隣のじいさん

kudamonokozou

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祐介との別れ

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ある晩遅く眠れないので、ふと二階からじいさんの庭を見ると、じいさんと一人の男の子が立っていた。それは祐介のようだ。
じいさんが何か話して、祐介はうなずいたようだった。
するとじいさんの体が、ぐぐーんと大きくなった。2メートルを超える大男になった。そして、背中に大きな羽のようなものが見えた。
『あれ、あれ、あれ?』
僕は、夢かと目をぱちくりした。
祐介はじいさんにしがみつき、じいさんも祐介を抱きかかえた。
にわかに、庭の中につむじ風が巻き起こり、クヌギの木の葉が飛び散った。
池の水も大きく揺れた。
そして、じいさんと祐介の体は、高く舞い上がったかと思うと、ぎゅーんと西の方角に凄い速さで飛んで行ってしまった。
あっという間だった。僕は呆然と、その様子を見送るしかなかった。

次の日、昨晩のことは夢だったのかなと思いながら登校してみると、先生が、
「えー、鍵谷祐介君は、親戚の方に引き取られることになり、転校しました。」
と、さらりと言った。皆何も言わなかった。

学校が終わって、隣の家を見に行くと、クヌギの木も池も無くなっていた。
じいさんは当然いなかった。
僕は、一人庭にたたずみ、泣きじゃくった。

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祐介君ですか?長らく音信不通でしたが、うわさによると、京都の方でおもちゃの会社を経営してるそうです。
私も、時間があれば会いに行こうかなと思うのですが、あいにく貧乏暇なしなもので。
それに、会っても分かりますかなあ、お互いに。思い出にしておいた方がいいような気もします。
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