幼なじみに婚約者の浮気について相談をしたら、彼女が浮気相手の1人でした。許してやれなんてよく言えたものです

珠宮さくら

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シャーロットは、アティカスの家から慰謝料をもらってのんびりと隣国に留学していた。その後のことなど、気にしたくなかったので、ゆっくりしていた。

結局、色々ありすぎて王太子の婚約者が決まらなかったことだけは両親からの手紙で知った。ついでに弟を跡継ぎにすることも考えてしまっているようだ。

どうやら、学園で姉を責め立てたことがバレてしまったようだ。

まぁ、わからなくはない。だが、それもこれもシャーロットのせいに弟はしていたようだが、婚約者が中々できない愚痴をとある令嬢たちに聞かれ、こう言われたようだ。


「シャーロット様のせいなわけないでしょ」
「そうですわ。あの浮気も、シャーロット様に魅力がありすぎたせいですもの」
「は?」


弟は、ずっと逆だと思っていた。魅力がないから姉は、浮気されたのだと。


「魅力があるから、浮気して優越感に浸っていただけのこと。それを勘違いして、元婚約者が自分は物凄くモテると思ったから、あんなことになったのよ」
「そうですわ。それなのにそれをシャーロット様の魅力がないせいだなんて、あなたから聞けば、誰が婚約したいと思うのですか? 世の令嬢たちが、魅力的だと羨んでいるというのに。その魅力が実の弟にはさっぱりわからないことで、すっかり有名なのですよ? そんな方と婚約したら、真逆な令嬢だと思われるだけではありませんか」
「っ、」
「そうですとも。魅力の欠片もないから、あなたの婚約者になった。そんなこと言われたくないのですよ」
「ですから、姉君のせいだと言うのもおやめになった方がよろしいですわ」
「もう十分、あなたの目の悪さは知れ渡っていますから」
「っ!?」


弟は、それを聞いて部屋に閉じこもってしまったようだ。

そんなことを言った令嬢たちは、シャーロットのことをずっと悪くいっていたことによほど苛立っていたのだろう。わからなくはない。実の姉のせいにする以外、自分に落ち度は欠片もないと思っていたのだ。

傍から見れば落ち度だらけだったはずだ。それで、ただですら少ない友をなくしたようだ。

そのため、引きこもった弟を心配してくれる者もいないようだ。

もっとも、そんな弟のことを知ってもシャーロットはフォローする気にはならなかったが。ただ、そこまで嫌われる前まで、友達がいたことに驚いてしまう程度だった。

他の令嬢たちは、今回のことで、学園が静かになっていいと手紙に書いていた。大方、浮気していた令嬢たちは家の恥をさらしたとして、勘当されたり、修道院に入ったりしたのだろう。誰がどうとは詳しくなかったが、そんなことだろう。

今は、新しい婚約者を探す子息たちが多くいて、そんな令嬢たちは王太子が婚約者を探しているのを理由で婚約の話が上手くいかない者たちばかりとなり必死になって婚約者を探すのを見かねて、王太子はそれで選ぶ気がなくなってしまったようにおさめたようだ。


「この国に私の望む令嬢は、もはやいないようだ。みんな、素晴らしいから婚約者が既にいるのだな」


そう、リーヴァイが言ったことで素晴らしくないから婚約者がいないと思われたくないとばかりに渋っていて令嬢たちは、婚約してもいいと言い出しているようで、それはそれで相手の子息が考え直したくなっているようだ。

まぁ、元よりシャーロットの頼みだからと無理を聞いてくれただけに過ぎないのだから、そうなっても無理はないと思ってもいた。

決まらなきゃ、駄目なはずなのにシャーロットは、決まらなかったことにホッとしていた。王太子の婚約者が決まらなかったことにシャーロットは、そんなことを思ってしまっていた。

姉の頼みだから、叶えるまで頑張らなければならないのだろうが、シャーロットは気が進まなかった。それを頼まれた時から、ずっと、一番やりたくないことが、それだった。

シャーロットの好きな人は、アティカスではなかった。どんなに好きになろうともできなかったのは、シャーロットには好きな人がいたのだ。それは……。


「シャーロット」
「っ、」
「留学しているからといって、1人でこんなところにいるな」
「リーヴァイ様……?」
「ん? どうした?」


留学しているのになぜ、王太子がここにいるのか。シャーロットは、びっくりしてしまった。いつの間にか寝てしまったのだろうか?

だが、シャーロットの目の前にいる王太子は、本物のようにしか見えない。

品行方正で、優等生ではない。素の王太子が、シャーロットの目の前にいた。


「なぜ、ここに?」
「お前が、何の相談もなく留学するからだ。私に婚約者を選ばせるなら、最後まで付き合え」
「……では、こちらに気になる方がいらっしゃるのですね」


シャーロットは、留学するなら別のところにすればよかったと後悔していた。

どうやら、あの国に相応しい令嬢がいないと言ったのは、本音のようだ。


「あぁ、いる」
「……」


それを聞いて、シャーロットは表情を消した。いつか、来ると思っていた。

それを彼本人から聞くことになるとは思わなかったが、逃げ出すわけにはいかない。

シャーロットは、何でもない顔をしようとして頑張っていたが、ちゃんとてきているかわからなかった。


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