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しおりを挟むアンネリースの幸せなふりの終わりは呆気なかった。
「アンネリース様」
「フェリーネ。フェイル国に行って、それからローザンネ国に帰るわ」
「っ、」
「連れて帰りたくないないけど、これ以上の醜態は晒せないわ。物資がなくなっても、どうにかできるようにはした。でも、私のことを慕ってくれていた人たちの側に私はいたい」
「私は……」
「姫様、それって、俺らも行っていいですか?」
「っ!?」
「おい、そこはまずは、フェリーネがどうしたいかを聞いてからだろ」
「いや、俺らが一緒に行くのなら、躊躇わないだろ」
「っ、一緒に来てくれるの?」
「「もちろん」」
ラウレンスとヒルベルトは、元よりそのつもりのようだ。フェリーネは、それに泣いた。
(やっぱり、フェリーネを幸せにしてくれるのは、この2人しかいないわ)
そこにリュドが現れた。本当に神出鬼没だ。もはやアンネリースは驚かなくなっていた。
「僕も行きたい」
「……」
「アンネリース姫の側にいたいんだ」
リュドは、そう言った。アンネリースにそう言わせることをやめたようだ。
あれだけ言っても、リュドにしてほしいとはアンネリースが言わなかったからだと思いたい。
「公爵家は?」
「父上は、兄上にあんなことしたことを凄く怒ってて出て行けって言ってる。兄上のあの性格を知らなかったから、フォローに必死になってるよ」
母親であり、公爵の妻に似ていたリュドをあっさりと追い出すことにしたようだ。もう女性のようには見えない。
「……あの性格、前からなのね」
「そうだよ。恋愛ごとはからっきし駄目なんだ。そのせいで、婚約者と上手くいかなかなかったから、僕にあの家を押し付けて出て行ったようなものだからね」
「……」
(私が聞いた理由と全然違うわ。それをすっかり忘れて、リュドに覚えている記憶の方で謝ったのね。だから、これほど怒っているんだわ。そりゃ、怒りたくもなるわ)
アンネリースは、眉を顰めずにはいられなかった。この言い方だとオリフィエルのことを慕ってもいないし、尊敬もしてはいなかったはずだ。
(そこより、気になっているのは……)
「あなた、いつから、私のこと知っているの?」
「……フェイル国の王が、王太子の婚約者を使って自分の評判を上げようとしていたから、仮面をつけたこの世のものとは思えない王女を婚約者として留学させたら、国民だけでなく、色んな国から一目置かれるって思わせる前から」
「そう」
フェリーネは、2人の婚約者に両脇から掴まれていた。いい判断だ。こうなっているフェリーネは、かなり怖い。
(私が、オリフィエルと出会うのも演出された気がしてきたわ)
リュドの底なしっぷりにため息をつきたくなった。アンネリースは、とんでもないのに味方されているようだ。
(服装は、私の好みを着て来るようになったわね)
オリフィエルを真似ているようで、アンネリースの好みが兄の方よりある。難儀な性格をしている。これでは、物凄く生きにくいはずだ。
(いや、そう見せているだけかしらね。私は、最初に言ったはずなのに。それにしても……)
「……怒らないの?」
「私をあそこから、出してくれようとしたのね」
「っ、!?」
「その見返りに自分も自由になりたかった」
「……ごめん」
「謝ることないわ。おかげで、本物の王女になれる」
アンネリースが、それでも一緒に来ていいと言わなかったことで、リュドはこう言った。いや、言うとは思ってないから、動いたようだ。
「船の手配は、すぐにできるよ。あと君のこと恩人だと思ってる元山賊たちも、ローザンネ国に行きたがってる」
「……」
フェリーネは、それに呆気に取られていた。
元山賊たちは、ちゃんと生活できていたようだが、アンネリースが国に帰るなら着いて行って役に立ちたいと思ってくれているようだ。
「凄いな」
「それで、私たちが武官のところに挨拶行っても引き止められなかったわけだな」
「え?」
フェリーネは驚いていた。そこまで、したとは思っていなかったようだ。
「あー、ついでだよ。国王陛下も、今後のローザンネ国との友好な関係を築けるなら、交流したいって言ってるよ。ついでに僕を養子にしてくれたから、連れて行くと使えるよ」
「売り込み上手だな」
「抜かりはないわけだ」
もはや、置いて行くとアンネリースに何をしてくるかわからないとフェリーネも思ったようだ。
「アンネリース様。とんでもないのに好かれましたね」
「……」
アンネリースは、自分がやる前に全てを終わらせてしまいそうだと思って遠い目をしていた。
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