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しおりを挟む「転校生の隣ってだけで大変みたいだな」
芽衣子はクラスにいられなくなったというか。雰囲気が悪くなったとか、息苦しさを感じているとか、色々と混ざりあって幼なじみの天唯のいる隣のクラスに逃げるようになっていた。
彼とは、母親同士が芽衣子たちのことを1日違いで生んだことで、母親たちはそれで仲良くなった。その後、色々とあったことで、芽衣子たちは必然的に仲良くなった。既に血の繋がった兄弟姉妹よりも仲が良く成長した。
幼稚園、小学校、中学校、そして高校にあがった今でも、何かあると芽衣子は天唯の側にいるのが当たり前になっている。
彼も色々あって、一時は荒れに荒れていたが、今はすっかり大人しくなっていて同年代の男子よりも寛大だ。最もみんなにではない。芽衣子に対しては特に寛大だったりする。
天唯の言葉に芽衣子は……。
「大変なんてものじゃないよ。みんな、私みたいなんだもん」
「……お前みたいって?」
「お尻が大きすぎるのか。足の位置がわかってないのか。私の机にぶつかりまくるのよ。机の物、全部仕舞うと机に座られるから嫌だし、出しっぱなしにしてるとぶつかった拍子に落ちたりする。ずっと座ったままなんて、そんなことされたくない。無理」
「……」
「私もよくぶつかるけど、みんなもよくぶつかるみたいなの」
「……」
愚痴るつもりはないが、疲れた顔で芽衣子はそんなことを言っていた。それを聞いている天唯が何とも言えない顔をしていることに全く気づいていなかった。
幼なじみのせいか。お互いの兄弟よりも仲がいい。天唯には兄と姉がいて、芽衣子は天唯の上の兄姉とも仲がいいが、天唯は実の兄姉とはいまいちだったりする。
逆に芽衣子の方は、上にはいないが双子の弟妹たちがいて、どちらもやんちゃで、天然の強い芽衣子はそんな弟妹たちにいつも色々されて大変だった。
でも、芽衣子の弟妹たちは天唯とは仲良くしていて、芽衣子は羨ましいとは思わないが天唯が家に来たとなると弟妹たちが天唯の側に駆け寄るのを見て、どっちが兄弟なのかと疑問に思うのは、いつものことだった。
それこそ、天唯も実の兄弟が芽衣子と仲良くしているのを芽衣子が家に来た時には見るのだ。同じようなことを思っていたが、それだけだった。
天唯が弟妹たちと一緒になって、芽衣子に何かして来ることはなかったし、芽衣子も幼なじみの兄弟と意気投合しすぎて幼なじみを笑い者にしたり、除け者にすることはなかった。
そんな幼なじみの2人は、小学校、中学校が一緒だった面々には見慣れた光景になっていた。昔は、冷やかす生徒も多かったし、2人が幼なじみだと知っていても知らなくとも、冷やかすような輩はいた。だが、芽衣子はこの通り天然だし、天唯は天然ではないが、何を言われても動じるなんてことを最近では全くしなくなった。
流石に今回の芽衣子の言葉に目を白黒させたが、それについて何か言うことはなかった。それこそ、何か言っていたら、芽衣子は怒らずとも、他の女子に袋叩きになっていただろう。
「マジかよ。尻が大きくてぶつかりまくってるなんて思ってる奴いるんだな」
「それこそ、尻がデカくてぶつかりまくるなら、そんなのどこにでもいるよな」
芽衣子の声が聞こえた男子が、そんなことを言ってゲラゲラと笑っていたが、それが聞こえた女子が眉を顰めてサイテーだとその男子たちを何とも言い現せない顔と目で見た。
天唯のクラスの雰囲気も悪くさせ始めている自覚が全くない芽衣子は……。
「このクラスも、男女であんまり仲良くないみたいだね」
「……」
呑気に自分が言葉にしたのを拾ったことで、険悪になっているという自覚が芽衣子には全くなかった。
天唯は慣れたもので、それにもノーコメントを貫いていた。それに不用意なことを言えば、クラスの女子を敵にする。芽衣子はそんなことになっても、この調子のままなのは長い付き合いでわかる。すぐに忘れるだろうが、そんな風に忘れてくれる女子は少ないはずだ。なので、沈黙していた。
その間にお尻うんねんの議論で、男子と女子が言い争う事態になってしまったが、芽衣子はそろそろ戻らなきゃと何事もなくクラスに戻って行った。
天唯は、幼なじみとよくいることで冷やかしが馬鹿にされていることもあったが、それに芽衣子がきょとんとしていることが多くて、大概が何を言われているのかに気づいていないまま終わることが常だった。何かあるごとに天唯のところに来ることをやめることはなかったが、その来ている理由がズレているのだ。
そのせいで、天唯のクラスの男女もしばらくちょっとした発言だけでも、嫌味に捉えてしまって、口論になるようになったが、天唯はそれでも我、感せずなままでいた。
こうなるのが初めてではないため、それに一々動じていては、芽衣子の幼なじみなんてしてられはしない。天唯がしたのは、幼なじみだろうとも、他の女子だろうともお尻に注目しないことだった。
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