のことにならないことを切実に願っていた。
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