前世のことも好きな人を想うことも諦めて、母を恋しがる王女の世話係となって、彼女を救いたかっただけなのに運命は皮肉ですね

珠宮さくら

文字の大きさ
35 / 63

34

しおりを挟む

会社を辞めることになった息子と可愛い孫や娘夫婦からも縁を切られて、怒り心頭になっていた。

会社を解雇されることになり、怒っていた。そんな2人が怒ったのは……。


「これも、あの女のせいだ!」
「そうね。死んでからも、邪魔にばかりして、人の人生めちゃくちゃにして信じられないわ!」


何もかもを亡くなった嫁のせいにし続けた。

夫は、それでも浮気相手がいると思っていたが……。


「は? 結婚? するわけないでしょ」
「へ?」


その浮気相手は、ライバル会社に本命の男がいたようで、仕事を台無しにするのが上手いくらいしかできない男を利用していたようだ。

そんなこと知らずに才能があるのだからと色々言われて、得意先に率先して先回りしたり、自分がいいと思ったことをしていたが、それでライバル会社の利益になっていたのだ。


「ふふっ、上手くいったから、たくさん買ってもらえて、褒められたの。ありがとう。でも、それだけよ。もう、連絡して来ないでね」
「……」


そう言われた方が呆然としている間に笑顔で女性は証拠隠滅とばかりに男のスマホを持って消えた。

そして、中の情報が全て消去されるようになっているウィルスを仕込んでから、店を出ようとした時に落とし物だと言って店員に渡して、その場を出た。

男は、ハッとなってから慌てて動き出したが、スマホが手元に戻って来ても女に会うことはなかった。

騙されたと被害届を出そうにも、証拠がなくなっていて、男が喚き散らしても誰も信じる者はいなかった。








亡くなった母の方の祖父母が育てることになったが、そんな風に孫の父親は何もかも失ったのだ。養育費だけでも支払わせようとしても、それをするだけでも一苦労だった。

それでも、そんなことになっていることを孫に悟らせないように育てられることになった。

でも、祖父母も年なことでぎっくり腰になって2人がいっぺんになってしまい、入院することになってしまったのだ。

そこから、2人は話し合って老人ホームにはいることにした。

母を亡くした子供が、母親の姉夫妻の養子となり、従兄妹たちと仲良く暮らすことになるのも、割とすぐのことだった。

すぐに姉夫妻の養子にならなかったのは……。


「ママ……?」
「違うわ」
「っ」
「君のお母さんとは、双子なんだ。君のお母さんの姉だ」
「……」


母に似ているが、つれない態度に泣きそうになるのを見て、姉の夫は優しい声音で説明した。

そっくりな見た目なため、母を亡くした子供には、あまりいい環境ではないと思って祖父母のところにいたのだが、そんなことを言っていられなくなったのだ。


「はぁ、うちの子たちだけでも大変なのに」
「そんなことを言うな。君の妹の子供じゃないか」
「だから、嫌なんじゃない」
「……」
「っ、私は、娘で手一杯なのよ!」
「そうだったのか? 病室にもあまり顔を出さず、息子のことは義両親に任せて、好き勝手しているようだが?」
「っ、たまに休んだらいけないの?!」
「たまにならいいさ。だが、君は……」


そんなことで、大喧嘩となったが、それでも養子にした途端、離婚したとあっては気に病ませると思って保留されることになったが、双子でそっくりなのは見た目だけで、中身は全く違っていた。

そのため、母を亡くしたばかりでも、全く別人だとわかって、それが良かったようだ。

前々から、従兄弟同士なこともあり、妻があんなんでも夫は違う。そんな父親によく似た息子は、養子となった従弟を何かと気にかけて、すぐに2人は仲良くなった。意地悪いことをすることも、されることもなく、本当の兄弟のようになるのもすぐだった。

それも、これも従妹から義妹となった子供が病弱で、従兄であり、義理の兄となった人物と一緒になって、喜ばせようとして日々を過ごしていた。

親がかかりっきりになっていた義兄は、今度は従弟から義弟になった少年に自分のような寂しい思いをさせられないと兄らしくふるまったが、元より優しい少年は無理することをさせなかった。

義兄と言っても数ヶ月しか違わない。見た目もよく双子に間違われるほど、似ているのだ。


「あら、双子ではないの?」


双子のようにそっくりな2人は、従兄弟だとその後の説明がややこしくなるため、双子ということにしたのは、同学年なため同じ学校に通うようになってからだった。ただし、自分たちから双子だとは言うことはなかった。

でも、可愛がっていた義妹は病気がよくなることなく悪化してしまい、母親を亡くした数年後には、その子まで亡くすことになって、ショックを受けてしまうことになるとは誰も思いもしなかった。

娘の母親は、娘を亡くしたショックからか、以前とは別人のように息子たちの面倒を見るよい母親であり、よい妻になった。

それを見ていた彼女の夫や周りは、昔の彼女に戻ったと思った。それもこれも、娘の病気で気が変になっていただけだと思った者もいたようだが、まさか、そっくりなことを利用して、入れ替わっていたなどと思う者は少なかった。

入れ替わっていたのは、中身だけだと気づいていたのは、姉の夫だけだった。あり得ないことだが、身体は妻だが中身が違っていたのだ。

妹が亡くなったと聞いて、戻って来るのではないかと期待していたが、その通りにならず諦めかけていた。

それが、姉の妻が戻ってきたのだ。姉の夫だけが、やっと妻が戻って来たとぽつりと呟いたが、それを知る者はいなかった。

それは、ともかくとして、義妹となっていた女の子が亡くなった母と同じ異世界に転生することになり、そこで出会うことを知るはずもなく、そこに自分と義兄に似た双子がいることも知ることはなかったし、他の者も年齢が違っても、そこにいることを知るよしもなかった。

そして、姉妹の面倒ばかりを起こす方がしでかしたことで、数奇な運命をたどりながらも、ファティマは記憶を持ったまま、前世の世界と生まれ変わった世界を行き来することになるとは思いもしなかった。

まして、姉妹の世界の均等を保つためにファティマが奔走することになるとは、彼女も、彼女の周りにいる者たちも誰も気づいていなかった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』

放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」 王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。 しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!? 「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!) 怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。

悪役令嬢に仕立て上げられたので領地に引きこもります(長編版)

下菊みこと
恋愛
ギフトを駆使して領地経営! 小説家になろう様でも投稿しています。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?

水無月あん
恋愛
本編は完結してます。8/6より、番外編はじめました。よろしくお願いいたします。 私は、公爵令嬢のアリス。ピンク頭の女性を腕にぶら下げたルイス殿下に、婚約解消を告げられました。美形だけれど、無表情の婚約者が苦手だったので、婚約解消はありがたい! はれて自由の身になれて、うれしい! なのに、なぜ、近づいてくるんですか? 私に興味なかったですよね? 無表情すぎる、美形王子の本心は? こじらせ、ヤンデレ、執着っぽいものをつめた、ゆるゆるっとした設定です。お気軽に楽しんでいただければ、嬉しいです。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

処理中です...