ずるい奴

kudamonokozou

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ずるい奴

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ハタは立派な魚です。

どういう風に立派かと言いますと、大きくなると、大人の人間くらいの大きさになります。

それから、人間の立場で言いますと、高級魚です。
つまり、とてもおいしくて、値段が高いのです。

ただし、色はきれいではありません。どす黒いです。

この話に出てくるハタは、正確に言うとマハタという種類のものです。

ハタは、西の海を悠然と泳ぎまわっておりました。

ハタがいる海の浅いところに、ハタとは色だけ似ている下等動物がいました。
こいつは、もっぱらヘドロを食べておりました。
ヘドロを食べて、大きくなっていきました。

魚には立派な骨がありますが、当然こいつには骨など無く、醜くぶよぶよしておりました。

ハタは海の西の方にいました。
それでこの下等動物は、「俺は西のハタと色が同じなので、東のハタだ。」と、全くのうそを言いふらしていました。

そしていつも、「東のハタ」と名乗っておりましたが、それがつづまって、ヒガシハタとなりました。

こういう下等動物は生きる執念はものすごく強いので、他の動物を騙す力を持っていました。

ヒガシハタは、いつもヘドロばかり食べているのに飽きてきて、弱そうな魚を騙して食べてみたい気を起こしました。
それで、海の中を執念深くぶよぶよ漂っていましたが、一匹のか弱そうな小魚に目を付けました。

「お嬢さん、お嬢さん、私はヒガシハタと言うハタの仲間です。後生ですから、私のことを助けてくれませんか。」

小魚は騙されやすいものですから、
「私にできることでしたら。」と、振り返ってしまいました。

しかし、小魚はヒガシハタの姿を見て、はっとしました。ハタにしては酷い姿をしています。

「あなた、どうしたのですか、その醜い体は。それに何かとても嫌な臭いがしますね。体が腐っているのですか。」

「そうです、そうです。私は病気になって苦しんでいるのです。ちょっと、私の看病をしてくれませんか。もうちょっと、そばに来てくださいな。」

小魚は助けようとして近くに寄ると、ヒガシハタは、ヘドロを吸い込む強い吸引力で、小魚の体にちょっと吸い付きました。
ヒガシハタは泳ぐのが下手なので、うまく食べることができなかったので、ちょっと吸い付くのでした。
そしてもう一度、小魚にちょっと吸い付きました。

「ああ、私は何だか気分が悪くなりました。あなた、私に何かなさって?」
「いえ、あなたの献身的な看病のおかげで、私はすこしずつ病気が良くなっていってます。あなたは、私の看病疲れなのですよ。」
そう言ってヒガシハタは、またちょっと吸い付きました。

そこへ、お腹をすかせたサメがやってきました。
とてもお腹を空かせていたので、ヒガシハタにがぶりと噛みつきました。

ヒガシハタは、頭の半分くらいを噛みちぎられました。

「うわっ!臭い、臭い!こんなもの食えたものではない!」
と、サメはヒガシハタの頭を吐き出しました。

小魚はびっくりしましたが、ヒガシハタは、
「お嬢さん、私はずいぶんやられてしまいました。後生ですから、もう少し看病してください。」
と言って、また小魚にちょっと吸い付きました。

小魚は、かなり具合が悪くなりました。
「私はもうすぐ死にそうです。あなた、私の体を食べてません?」
「何を言ってるんですか。人助けだと思って、私の看病をしてくださいよ。」
「私の方が先に死にそうです。私のお墓ぐらい作ってくださいね。」

そこでヒガシハタは、本性を現しました。
「ばかたれ、誰がお前の墓なんか作るか!黙って俺に食われろ!」

ところで、さっきのサメはまだ近くにいました。
ヒガシハタを食べたときの不快さがよっぼど腹に立ったらしく、尾でヒガシハタを「バシッ」と叩きました。
サメは、こんな奴を生かしておくと、他の魚も迷惑するとばかりに、何度もヒガシハタを叩き続けました。

そうやって何度も叩いているうちに、ヒガシハタはずいぶん遠いところまで飛ばされました。
サメはやっと気が済んだのか、どこかへ行ってしまいました。
ヒガシハタはボロボロになりました。

あの可哀そうな小魚は、ヒガシハタのせいで、とうとう死んでしまいました。

一方、ヒガシハタは、頭が半分になって体がボロボロになっても、相変わらず、這いつくばってヘドロを食べて生き続けています。

このように、ずるい奴はしぶとく生き続けるものなのです。
ずるい奴に騙されてはいけないのです。
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