聖女になることを望んでいない私を聖女にしたのは、義妹の八つ当たりでした。それを手本にしてはいけないことをわかってほしいのですが……

珠宮さくら

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王太子はカヴィタにそんなことを言われたことに怒り心頭のまま、父親にそれを報告しに行った。


「あの、お待ちください!」
「煩い! 父上に話があるんだ!」
「ですから、お待ちを!」


取り次ぐからと言う意味だが、彼はそれすらわかっていなかった。いつも、頭に来るとこうして王太子になる前から国王である父のもとに押し掛けていた。

それが、どれだけ常識のないことかを彼は知らないままだった。連絡して、空いている時間を確認することをしたことがないのだ。


「騒がしいと思えば、お前か」


国王は、ため息まじりに止めようとしていた者と謁見していた者に頷いて下がらせた。それを見て、ふんと言う顔を王太子はした。

それが当たり前なのに待てと毎回止めようとするのに腹が立っていたが、こうして追い返されるのを見て、同じことをよくやると思っていたが、同じようなことを周りに思われていることには、この王太子は全く気づいていなかった。

父にさっきの無礼を働いたカヴィタのことを力説した。すると国王は……。


「そんなことか。もう既に手続きしている」
「ありがとうございます!」
「……」


王太子だった彼は、流石父上だと笑顔になっていたが、国王は全くわかっていないただの第1王子となっていることにも気づいていないことに呆れていた。

王太子だと思っている彼は、ウキウキして帰って行こうとした。


「第1王子」
「? 何です? 昔みたいな呼び方をして」
「お前は、もう王太子ではないのを理解していないのか?」
「え……?」
「していないように見えるが、そんなことはないよな?」
「え、いや、え??」


第1王子は、父の言葉にわけがわからずにいた。なぜ、急にそんな話になるのかがわからなかったのだ。


「お前は、あの方に最敬礼もしなかったそうだな」
「最敬礼……?」
「公爵一家も、最敬礼しなかったようだが、私や王妃もしたのだぞ。お前は、私より、いつそんなに偉くなったんだ?」


第1王子は、父である国王が何を言いたいのかが、さっぱりわからない顔をして混乱していた。

謝罪に行けと言っただけでは、伝わらなかったのだ。とっくに謝罪に行っていると思っていたら、公爵一家のいる時に行っただけで、謝罪すらせずにプリヤを擁護して戻って来ただけだったのだから、呆れを通り越してしまった。

それを知ったカヴィタが婚約破棄したいと言い出したのに激怒して、何の前触れもなく謁見の間にやって来て言いたいことを言って帰ろうとするのだから、もう目も当てられない。

アディラのところで、何があったかなんて、これだけでわかりそうなものだ。

これを王太子にしておけるわけがないのだが、本人にその自覚がなさすぎた。


「いや、それは……。最敬礼なんて、王族には必要ないかと」
「必要ないから教わってないなんて言い訳にもならない。はっきり言ってやる。お前のようなのを王太子にしておけない。これ以上、わが国の恥を晒させるわけにいかないからな」
「っ、」


国王にまで恥と言われて、第1王子は顔を赤くしていたが、もう用は済んだとして追い払われることになった。そんなことをされる理由がわからないまま、部屋で謹慎をすることになったのだ。

もっとも、本人だけが納得いかないだけなことをわかってもいなかった。


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