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しおりを挟む「颯も、いなくなった?」
「晃。もしかして、珠紀ちゃんのこと聞かれたのかも知れないぞ」
「……」
翔太の言葉に晃の表情は更に厳しいものになっていた。
「晃様、これが颯様のお部屋にありました」
「これは、手紙か……?」
「恐れながら、珠紀様の自作自演なのでは?」
「おい、何を言ってるんだ!」
「颯様をおびき出そうとした可能性もあります」
「……これは、珠紀さんの書いたものじゃない」
「晃。それは、本当か?」
「あぁ、何より彼女は颯のことを颯くんと呼ぶ。王子とは、決して呼ばない」
それにと晃は一番の理由を口にした。
「こんなに字が汚くない」
「確かにこれは、人間界の文字に不慣れな奴の字体だな」
隊長も、晃から手紙を受け取り、それを見て眉を顰めていた。
「なぁ、これを届けたのは、誰だ?」
「し、調べてまいります」
翔太の言葉に珠紀のことを悪く言っていた女官長が、ハッとした顔をして慌てて、確認しに行った。
「あいつらに聞いてみたか?」
「問い詰めてはいるが、埒があかない。だが、女に珠紀のことを話したようだ。珠紀に子供をシッターしてもらって、王族とも仲良くなれたらと良縁になるからと金を積まれて、飲まされて、それ以上のことも話した可能性はある」
「珠紀ちゃんを餌に颯をさらうのが目的だったとしたら」
「猫さらいの連中か」
晃だけでなくて、猫さらいと聞いて、みんなが殺気だった。
「どちらも、連れ戻す」
晃の言葉に頷く者しかいなかった。
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