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しおりを挟む「いきなりだと?! 婚約者のいる子息と浮気していると苦情と抗議が来てるんだぞ! なんですかなんて、よく言えるな!!」
「え?」
浮気やら子息と聞いて、驚かずにはいられなかったのははチャーヤだけでなく、ラケシュもだ。
「あちらは、婚約破棄になったそうだ。慰謝料を払えと言って来てる。全く、なんてことをしてくれたんだ!」
だが、怒鳴りつけられても、チャーヤには身に覚えがないようで、不愉快そうにしていた。それはそうだろう。浮気なんてしていたら、こんな風にはしていないはずだ。
ラケシュは、両親が激怒している理由はわかったが、姉の態度を見て妙だと思いつつ、事の成り行きを黙って聞いていた。
「何ですか。それ。言いがかりも甚だしいわ。私は、浮気なんてしてません!」
そう言ったかと思えば、チャーヤは健全なお付き合いをしていると話し始めたのだ。
そこで、ラケシュは思った。名前は伏せられていたが、聞かされていたのは同性の友達と出かけた話ではなかったのかと。
きっと、シュリティもここで聞いていたら同じことを思ったはずだ。
「健全な付き合い? 一体、どこの誰と付き合っていると言うの?」
母が、怪訝な顔しながらチャーヤに尋ねた。すると、チャーヤは照れくさそうに名前を告げた。聞かれたら元々答える気でいたのではなかろうか。それを弟妹たちの誰も聞かないから、もしかするとしつこくしていたのは、その辺を掘り下げてほしかつたのを拗らせたのかも知れない。
「マヘンドラ様です」
「……は?」
「何よ?」
その名前を耳にするなり、思わずラケシュは間抜けな声と顔をしてしまった。
それをシュリティは弟から聞いて、同じような声を出した。きっと、その時の2人の写真を撮っていたら、全く同じ顔をしていたと思う。そっくりな姉弟ねと和やかに人に言われるような場合ではないが、そっくりなはずだ。
「マヘンドラ様って言ったの?」
「言った」
「……それで?」
シュリティは、その後のことを簡単に想像できたが、疲れた顔をしている弟に続きを促した。まずは、全部を聞いてみるしかない。
弟は、チャーヤにその名前を聞いた時にすぐさまこう言った。
「あの人には婚約者がいるだろ」
「……え? 婚約者?? 何のこと?」
「……」
弟の言葉にチャーヤはきょとんとした顔をした。
「みんなが知っていることじゃない。どうして、王女の婚約者と浮気なんてするのよ!!」
「お、王女?!」
誤魔化せる以前にこの時、ラケシュはチャーヤは本当に知らなかったのだと思って姉を見ていたが、両親はそんな馬鹿なことあるかと責め立てていた。
両親にしては珍しく何があったかを聞いた上で、ありえないと罵倒したのだ。
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