最愛の亡き母に父そっくりな子息と婚約させられ、実は嫌われていたのかも知れないと思うだけで気が変になりそうです

珠宮さくら

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「ヨランダ様。……また、王太子ですか?」
「えぇ、幽霊をどうにかできると思われても、どうしたらいいのでしょうね」


ヨランダは、縋りつかれているのがわかっても、どうにもできないと思っているだけで、気味悪いと思うよりも、困っているだけのようにしていた。

令嬢たちも、気が変になっている王太子の相手はできないようで、王太子が現れる頃合いになるとヨランダの側からいなくなっていたが、ヨランダはそれを気にしたことはなかった。

いなくなると戻ってくる距離にいるのだ。王太子でなければ、そんなことはないのだが、よほど苦手なのだろう。わからなくもないが。

だが、そんなことをし続けていたのもあり、執務もまともにできなくなった王太子は廃嫡となり、療養することになって、第2王子が王太子となった。

散々なまでに兄が迷惑をかけたとヨランダに何度となく謝罪していた彼にヨランダは……。


「よくなるといいですね」
「そうだな。だが、幽霊を見たがっていたのが、叶っただけなんだが、こればっかりはな」
「……」


ヨランダは、叶っただけと聞いて、ふとよくなっているだけかと思っただけで終わった。

そう望むままになっているだけなのだ。それをどうにかしてくれと言われても、望みが叶っているだけなのだ。ヨランダには、どうすることもできない。

それこそ、今の彼にはどうにかしてほしくとも、それをその何倍も願っていたのだ。本人が、どうにかするしかない。そんなことをヨランダは思ってしまったが、言葉にすることはなかった。

幽霊が見えるようになった彼のことで、新しい王太子と何かと話すようになったヨランダは、彼の婚約者となるのも必然のようだった。

それこそ、あの時、幽霊を探していてヨランダを連れて来てくれたのを知っているクロードと執事。更には、王太子の影や御者が、出会っていることを話さなかったことでなかったことになった。

何より、ヨランダは本当に覚えていないのだ。いや、完全に覚えていないわけではなかったようだ。


「あれ……?」
「どうした?」
「なんか、人の気配が多い……?」
「あぁ、私が、王太子になったから影がついたのだろう」


ヨランダの疑問に婚約者が、サラッと答えて影を紹介しようとして呼んで、あれこれ話し始めたのだが……。


「……あの、殿下。どなたと話しておられるのですか?」
「え……?」


どうやら、随分昔に命じられた王太子を守る命令を守っている者たちがいたようだ。

つまりは、幽霊を見たがっていた彼は、見えていなかったわけではなかったということになる。

だが、ヨランダと婚約した王太子は、そうは思うことなく、ヨランダが冗談を言っていると思って深く追求することはなかったが、影のことをその後、彼が呼ぶこともなかった。

まぁ、色々あったが、ヨランダは王太子の婚約者として申し分ない令嬢となり、彼の隣に立ち続けるに相応しい者となった。

色々ありすぎたが、ヨランダは母がここまでになることを予想していたかはわからないが、夢を追いかけ続け、頑張り続けたおかげで、王太子が国王となって、その隣に並び立つヨランダは、国内外でも有名な王妃となることになり、彼女が助言するおかげで国は益々栄えていくことになった。

国王の名前より、王妃の名前が歴史に深く残ることになったが、本人はやりたいことをやり続けているだけで、素晴らしい人生を愛してやまない人と歩むことができたのだった。





エミリアンも、ヨランダのことで才女に慣れたのも良かったのか。母親よりも、父親に似た令嬢と婚約した。

彼女とも、ヨランダはすぐに仲良くなれたが、嫁姑問題が勃発していて、エミリアンとクロードは会うたび、疲れた顔をしていたが、ヨランダが巻き込まれることはなかった。

ヨランダが忙しくて会えずにいる間に解決しているだけのようだ。


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