見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら

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(元山賊の人たちは、喜んでくれていたけど、ここで役立つものを渡せていたのかな。それにやる気になってくれていたけど、あんなあっさり転職して本当に上手くいっているのかな。ローザンネ国では上手くいっていたけど、ここは違う国なのに。ものを減らすことに張り切り過ぎた気がして、心が未だに痛いわ)


ふと、余計なことをしたのではないかと思い始めていた。心根が優しい人たちすぎたのだ。アンネリースが、真っ黒に見えて嫌になっていた。


「姫さん、どうした?」
「オリフィエル」


馬車の中の窓を開けているのも、仮面のせいでよくわからないから、時折、開けて外を眺めていた。

その横を並走して馬に乗ったオリフィエルが話しかけてきた。彼は山賊をしていただけあって、アンネリースの機敏なものを感じ取るのが早かった。


「なんか、あったのか?」
「……こんなにゆっくりでいいのかと思って」
「いいに決まってるだろ」


(即答されてしまったわ。これって、ここでの常識なの? 思惑があると考えてしまっている私は、やっぱり嫌な人間なのかも)


オリフィエルは、さも当たり前のように言い、アンネリースが具合の悪いまま、無理やり連れて行ったら護衛の連中が咎められると聞いて、アンネリースは眉を顰めた。

そんな馬鹿なことをフェイル国についたばかりの頃から思っていた。


(ここの当たり前って、慣れないわ。私のことをやはりローザンネ国の王女として見ている)


だからといって自国に帰りたいわけではない。あんなところ、できれば二度と戻りたくない。気になるのは、仮面を付けていた人たちのことだ。


(あの人たちと暮らせたら、楽しいでしょうね)


帰りたくないと思いつつ、本心はそこにあった。仮面のない連中のことなどに関わらなければ、不快な目にもあうことはない。

オリフィエルは、こんなことを言った。


「姫さん。護衛だって、叱られたくないんだ。優先順位を違えたりしないさ」
「優先順位」


アンネリースは、常に一番下にいたこともあり、慣れないことばかりだった。

一番下の人たちだけが、アンネリースを王女と認めてくれていた。認めてくれている人たちのために何もできていない気がしてきてもいた。

こんなのんびりとした移動しかしていないのだ。もうとっくに着いて、学園で勉強しているはずなのに。


(私、何しに来たんだろ)


優先順位と言われて、アンネリースはそんなことを思ってしまった。

どうにも、ローザンネ国での当たり前と比較してしまっている。疲れないわけがない。


「まぁ、仮面付けて世界を見てたら、あんまり良く見えなくて、退屈かも知れねぇけど」
「外した生活なんてしたことないからわからないわ」


アンネリースは、思わずそう言ってしまった。オリフィエルが、驚いた顔をしているのに気づかなかった。


(外した生活なんて考えたこともないわ。そもそも、私自身が自分の顔をよく見ていないし)


色々言われ続けた顔を見る気がなくなっていた。そのせいで、人の顔にも興味が持てなくなってしまっていた。


「……なぁ、姫さん。その仮面、いつから付けてんだ?」
「生まれた時からよ」
「っ、」


流石のオリフィエルも、年頃になったから付けていると思っていたため絶句したが、それにも気づいていなかった。

フェリーネは、のんびりした馬車の中で眠っていて、この話を聞いてはいなかった。そんな風に寝こける姿も、最近よく見た。なにせ、泊まるところに着くと筋トレに余念がないのだ。

アンネリースも増やしたが、寝ていると怪しまれるため、起きていた。

アンネリースは、侍女を咎めることなく、ほっといた。特に起こさなければいけない理由がないのだ。そんなアンネリースのことも、オリフィエルやエデュアルド、侍医がちゃんと見ていることにも気づいていなかった。

アンネリースが眠っている間の不寝番をフェリーネがしていると。確かに起きているが、筋トレのためだ。

外で護衛している面々に気づかれないようにやることにも疲れていた。


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