右腕狩りのヨシュア

彗星無視

文字の大きさ
1 / 21

★作中用語&キャラクター解説

しおりを挟む
作中用語と登場人物の解説です。特にお読みいただかなくても本編の理解に支障はありません。なにぶん固有名詞の多い作品のため、「これなんだっけ……」と思った時にでも見ていただけると幸いです。
また、ネタバレは避けています。

<作中用語>

・教会
 全能を持つ唯一神、パンドラを崇める集団であり国家そのもの。
 エイシズ教国の中心、プリオリアに教皇のいる本部教会があり、そこから指令をもらう支部教会が各地に点在する。

烙印祓いエクソシスト
 異世界転生者を殺害する、教会の戦闘部隊。
 基本的に、修道院の中にある祓魔師養成施設・オラクルを経て就任する。
 エクソシストは例外なくピクシスという黒い立方体の道具を用いる。その関係上、必然的に隻眼になる。

・ピクシス
 教会の特殊な技術によって造られる、真っ黒い立方体。手のひらから少しあふれるくらいの大きさ。
 唯一神パンドラが所持するとされる全能の甕《かめ》、ピトスの模倣。
 面のひとつに黄金色の眼球が埋め込まれる。これは奇蹟の眼ピスティス……あるいは単に移植眼球と呼ばれ、文字通り持ち主のエクソシストの片目を移植している。
 魔術的な経路《パス》を通してエクソシストの視神経をつながっており、視界を得ることができる。このピスティスから得る視野を第二視野と呼び、慣れるまではそれなりの訓練が必要である。
 ピスティスは暗視、烙印透視、異能解析、そして聖寵の機能を持つ。

・聖寵
 転生者の持つ異能に対抗する、烙印祓いエクソシストたちの持つピクシスに宿る特殊能力。
 神が宿す奇蹟とされ、全能の一端であり、このためピスティスを得ることは最大の信仰の証とされる。

炯眼使いウォッチシスターズ
 通称シスターズ。非戦闘員のシスターたちの役職。各地の教会で布教の傍ら、その地域を見て回る。烙印透視の機能を持つ『炯眼』で転生者を発見する仕事。
 彼女らの働きがあってこそ、エクソシストたちは転生者を狩りに出向くことができる。
 エクソシストとは反対の、真っ白い色のピクシスを持つ。

・炯眼
 ウォッチシスターズの持つ白いピクシスに埋め込まれた眼球。
 移植眼球ではなく人工眼球。エクソシストのピスティスのように生来の眼球を使わず、使用時だけ視神経とのパスがつながる。またこの時、片目の視神経を占有するため、パスのつながる方の目を閉じるか、眼帯などで視界を塞ぐ必要がある。そうしなければ視神経上でコリジョンが起きてしまい、視界がおかしくなる。つまり視野を三つにはできない。
 要は劣化したピスティスであり、暗視や異能解析の機能はなく、聖寵もない。ただ烙印透視の機能だけはあるため、ウォッチシスターズたちはこれを使って、生来の眼球を損ねることなく危険な転生者たちを見分け、教会に伝達することができる。
 普段は黒色で、使用時は赤く光る。

・魔術通話機
 各教会に置かれている、電話みたいなやつ。
 各教会同士の通話機は魔術的な回線につながれており、これはピスティスと視神経が目に見えない経路でつながっていることと似通っている。
 維持費が高いらしい。

・異世界転生者
 ニホンなる異世界の国から、悪魔によって呼び寄せられた邪悪なる『悪魔憑き』。
 本人たちは神を自称する存在によって転生させられたと宣う。しかし、神とはエイシズ教国においては全能を持つもの——パンドラのことのみを指すため、教会では彼らの言う神を、それを騙る悪魔であると定義する。
 その右腕に、黒い螺旋模様が刺青のように刻まれている。

・烙印
 悪魔によって転生者の右腕に刻まれた異能の証。
 黄金色に光る。烙印が発光状態になることを烙印励起という。これは転生者が自身の意思で行い、この状態になると異能が使用可能になる。
 なお、それとは別に烙印は光を当てると、それを吸収するようにほのかに発光することがわかっている。
 烙印払いエクソシストたちは転生者を殺害し、その右腕を切断して持ち帰る。烙印の宿る右腕はその後、教会の儀式によって清められ、亡くなった転生者の魂とともに聖なる加護につつまれ大地へ還る——
 と、される。

・異能
 悪魔が与える、転生者たちの右腕の烙印に宿る力。

・悪魔
 神を自称し、異世界から転生者を呼び寄せる元凶。
 ピンポイントでド悪党の日本人のみをリクルートしてくる。

・エイシズ教国
 主大陸の北東に位置する宗教国家。物語の舞台。比較的大国。

・プリオリア
 物理的にも比喩的にも、エイシズ教国の中心に位置する町。
 聖都とも呼ばれ、教皇のいる本部教会もこの町に存在する。

・ラダムフォスト
 プリオリアから遠く東にある田舎町。町はずれの坂の上に支部教会があり、元エクソシストのドルヴォイが司教に就いている。

・イブベイズ
 森を隔て、ラダムフォストの東にある町。ラダムフォストよりはいくぶん都会的。

・ラニア
 南方の村。坂水零一という異世界転生者により、一夜にして廃村になった。


<登場人物>

●ヨシュア・トロイメライ
 16歳。長身で大人びた、青い目と髪を持つ男性。主人公。
 口数はあまり多くない。
 10歳の時、住んでいた村を異世界転生者に滅ぼされた。自身も家族たちと同じように殺されかけていたところを、当時烙印払いエクソシストであったドルヴォイに助けられる。その転生者はドルヴォイによって祓われ、身寄りをなくしたヨシュアは祓魔師養成施設オラクルに入所。三年の養成機関を経て、13の頃からエクソシストとして働く。
 復讐する相手も、家族もいなくなってしまったが、自分のような転生者の被害に遭う人間を少しでも減らすべく烙印の右腕を狩り続ける。

●アイラ・スノーボール
 15歳。少し空回りしがちな新米エクソシスト。
 金髪碧眼、顔立ちにはまだ幼さがやや残る。左利きで利き目も左だったため、ヨシュアやドルヴォイとは逆に、左の眼球を眼窩に残し、右目をピクシスに移植した。
 まだピスティスの第二視野に慣れておらず、聖寵もうまく使えない。
 三年前、転生者に両親と弟を殺害され、祓魔師養成施設オラクルを経てエクソシストに。ヨシュアと似た境遇。
 暗闇が怖い。

●ドルヴォイ・アルデンテ
 常ににこやかな、隻眼隻腕の大男。37歳。
 ラダムフォスト支部教会の司教。しかし以前はヨシュアたちと同じ烙印払いエクソシストであり、五年前に任務で右腕を失ってから、加齢による衰えもあって引退した。
 異色の経歴ではあるが、現場を知るため、エクソシストとの円滑な連携を本部にも評価されている。
 ヨシュアの恩人。

●パトゥ・ナルコレプシー
 イブベイズの支部教会に所属する炯眼使いウォッチシスターズ
 23歳。薄緑の髪色。引っ込み思案でおどおどしているが、職務には忠実。

●ターニア・オムレツ
 36歳。本部教会に属する三聖司教のひとり。甘いものが好きだが、周囲には隠している。

神澤天志カミザワタカシ
 異世界転生者。26歳。世界が自分を中心に回ると捉えている節がある。

持木幸雄モチキユキオ
 異世界転生者。三十代。日本では無期懲役になっていた。

坂水零一サカミズレイイチ
 異世界転生者。ヨシュアの家族を殺し、村を滅ぼした異常者。人殺しをなによりの娯楽と語る。
 『停滞』の異能を所有。既にドルヴォイによって殺害済み。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

ギルドの受付嬢はうごかない ~定時に帰りたいので、一歩も動かず事件を解きます~

ぱすた屋さん
ファンタジー
ギルドの受付嬢アイラは、冒険者たちから「鉄の女」と呼ばれ、畏怖されている。 絶世の美貌を持ちながら、常に無表情。そして何より、彼女は窓口から一歩も動かない。 彼女の前世は、某大手企業のコールセンター勤務。 営業成績トップを走り抜け、最後には「地獄のクレーム処理専門部署」で数多の暴言を鎮めてきた、対話術の怪物。 「次の方、どうぞ。……ご相談ですか?(クローズド・クエスチョン)」 転生した彼女に備わったのは、声の「真偽」が色で見える地味な能力。 だが、彼女の真の武器は能力ではなく、前世で培った「声のトーン操作」と「心理誘導」だった。 ある日、窓口に現れたのは「相棒が死んだ」と弔慰金をせしめようとする嘘つきな冒険者。 周囲が同情し、ギルドマスターさえ騙されかける中、アイラは座ったまま、静かにペンを走らせる。 「……五秒だけ、沈黙を差し上げます。その間に、嘘を塗り直すおつもりですか?」 戦略的沈黙、オウム返し、そして逃げ場を塞ぐイエス・セット。 現代のコールセンター術を叩きつけられた犯人は、自らその罪を吐き散らし、崩れ落ちる。 「あー、疲れた。一五分も残業しちゃった。……マスター、残業代三倍でお願いしますね」 これは、一歩も動きたくない受付嬢が、口先だけで悪を断罪し、定時退勤を目指す物語。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...