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しおりを挟むそんな中にアティカスの本命の令嬢が、しれっと王太子の婚約者候補に入れると思ってまじっていたのだが、そんな彼女にアティカスが色々と言ったのは、すぐのことだった。
彼からしたら、それほどまでしてでも他の男に彼女を取られたくはなかった。だが、彼女からすると余計なことでしかなかったのは、確かだ。
「は? あなたと婚約するわけないでしょ!」
「な、なぜだ?! 私たちは、相思相愛のはずだろ?」
「気持ち悪いこと言わないで! あなたのことなんて、欠片も好きじゃないわよ!!」
「っ!?」
彼にとって本命の令嬢は、好きなものをアティカスが買ってくれるから一緒にいただけで、本命でも何でもなかった。それこそ、シャーロットの婚約者だからというのでもなかった。
アティカスが騒ぎ立てるせいで、浮気していたことが知れ渡ることになったのは、こんなやりとりをこっそりではなく、堂々としていたせいだ。
アティカスと浮気していた他の令嬢たちも、王太子の婚約者候補になれなかったことを知ると頭を冷やして、急に冷静になることになった。だが、その頃には、周りに距離を置かれていたが、気づいていなかった。
「ねぇ、久々にどこかに行かない?」
「……は? あなたとなんて、どこにも行くわけないでしょ。もう話しかけて来ないで」
「え? 何で、急にそんなこと言うの?」
「あなたと友人だと思われたくないからよ。婚約していながら浮気して、王太子の婚約者候補になれるって、浮かれて婚約を破棄したのよ? 何事もなく前みたいに戻れるわけないでしょ。どういう神経しているのよ。信じられない」
その令嬢は、浮気のことがバレているとは思わなかったようだ。びっくりした顔をしていた
それこそ、シャーロットが言いふらしたと思ったようで、愚痴ったのだが……。
「違うわよ。あなたの元婚約者が、そう言っていたからよ」
「え? 彼が??」
元婚約者が出て来るとは思わなかったため驚いたが、シャーロットと言うのに冷めた顔をしたのは、相手の令嬢だ。
「でも、シャーロット様が言っていたと言うのなら、本当に浮気していたってことね」
「あ、そんな、違うの」
誰も彼もが、シャーロットのせいにしようとしていた。自分たちが、浮気していたことが一番悪いはずなのだが、それすらわかっていない。シャーロットが言わなければバレなかったと逆恨みして、別のところから知られていたことに驚いていた。
そんな令嬢たちは、浮気していたことが知れ渡って事実を調べられて、勘当されたり、修道院に
入ったりしていくことになり、次第に静かになっていった。
そうなるまでは、浮気していた令嬢たちは元婚約者と必死にやり直そうとする者も多かったが、元婚約者となった子息からするとそんな令嬢とやり直す気など、どの子息もなかった。
それどころか。浮気の話をするのは酷いと文句を言う人もいたようだが、そんな令嬢も見かけることは、すぐになくなった。
シャーロットは、大騒ぎとなる前にアティカスとあっさりと婚約破棄となっていた。
彼の方は、両親が息子にあれこれ言っていたのすら耳に入っておらず、本命に一直線に思いをぶつけていたようだが、それをわざわざ見物しようとする者はいなかったが、勝手に色々始まるため、見たくなくても見聞きすることになって、大変だったようだ。
本人は、必死だったとしても、はた迷惑でしかなかった。
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