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第2章 鮮烈なるイモータル
★キャラクターシート ①
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注:二章完結までのネタバレを多分に含みます。
二章完結時点での登場人物の解説です。あくまでまとめなので、特にお読みいただかなくとも本編の理解に支障はありません。
__
・イドラ
主人公。二章時点で十六歳、母譲りの茶色い髪を持つ。
恩師となるはずだったウラシマを亡くしたのち、失意に囚われ三年の間大陸を放浪し、イモータルを狩り続ける。そのうちに『不死殺し』などと呼ばれるようになった。
左手首にはウラシマの形見である腕輪をはめ、右の腰に通常のナイフ、そして左の腰に自身のギフト——十歳の時にすべての人間が天より賜る恵み——であるマイナスナイフを差している。また、携帯食料や火打ち道具なんかも腰のポーチに入れている。
幼い頃の気弱さは、旅をする上で必要な臆病さへと変じた。ただし大陸を闊歩する不死の怪物・イモータルを殺すことに対しては、復讐や贖罪に近い複雑な気持ちを抱き、抑えが効きづらくなる。しかしそれも、三年間の放浪の末、出会った少女のおかげで折り合いをつけることができた。
●ギフト:マイナスナイフ
ATK:-65535/DEF:0/INT:0/RES:0/RARITY:1
百年に一度の頻度でしか生まれないレアリティ1。その異常なマイナスのATKから、どんな傷をも治し、不死のイモータルを傷つけることができる。
ラピスラズリのような、静かにきらめく半透明の青い刀身をしている。
身体の切断された部位に対して治せるかどうか試したことは未だないが、イドラはなんとなく傾向的に、傷口は癒えても失った部分までは戻ってこないと考えている。
ギフトは持ち主に合わせて成長することが多いが、イドラの場合は十歳の頃からなにひとつとして変化がない。
・ウラシマ
黒いローブを身にまとう、ロングヘアーの落ち着いた若い女性。旅人であり、その目的も含めて謎めいた雰囲気を持つ。
オルファの凶行によって命を落とし、謎を明らかにすることなく、約束していたイドラとの旅を果たすこともできず亡くなった。
死体は消失した。
『空の上に行け』というまた謎めいたメッセージと、頑丈な黄金の腕輪、それとワダツミのみをイドラに遺す。
・ソニア
とある集落にて監禁されていた、真っ白い髪と橙色の瞳を持つ少女。『不死憑き』と呼ばれ疎まれていたところを、イモータルと混同した噂に引かれてやってきたイドラに救出され、それ以来イドラの旅に同行する。
一年ほど前、謎の男性によって肉体を改造され、イモータルに近づけられた。その結果髪が真っ白になり、肌と目の色も少し薄くなる。また身体能力もかなり向上し、病気がちだった体は長時間歩き詰めでも平気に。地震に乗じることでなんとか逃げだしたものの、そのイモータルを想起させるようになった容姿から再び檻の中へ閉じ込められることになる。
毎晩、イモータル化の発作により、耐えがたい苦痛とともに徐々に肉体が不死の怪物へと近づいていく。これを止められるのはイドラのマイナスナイフのほかになく、身体的な意味で依存関係にある。また、ともに自身を罪人だと判決する者同士として、彼とは互いを肯定しあう精神的な共依存の関係でもある。
元々は明るい性格だったが、過酷な経験から少しおどおどするようになった。また、周囲に『不死憑き』と侮蔑され続け、夜な夜な進むイモータル化にも苛まれ、自分のことを存在してはならない怪物と感じるように。しかしそれも、岩屋から連れ出してくれた旅人のおかげで赦しを想うことができた。
ヴェートラルとの戦いで、イモータルの力をより引き出す技を偶発的に用いた。使用中は発作状態のような見た目になり、ただでさえ人間を凌駕した身体能力がさらに向上する。その膂力は自身より何十倍も巨大なヴェートラルを真っ向から押し返すほど。なお自力での解除はできず、発作の時と同様にイドラのマイナスナイフで停止させる形となる。
●ギフト:ワダツミ
ATK:51/DEF:13/INT:0/RES:0/RARITY:24
刀身に緩い湾曲のある、刃渡り70cmほどの日本刀。柄巻には藍色の糸が使われている。
元々はウラシマが所有していたものだったが、イドラを経由し、今はソニアに渡された。
氾濫と口にすることで、刀身から透明な水を湧き出させる能力を持つ。しかも薄っすらと桃のフレーバーがついており、おいしい。
ギフトの能力はそれを天より賜った本人にしか使用できないはずだが、なぜか氾濫の能力はイドラにもソニアにも使用できた。
余談であるが、日本刀の刀身の側面には樋と呼ばれる細い溝が彫られているものがある。ワダツミの水はこの樋から出てきているようだ。非戦闘時では飲み水になるほか、戦闘においては水流を飛ばして攻撃したり、魔物を斬って付着した血や脂を洗い流すことで威力の低下を防いだりと、ステータスは高くないが意外と小回りの利くギフトと言える。
ウラシマも長年重宝していたようだ。
・オルファ
亜麻色の長い髪と緑がかった瞳、そしてどこか気の抜けるほんわかした表情が特徴のシスター。
しかしその雰囲気は本性を覆い隠すための偽装であり、真の性格は残忍そのもの。ひどく利己的で、自分のためなら他人がいくら傷つき、命を落とそうが微塵も気にかけない。
一章時点で二十三歳。アサインドシスターズの任期は七年であり、一章では残った四年の任期をなにもない村で過ごすことに耐えかね、協会の知識を悪用して魔物やイモータルを村に引き寄せる事件を起こす。
村が壊滅すれば任期もなくなるという目論見だったが、イドラによって阻止される。しかしいち早くオルファに不審なものを感じ、単身で彼女のもとへ向かったウラシマは殺害されてしまった。
北の国の生まれであり、苦しい家計からロトコル教の修道院へ入った経緯を持つ。父はおらず、それでも母と優しい姉とで過ごした幼少期は宝物であり、いつの日か故郷に帰って昔のように家族で過ごすのが夢。
事件の後は聖堂へと身柄を連行され、なんらかの処遇を受けることになったと思われる。現在は……?
●ギフト:ホーリー鎖鎌ちゃん(正式名称:シルバースネーク)
ATK:20/DEF:10/INT:0/RES:0/RARITY:25
本人の意向によりふざけた名前を付けられている。
鎌に鎖がつながれた鎖鎌。特筆するべきはその鎖で、ギフトの能力によりなんと約5~30mにまで伸縮する。変幻自在、まさに蛇のような一撃が敵を襲う。
しかしながら殺傷力には欠け、使い手に急所を的確に狙い撃つ技術もなく、オルファがエクソシストになれるほどの実力はないと言わざるを得ない。
・リティ
茶色い髪と瞳の、イドラの母親。
夫を一章の十年前に亡くし、イドラにはどこにも行ってほしくないと願っていたが、葛藤の結果イドラの背を押すことに決めた優しい母。
食器作りが趣味。イドラが旅に出てからは家に食器が余って仕方がないらしい。
また、ロトコル神とその御業によって創られた大地と自然に感謝をささげる感謝祭では、毎回ギフトの扇を持って舞を踊る。その優美さは息子であるイドラさえ見とれてしまうほど。
●ギフト:旋風扇
ATK:10/DEF:10/INT:10/RES:10/RARITY:10
風を起こす能力を持った扇。
かまいたちのようなものを起こして攻撃もできるが、リティはその風の音でうまく木管楽器のような音を出すよう練習し、誰も傷つけない芸として昇華させてみせた。
・ヤウシュ
イドラの父。故人。
金を稼ぐため王都の兵に志願。北の国境付近の任で、イモータルに襲われ死亡。
昔から好奇心旺盛で、気が強くなんでもやってみようとする性格。それをたしなめる幼馴染のリティ、というような関係だったようだ。
●ギフト:翠蝶
ATK:40/DEF:15/INT:10/RES:10/RARITY:5
柄の両端に刀身が生えた不思議な短剣。刀身はわずかに透き通る翡翠色で、翼を広げるかのような歪な形をしている。
空中を舞う能力を持つ。
リティにとって大切な形見。
・イーオフ
イドラと同じメドイン村の生まれ。優れたギフトを持ち、村長の息子というのもあって自尊心の高い子ども。苛烈さがあふれ出たような、真っ赤な髪と瞳が特徴。
マイナスナイフを紙さえ切れない『ザコギフト』と揶揄していたが、村に魔物が入り込んできた際に助けられ、イドラのことを見直す。
イドラが村の外に憧れていることをいち早く見抜いていた。イドラのことをからかっていたのは、ひ弱な彼が外の世界に出て危険な目に合わないようにする、あまりに不器用な気遣いだったのかもしれない。
故郷にいる、イドラの数少ない大切な友人。
●ギフト:プロミネンス
詳細不明。炎をまとう剣。
・ミロウ
金髪碧眼、分厚い氷のような印象の女性。二章時点で二十三歳。戦闘時以外、常にダークブラウンの革手袋をしている。
十八歳の頃、協会のエクソシストになり、それ以来隙のない優秀さで頭角を現す。これまでに葬送したイモータルの数は十二で、その実績からレツェリ司教には『精密十指』の名を与えられた。
優秀さに裏付けされたプライドから、当初はぽっと出の『不死殺し』に対抗心を燃やしていたが、ともに行動するうちに信頼するように。
やや没落した貴族の生まれであり、父からは常に「正義と責任を持って行動しなさい」と教えられてきた。
小さな弟がいる。
●ギフト:輝糸
ATK:20/DEF:10/INT:0/RES:10/RARITY:5
微かに光る極細の糸。両手の指先に巻きつけていて、計十本。一本一本の長さは八メートルほどで、本人の意思で自由に周囲を動き、切断から拘束まで自在。
ギフトは基本的に武具の形を取るものであり、このような例は稀。実質的にギフトを十個保有しているようなものであり、そしてそれを同時に使いこなす技量もずば抜けている。ミロウが葬送協会エクソシストの筆頭であることに異を唱える者はいないだろう。
また、普段は見せない奥の手があるそうだが……?
・ベルチャーナ
浅葱色のウェーブしたロングヘアが目を引く、笑顔のチャーミングな少女。発育のいい見た目からはわかりづらいが、実はまだ十四歳で、その爛漫さも年相応と言えるかもしれない。
喋り方が特徴的で、自分のことも「ベルちゃん」と呼ぶ。
北の連邦の生まれだが、同じく協会所属のオルファとはまったく別の地域で育ったようだ。
葬送教会のエクソシスト。人当たりがよく実力もあり、またギフトの方向性から、色んなエクソシストとタッグやチームで行動することが多い。が、凄腕のミロウについていけるエクソシストは多くなく、ミロウはベルチャーナと組むことが多い。
天涯孤独の身。完全にイモータルを殺しきる不死殺しには、茶化した笑顔の奥に特別な感情がある。それは憧れ、羨望、嫉妬——あるいは恋慕にさえなりうる、密やかで複雑な、形容しがたい大きな想い。
戦闘向きのギフトを有していないにも関わらず、高い身体能力と聖水への深い造詣によって戦闘面も他のエクソシスト以上に優秀である。
●ギフト:ヒーリングリング
ATK:0/DEF:0/INT:0/RES:100/RARITY:5
銀色のやや分厚い指輪。傷口に近づけることで傷が癒える。リングがほのかに放つ暖かな光はぽかぽかとして心地いい。
ベルチャーナは長めのチェーンを通し、首から下げている。
ミロウの輝糸と同じく、これもいささか稀なギフトと言える。
傷を治すというマイナスナイフと同じ効力を持つが、その過程はまったく別。マイナスナイフの「治癒」とも「時間遡行」とも違う「デフォルトへの引き戻し」と比べると、ヒーリングリングのそれはかなりまっとうな「治癒」であるため、深い怪我は治りを促進するもののすぐすぐ治しきれはしない。
しかし、痛みを代償にして強引に傷をなかったことにしてしまうマイナスナイフでは、体と精神を乖離させてしまう恐れがある。体の傷だけでなく、心の傷まで暖かな光で癒そうとするヒーリングリングの力と単純に比較するべきではないだろう。
・ホルテルム
黒い短髪の大男。頬に魔物との戦いでできた大きな傷を持つ、巨獣のような佇まいのエクソシスト。三十一歳。
セッショ大陸の生まれ。過酷な土地で生き延び、魔物ハンターや傭兵として各地を流れ、やがて六年前にランスポ大陸に流れ着いた。
今は協会に身を置き、戦いの日々で培った技術を魔物やイモータルに振るっている。
口数少なく、顔もいかつく体もごついが、悪人ではない。
一人称は俺。または当方。見た目の怖さを和らげようとなるべく丁寧な口調を使っているが、逆に怖い。
不死殺しに個人的な恩があり、ヴェートラル聖殺作戦の折りではそれを返すことができた。
●ギフト:ディサイダー
ATK:50/DEF:30/INT:0/RES:10/RARITY:20
ギフトの本体自体は右手に着けた真っ黒の腕輪。任意のタイミングで、任意の大きさの剣を出す能力を持つ。
基本的には大剣を出す。斬撃の瞬間だけ剣を出して威力を増したり、盾代わりにして防御に使ったりと、上手く使っている。長年の経験の賜物。
剣を出す際は黒い稲妻が走る。
・ハブリ
512年前、当時の葬送協会と名を改める以前の教会とヴェートラルに聖封印を施した英雄。
とうに故人であるが、その活躍を称えられ、デーグラムには彼の像がある。
また、そのギフトは協会にて保管されている。
記録によれば——その死体は彼の死後、忽然と消え去ったそうだ。
●ギフト:アイスロータス
ATK:3/DEF:2/INT:64/RES/17/RARITY:17
詳細不明。聖封印とは、要するに原初のイモータルを氷漬けにして身動きを取れなくする、一種の葬送だった。
・レツェリ
葬送協会の司教。真っ白いローブと面紗で姿を隠す、謎めいた男。背筋も真っすぐで、立ち姿は若いように見受けられるが、その独特の雰囲気は老成された落ち着きがにじんでいるようでもある。
その素顔を知る者は協会にいないと言われている。
動物が好きで、聖堂の庭でよく小鳥《パーケト》に餌をやったりしている。
●ギフト:■■■■
ATK:■/DEF:■/INT:■■■/RES:■■/RARITY:1
詳細不明。
二章完結時点での登場人物の解説です。あくまでまとめなので、特にお読みいただかなくとも本編の理解に支障はありません。
__
・イドラ
主人公。二章時点で十六歳、母譲りの茶色い髪を持つ。
恩師となるはずだったウラシマを亡くしたのち、失意に囚われ三年の間大陸を放浪し、イモータルを狩り続ける。そのうちに『不死殺し』などと呼ばれるようになった。
左手首にはウラシマの形見である腕輪をはめ、右の腰に通常のナイフ、そして左の腰に自身のギフト——十歳の時にすべての人間が天より賜る恵み——であるマイナスナイフを差している。また、携帯食料や火打ち道具なんかも腰のポーチに入れている。
幼い頃の気弱さは、旅をする上で必要な臆病さへと変じた。ただし大陸を闊歩する不死の怪物・イモータルを殺すことに対しては、復讐や贖罪に近い複雑な気持ちを抱き、抑えが効きづらくなる。しかしそれも、三年間の放浪の末、出会った少女のおかげで折り合いをつけることができた。
●ギフト:マイナスナイフ
ATK:-65535/DEF:0/INT:0/RES:0/RARITY:1
百年に一度の頻度でしか生まれないレアリティ1。その異常なマイナスのATKから、どんな傷をも治し、不死のイモータルを傷つけることができる。
ラピスラズリのような、静かにきらめく半透明の青い刀身をしている。
身体の切断された部位に対して治せるかどうか試したことは未だないが、イドラはなんとなく傾向的に、傷口は癒えても失った部分までは戻ってこないと考えている。
ギフトは持ち主に合わせて成長することが多いが、イドラの場合は十歳の頃からなにひとつとして変化がない。
・ウラシマ
黒いローブを身にまとう、ロングヘアーの落ち着いた若い女性。旅人であり、その目的も含めて謎めいた雰囲気を持つ。
オルファの凶行によって命を落とし、謎を明らかにすることなく、約束していたイドラとの旅を果たすこともできず亡くなった。
死体は消失した。
『空の上に行け』というまた謎めいたメッセージと、頑丈な黄金の腕輪、それとワダツミのみをイドラに遺す。
・ソニア
とある集落にて監禁されていた、真っ白い髪と橙色の瞳を持つ少女。『不死憑き』と呼ばれ疎まれていたところを、イモータルと混同した噂に引かれてやってきたイドラに救出され、それ以来イドラの旅に同行する。
一年ほど前、謎の男性によって肉体を改造され、イモータルに近づけられた。その結果髪が真っ白になり、肌と目の色も少し薄くなる。また身体能力もかなり向上し、病気がちだった体は長時間歩き詰めでも平気に。地震に乗じることでなんとか逃げだしたものの、そのイモータルを想起させるようになった容姿から再び檻の中へ閉じ込められることになる。
毎晩、イモータル化の発作により、耐えがたい苦痛とともに徐々に肉体が不死の怪物へと近づいていく。これを止められるのはイドラのマイナスナイフのほかになく、身体的な意味で依存関係にある。また、ともに自身を罪人だと判決する者同士として、彼とは互いを肯定しあう精神的な共依存の関係でもある。
元々は明るい性格だったが、過酷な経験から少しおどおどするようになった。また、周囲に『不死憑き』と侮蔑され続け、夜な夜な進むイモータル化にも苛まれ、自分のことを存在してはならない怪物と感じるように。しかしそれも、岩屋から連れ出してくれた旅人のおかげで赦しを想うことができた。
ヴェートラルとの戦いで、イモータルの力をより引き出す技を偶発的に用いた。使用中は発作状態のような見た目になり、ただでさえ人間を凌駕した身体能力がさらに向上する。その膂力は自身より何十倍も巨大なヴェートラルを真っ向から押し返すほど。なお自力での解除はできず、発作の時と同様にイドラのマイナスナイフで停止させる形となる。
●ギフト:ワダツミ
ATK:51/DEF:13/INT:0/RES:0/RARITY:24
刀身に緩い湾曲のある、刃渡り70cmほどの日本刀。柄巻には藍色の糸が使われている。
元々はウラシマが所有していたものだったが、イドラを経由し、今はソニアに渡された。
氾濫と口にすることで、刀身から透明な水を湧き出させる能力を持つ。しかも薄っすらと桃のフレーバーがついており、おいしい。
ギフトの能力はそれを天より賜った本人にしか使用できないはずだが、なぜか氾濫の能力はイドラにもソニアにも使用できた。
余談であるが、日本刀の刀身の側面には樋と呼ばれる細い溝が彫られているものがある。ワダツミの水はこの樋から出てきているようだ。非戦闘時では飲み水になるほか、戦闘においては水流を飛ばして攻撃したり、魔物を斬って付着した血や脂を洗い流すことで威力の低下を防いだりと、ステータスは高くないが意外と小回りの利くギフトと言える。
ウラシマも長年重宝していたようだ。
・オルファ
亜麻色の長い髪と緑がかった瞳、そしてどこか気の抜けるほんわかした表情が特徴のシスター。
しかしその雰囲気は本性を覆い隠すための偽装であり、真の性格は残忍そのもの。ひどく利己的で、自分のためなら他人がいくら傷つき、命を落とそうが微塵も気にかけない。
一章時点で二十三歳。アサインドシスターズの任期は七年であり、一章では残った四年の任期をなにもない村で過ごすことに耐えかね、協会の知識を悪用して魔物やイモータルを村に引き寄せる事件を起こす。
村が壊滅すれば任期もなくなるという目論見だったが、イドラによって阻止される。しかしいち早くオルファに不審なものを感じ、単身で彼女のもとへ向かったウラシマは殺害されてしまった。
北の国の生まれであり、苦しい家計からロトコル教の修道院へ入った経緯を持つ。父はおらず、それでも母と優しい姉とで過ごした幼少期は宝物であり、いつの日か故郷に帰って昔のように家族で過ごすのが夢。
事件の後は聖堂へと身柄を連行され、なんらかの処遇を受けることになったと思われる。現在は……?
●ギフト:ホーリー鎖鎌ちゃん(正式名称:シルバースネーク)
ATK:20/DEF:10/INT:0/RES:0/RARITY:25
本人の意向によりふざけた名前を付けられている。
鎌に鎖がつながれた鎖鎌。特筆するべきはその鎖で、ギフトの能力によりなんと約5~30mにまで伸縮する。変幻自在、まさに蛇のような一撃が敵を襲う。
しかしながら殺傷力には欠け、使い手に急所を的確に狙い撃つ技術もなく、オルファがエクソシストになれるほどの実力はないと言わざるを得ない。
・リティ
茶色い髪と瞳の、イドラの母親。
夫を一章の十年前に亡くし、イドラにはどこにも行ってほしくないと願っていたが、葛藤の結果イドラの背を押すことに決めた優しい母。
食器作りが趣味。イドラが旅に出てからは家に食器が余って仕方がないらしい。
また、ロトコル神とその御業によって創られた大地と自然に感謝をささげる感謝祭では、毎回ギフトの扇を持って舞を踊る。その優美さは息子であるイドラさえ見とれてしまうほど。
●ギフト:旋風扇
ATK:10/DEF:10/INT:10/RES:10/RARITY:10
風を起こす能力を持った扇。
かまいたちのようなものを起こして攻撃もできるが、リティはその風の音でうまく木管楽器のような音を出すよう練習し、誰も傷つけない芸として昇華させてみせた。
・ヤウシュ
イドラの父。故人。
金を稼ぐため王都の兵に志願。北の国境付近の任で、イモータルに襲われ死亡。
昔から好奇心旺盛で、気が強くなんでもやってみようとする性格。それをたしなめる幼馴染のリティ、というような関係だったようだ。
●ギフト:翠蝶
ATK:40/DEF:15/INT:10/RES:10/RARITY:5
柄の両端に刀身が生えた不思議な短剣。刀身はわずかに透き通る翡翠色で、翼を広げるかのような歪な形をしている。
空中を舞う能力を持つ。
リティにとって大切な形見。
・イーオフ
イドラと同じメドイン村の生まれ。優れたギフトを持ち、村長の息子というのもあって自尊心の高い子ども。苛烈さがあふれ出たような、真っ赤な髪と瞳が特徴。
マイナスナイフを紙さえ切れない『ザコギフト』と揶揄していたが、村に魔物が入り込んできた際に助けられ、イドラのことを見直す。
イドラが村の外に憧れていることをいち早く見抜いていた。イドラのことをからかっていたのは、ひ弱な彼が外の世界に出て危険な目に合わないようにする、あまりに不器用な気遣いだったのかもしれない。
故郷にいる、イドラの数少ない大切な友人。
●ギフト:プロミネンス
詳細不明。炎をまとう剣。
・ミロウ
金髪碧眼、分厚い氷のような印象の女性。二章時点で二十三歳。戦闘時以外、常にダークブラウンの革手袋をしている。
十八歳の頃、協会のエクソシストになり、それ以来隙のない優秀さで頭角を現す。これまでに葬送したイモータルの数は十二で、その実績からレツェリ司教には『精密十指』の名を与えられた。
優秀さに裏付けされたプライドから、当初はぽっと出の『不死殺し』に対抗心を燃やしていたが、ともに行動するうちに信頼するように。
やや没落した貴族の生まれであり、父からは常に「正義と責任を持って行動しなさい」と教えられてきた。
小さな弟がいる。
●ギフト:輝糸
ATK:20/DEF:10/INT:0/RES:10/RARITY:5
微かに光る極細の糸。両手の指先に巻きつけていて、計十本。一本一本の長さは八メートルほどで、本人の意思で自由に周囲を動き、切断から拘束まで自在。
ギフトは基本的に武具の形を取るものであり、このような例は稀。実質的にギフトを十個保有しているようなものであり、そしてそれを同時に使いこなす技量もずば抜けている。ミロウが葬送協会エクソシストの筆頭であることに異を唱える者はいないだろう。
また、普段は見せない奥の手があるそうだが……?
・ベルチャーナ
浅葱色のウェーブしたロングヘアが目を引く、笑顔のチャーミングな少女。発育のいい見た目からはわかりづらいが、実はまだ十四歳で、その爛漫さも年相応と言えるかもしれない。
喋り方が特徴的で、自分のことも「ベルちゃん」と呼ぶ。
北の連邦の生まれだが、同じく協会所属のオルファとはまったく別の地域で育ったようだ。
葬送教会のエクソシスト。人当たりがよく実力もあり、またギフトの方向性から、色んなエクソシストとタッグやチームで行動することが多い。が、凄腕のミロウについていけるエクソシストは多くなく、ミロウはベルチャーナと組むことが多い。
天涯孤独の身。完全にイモータルを殺しきる不死殺しには、茶化した笑顔の奥に特別な感情がある。それは憧れ、羨望、嫉妬——あるいは恋慕にさえなりうる、密やかで複雑な、形容しがたい大きな想い。
戦闘向きのギフトを有していないにも関わらず、高い身体能力と聖水への深い造詣によって戦闘面も他のエクソシスト以上に優秀である。
●ギフト:ヒーリングリング
ATK:0/DEF:0/INT:0/RES:100/RARITY:5
銀色のやや分厚い指輪。傷口に近づけることで傷が癒える。リングがほのかに放つ暖かな光はぽかぽかとして心地いい。
ベルチャーナは長めのチェーンを通し、首から下げている。
ミロウの輝糸と同じく、これもいささか稀なギフトと言える。
傷を治すというマイナスナイフと同じ効力を持つが、その過程はまったく別。マイナスナイフの「治癒」とも「時間遡行」とも違う「デフォルトへの引き戻し」と比べると、ヒーリングリングのそれはかなりまっとうな「治癒」であるため、深い怪我は治りを促進するもののすぐすぐ治しきれはしない。
しかし、痛みを代償にして強引に傷をなかったことにしてしまうマイナスナイフでは、体と精神を乖離させてしまう恐れがある。体の傷だけでなく、心の傷まで暖かな光で癒そうとするヒーリングリングの力と単純に比較するべきではないだろう。
・ホルテルム
黒い短髪の大男。頬に魔物との戦いでできた大きな傷を持つ、巨獣のような佇まいのエクソシスト。三十一歳。
セッショ大陸の生まれ。過酷な土地で生き延び、魔物ハンターや傭兵として各地を流れ、やがて六年前にランスポ大陸に流れ着いた。
今は協会に身を置き、戦いの日々で培った技術を魔物やイモータルに振るっている。
口数少なく、顔もいかつく体もごついが、悪人ではない。
一人称は俺。または当方。見た目の怖さを和らげようとなるべく丁寧な口調を使っているが、逆に怖い。
不死殺しに個人的な恩があり、ヴェートラル聖殺作戦の折りではそれを返すことができた。
●ギフト:ディサイダー
ATK:50/DEF:30/INT:0/RES:10/RARITY:20
ギフトの本体自体は右手に着けた真っ黒の腕輪。任意のタイミングで、任意の大きさの剣を出す能力を持つ。
基本的には大剣を出す。斬撃の瞬間だけ剣を出して威力を増したり、盾代わりにして防御に使ったりと、上手く使っている。長年の経験の賜物。
剣を出す際は黒い稲妻が走る。
・ハブリ
512年前、当時の葬送協会と名を改める以前の教会とヴェートラルに聖封印を施した英雄。
とうに故人であるが、その活躍を称えられ、デーグラムには彼の像がある。
また、そのギフトは協会にて保管されている。
記録によれば——その死体は彼の死後、忽然と消え去ったそうだ。
●ギフト:アイスロータス
ATK:3/DEF:2/INT:64/RES/17/RARITY:17
詳細不明。聖封印とは、要するに原初のイモータルを氷漬けにして身動きを取れなくする、一種の葬送だった。
・レツェリ
葬送協会の司教。真っ白いローブと面紗で姿を隠す、謎めいた男。背筋も真っすぐで、立ち姿は若いように見受けられるが、その独特の雰囲気は老成された落ち着きがにじんでいるようでもある。
その素顔を知る者は協会にいないと言われている。
動物が好きで、聖堂の庭でよく小鳥《パーケト》に餌をやったりしている。
●ギフト:■■■■
ATK:■/DEF:■/INT:■■■/RES:■■/RARITY:1
詳細不明。
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