幼なじみに婚約者の浮気について相談をしたら、彼女が浮気相手の1人でした。許してやれなんてよく言えたものです

珠宮さくら

文字の大きさ
5 / 10

しおりを挟む

そんなこんなで、シャーロットの父によって調べられることになったが、出るは出るはの浮気の証拠に父と母は、ドン引きしていた。

弟ですら、そこまでなのかと言う顔をしていたが、姉のことで学園でも、この家の中でもすっかり、人を思いやれない子息となっていた。

落ちるところまで落ちた評判を立て直すのに必死になっているが、上手くはいっていない。

あの時のことをシャーロットは両親にしていないため、両親もシャーロットの婚約者のことで手一杯になっていて、耳に入っていないようだ。

それが入ったら、今回のシャーロットとアティカスの婚約破棄よりも、もっと大変なことになりそうだが、シャーロットはそれが面倒で黙っていた。

弟は、姉がその話をする気がないことにホッとしているようだが、姉がしなくともあれだけ人の目に触れたのだ。噂話にならないはずがないから、安心なんてできないはずなのだが、弟の頭の中は藁がつまっているようだ。

姉が言わなきゃバレることはないと思っているところが、そもそも甘い。

まぁ、そんな困った弟のことよりも、シャーロットの婚約はあっさりと破棄されることになった。

そもそも、あちらの子息が破棄を言い出したのだ。息子が言い出したことだと言っても、浮気の証拠がかなりあるため、そんな子息とこのまま婚約させておくはずがなかった。

あちらの家がごねることもなく、婚約破棄となり、慰謝料ももらえることになった。婚約はすんなりと破棄されることになった。







アティカスの家の方は息子が突然、破棄をしたいと言い出して頭を抱えていた。シャーロットとの婚約は彼の両親が必死に頼み込んで成り立ったものだが、よくよく聞けば、浮気をしまくっていて、その証拠の数に激怒して彼の両親は息子に怒っていた。


「お前は、なんてことをしてくれたんだ!!」
「そうですよ。婚約してもらうのに私たちがどれだけ苦労したことか」


それを聞いて、両親の苦労など知ったことではないとばかりにアティカスは、もう時間がないとばかりにしていた。ただ本命の令嬢と婚約したいと騒いでいた。


「そんなこと、どうでもいいんです! それよりも、早く婚約破棄したいんです!」
「どうでもいいですって!?」
「なんて言い草だ。私たちの苦労をまるでわかっていないようだな」


両親が怒り心頭になっていたが、息子はそれすらわかっていないようだった。

彼の頭の中では早くしなければ、本命の令嬢が王太子と婚約してしまうことばかりを気にしていて、それどころではないことにまで気が回らないようだ。いや、元より気が回っていたかは怪しいところだが。

そもそも、そこまでモテる理由が、シャーロットには全くわからなかった。世の令嬢たちは、こぞって浮気したくなるような子息だ。その魅力が、シャーロットには全くわからなかった。

そこに誤解があった。彼自身に魅力があってのことではなかった。浮気している令嬢たちは、シャーロットの婚約者となっている子息だから、浮気していたのだ。

シャーロットがあれだけ夢中になっている子息。シャーロットとしては、夢中になってなど全くいないのだが、必死に好きになろうとしていたのが、そう見えていたようだ。

それによって、アティカスはモテた。言い寄って来た令嬢たちと浮気を始めたのだ。そのうち、シャーロットのことなどどうでも良くなった令嬢たちは、それを楽しむようになっただけなのだ。

浮気と言っても、みんながしていることだ。だから、自分1人くらい紛れても大丈夫だと思っていたのもあったようだ。

そう、原因は全て勘違いだった。シャーロットの弟は、魅力がないからと言うが、浮気している令嬢たちからすれば、魅力的だったのだ。そんなシャーロットは一途に想う相手を共有し合うことで、勝てた気になっていたに過ぎなかった。

だが、シャーロットは心からアティカスのことを好きではなかった。婚約したから、好きになろうとし続けているだけで、好きにならねばならないと思い込んでいたにすぎなかった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛する人のためにできること。

恋愛
彼があの娘を愛するというのなら、私は彼の幸せのために手を尽くしましょう。 それが、私の、生きる意味。

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。
恋愛
「——君を愛してる」 そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった—— 幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。 あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは…… 『最初から愛されていなかった』 その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。 私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。  『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』  『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』 でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。 必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。 私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……? ※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。 ※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。 ※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。 ※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

今から婚約者に会いに行きます。〜私は運命の相手ではないから

ありがとうございました。さようなら
恋愛
婚約者が王立学園の卒業を間近に控えていたある日。 ポーリーンのところに、婚約者の恋人だと名乗る女性がやってきた。 彼女は別れろ。と、一方的に迫り。 最後には暴言を吐いた。 「ああ、本当に嫌だわ。こんな田舎。肥溜めの臭いがするみたい。……貴女からも漂ってるわよ」  洗練された都会に住む自分の方がトリスタンにふさわしい。と、言わんばかりに彼女は微笑んだ。 「ねえ、卒業パーティーには来ないでね。恥をかくのは貴女よ。婚約破棄されてもまだ間に合うでしょう?早く相手を見つけたら?」 彼女が去ると、ポーリーンはある事を考えた。 ちゃんと、別れ話をしようと。 ポーリーンはこっそりと屋敷から抜け出して、婚約者のところへと向かった。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢ナターシャの婚約者は自由奔放な公爵ボリスだった。頭はいいけど人格は破綻。でも、両親が決めた婚約だから仕方がなかった。 「ナターシャ!!!お前はいつも不細工だな!!!」 ボリスはナターシャに会うと、いつもそう言っていた。そして、男前なボリスには他にも婚約者がいるとの噂が広まっていき……。 本編終了しました。続きは「気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにします」となります。

【完結】貴方の望み通りに・・・

kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも どんなに貴方を見つめても どんなに貴方を思っても だから、 もう貴方を望まない もう貴方を見つめない もう貴方のことは忘れる さようなら

【完結】そんなに好きならもっと早く言って下さい! 今更、遅いです! と口にした後、婚約者から逃げてみまして

Rohdea
恋愛
──婚約者の王太子殿下に暴言?を吐いた後、彼から逃げ出す事にしたのですが。 公爵令嬢のリスティは、幼い頃からこの国の王子、ルフェルウス殿下の婚約者となるに違いない。 周囲にそう期待されて育って来た。 だけど、当のリスティは王族に関するとある不満からそんなのは嫌だ! と常々思っていた。 そんなある日、 殿下の婚約者候補となる令嬢達を集めたお茶会で初めてルフェルウス殿下と出会うリスティ。 決して良い出会いでは無かったのに、リスティはそのまま婚約者に選ばれてしまう── 婚約後、殿下から向けられる態度や行動の意味が分からず困惑する日々を送っていたリスティは、どうにか殿下と婚約破棄は出来ないかと模索するも、気づけば婚約して1年が経っていた。 しかし、ちょうどその頃に入学した学園で、ピンク色の髪の毛が特徴の男爵令嬢が現れた事で、 リスティの気持ちも運命も大きく変わる事に…… ※先日、完結した、 『そんなに嫌いなら婚約破棄して下さい! と口にした後、婚約者が記憶喪失になりまして』 に出て来た王太子殿下と、その婚約者のお話です。

【完】お望み通り婚約解消してあげたわ

さち姫
恋愛
婚約者から婚約解消を求められた。 愛する女性と出会ったから、だと言う。 そう、それなら喜んで婚約解消してあげるわ。 ゆるゆる設定です。3話完結で書き終わっています。

処理中です...