32 / 51
第二章 洞窟の聖地
第32話 スタンピード再び
しおりを挟む
■上野 ホテル スメラギ スイートルーム
〔鐘丹生 燈子の摂取を確認しました。ユニークスキル〈超鑑定〉を獲得しました〕
端的にまとめれば、どうやら”食べる”には複数の意味で適応がなされ、潜在能力でさえ獲得できることが分かった。
そして、トーコ先生はとても可愛かったとだけ言っておく。
チュンチュンという雀の鳴き声と共に目が覚めるというシチュエーションを俺が味わうとは思わなかった。
「ど~したんだい?」
眼鏡越しでないトーコ先生の瞳が俺を見つめてくる。
ベッドの上でシーツを胸元までかぶっているが、もちろん裸だ。
「いや、昨日のことをちょっと思い出してた」
「う~、恥ずかしい~。ワタシは初めてだから~」
もぞもぞとシーツを被ってしまうトーコ先生……いや、トーコの頭を優しくなでる。
ダンジョンで織香を助けてから、俺の人生はだいぶ変わってしまった。
こんな未来があるとは、大学に入ったときの俺にいっても笑い飛ばされるだろう。
「さて、朝食をどうするかだが……先にシャワーか」
俺は頭をぼりぼりと掻きながら、今日のこれからのことを考えていたら部屋の電話が鳴った。
裸のままでその電話をとると、フロントではなく聞き覚えのある声が聞こえてくる。
『サグル様、おはようございます。急いでTVをつけてもらえますか?』
「ああ……あれ、リモコン」
リモコンを探していると、トーコがベッドの脇にあったリモコンを操作してTVを付けてくれた。
TVではレポーターが大声で叫んでいる場面が映っている。
場所はこれから行く予定だった洞窟の聖地こと沖永良部島(おきのえらぶじま)の周辺だ。
『沖永良部島に突如として生えた木から、飛行系モンスターが飛んでいっています。これもスタンピードでしょうか! 現在、航空自衛隊が迎撃のため出撃しています』
レポーターが叫んでいる様子が映っていて、チャンネルを変えても同じような光景ばかりである。
「スタンピードが急に起きるなんて、何が原因なんだ?」
『それはわかりませんわ。ですが、予定を繰り上げて動く必要がありますの。急いでロビーまで下りてきてくださいませ。織香さんとイカルさんにも連絡して集まってもらうように連絡済みですわ』
「わかった……ん? トーコ、先生は聞かないのか?」
『御冗談を、宿泊者でお二人一緒じゃありませんの』
そうだ、これは携帯でもDphoneでもなくホテルの備えつけの電話だった。
よくよく考えればスメラギって、迷宮令嬢の名字なんだから筒抜けなのだろう。
「そういうことだから、着替えてからすぐに出発みたいだ」
「わかったよ~、けど、シャワーぐらいは浴びようか~」
「そうだな……」
さすがにアレな匂いをさせていくわけにもいくまい。
それくらいの常識は俺にもあった。
■上野 ホテル スメラギ ロビー
30分後くらいに俺とトーコはロビーに降り立つとすでにメンバーはそろっていた。
迷宮令嬢のパーティは初めて見るが、厳つい男達だらけでなんというか、美女と野獣というのがしっくりくる。
「自衛隊らしいのはいないが……」
「そちらは後で合流する。藤堂長官もスタンピードのへの対応が急務だからな」
見たことのない銀髪で黒いロングコートを着ている男が俺の疑問に答えた。
静かなたたずまいをしているが、この中にいる全員の中で一番強いんじゃないかと俺の直感が訴えていた。
「銀髪の強そうな人……もしかして、うわさのチェストマンでしょうか?」
俺の隣にやってきた織香がこそこそと話しかけてくる。
ダサい通称なので、聞かせたくないのはわかる気がした。
「じゃあ、まずはこの2チームで事にあたるということですね? 九州の方へどうやって移動するの? 羽田までいって飛行機だとしても自衛隊の駐屯地から飛ぶとしても結構時間がかかると思いますが……」
外面の丁寧な口調のイカルが銀髪の男に質問を投げかける。
「大丈夫だ。現地に直送する」
「「「は?」」」
その場にいた全員が疑問の声を上げ、男に視線が集中した。
「ここでは何かあった時困る。外でやるぞ」
用件だけを端的に使えるところを見ると無駄が嫌いな奴なのかもしれない。
まぁ、仲良くしようとは思わないが、もう少しいろいろとあるんじゃないか?
俺らは銀髪の男の後ろについていき、ホテルの裏にある駐車場へ出た。
「物資は俺が届けるが回数や時間はまだ未定だ。現地で臨機応変に対応をしろ」
そういうと、銀髪の男は空中から野太刀を取り出し一刀のもとに空間を斬り裂いた。
斬り裂いた部分が広がり、その部分から覗いているのは駐車場ではない森が見える。
「〈次元門〉だ。ここを通ればすぐに沖永良部島(おきのえらぶじま)だ。疑問も、質問も聞かない。時間がないから、すぐに動け」
男の言葉に迷宮令嬢のチームが先に出発した。
この〈次元門〉を利用した経験があるのだろう。
「サグル~、キミも〈潜在能力:超鑑定〉があるから、相手を意識してみるといいよー」
トーコの言葉に思い出したかのように、意識して銀髪の男を見た。
男の名前は【島津カイト】、噂に聞くチェストマンその人である。
〔鐘丹生 燈子の摂取を確認しました。ユニークスキル〈超鑑定〉を獲得しました〕
端的にまとめれば、どうやら”食べる”には複数の意味で適応がなされ、潜在能力でさえ獲得できることが分かった。
そして、トーコ先生はとても可愛かったとだけ言っておく。
チュンチュンという雀の鳴き声と共に目が覚めるというシチュエーションを俺が味わうとは思わなかった。
「ど~したんだい?」
眼鏡越しでないトーコ先生の瞳が俺を見つめてくる。
ベッドの上でシーツを胸元までかぶっているが、もちろん裸だ。
「いや、昨日のことをちょっと思い出してた」
「う~、恥ずかしい~。ワタシは初めてだから~」
もぞもぞとシーツを被ってしまうトーコ先生……いや、トーコの頭を優しくなでる。
ダンジョンで織香を助けてから、俺の人生はだいぶ変わってしまった。
こんな未来があるとは、大学に入ったときの俺にいっても笑い飛ばされるだろう。
「さて、朝食をどうするかだが……先にシャワーか」
俺は頭をぼりぼりと掻きながら、今日のこれからのことを考えていたら部屋の電話が鳴った。
裸のままでその電話をとると、フロントではなく聞き覚えのある声が聞こえてくる。
『サグル様、おはようございます。急いでTVをつけてもらえますか?』
「ああ……あれ、リモコン」
リモコンを探していると、トーコがベッドの脇にあったリモコンを操作してTVを付けてくれた。
TVではレポーターが大声で叫んでいる場面が映っている。
場所はこれから行く予定だった洞窟の聖地こと沖永良部島(おきのえらぶじま)の周辺だ。
『沖永良部島に突如として生えた木から、飛行系モンスターが飛んでいっています。これもスタンピードでしょうか! 現在、航空自衛隊が迎撃のため出撃しています』
レポーターが叫んでいる様子が映っていて、チャンネルを変えても同じような光景ばかりである。
「スタンピードが急に起きるなんて、何が原因なんだ?」
『それはわかりませんわ。ですが、予定を繰り上げて動く必要がありますの。急いでロビーまで下りてきてくださいませ。織香さんとイカルさんにも連絡して集まってもらうように連絡済みですわ』
「わかった……ん? トーコ、先生は聞かないのか?」
『御冗談を、宿泊者でお二人一緒じゃありませんの』
そうだ、これは携帯でもDphoneでもなくホテルの備えつけの電話だった。
よくよく考えればスメラギって、迷宮令嬢の名字なんだから筒抜けなのだろう。
「そういうことだから、着替えてからすぐに出発みたいだ」
「わかったよ~、けど、シャワーぐらいは浴びようか~」
「そうだな……」
さすがにアレな匂いをさせていくわけにもいくまい。
それくらいの常識は俺にもあった。
■上野 ホテル スメラギ ロビー
30分後くらいに俺とトーコはロビーに降り立つとすでにメンバーはそろっていた。
迷宮令嬢のパーティは初めて見るが、厳つい男達だらけでなんというか、美女と野獣というのがしっくりくる。
「自衛隊らしいのはいないが……」
「そちらは後で合流する。藤堂長官もスタンピードのへの対応が急務だからな」
見たことのない銀髪で黒いロングコートを着ている男が俺の疑問に答えた。
静かなたたずまいをしているが、この中にいる全員の中で一番強いんじゃないかと俺の直感が訴えていた。
「銀髪の強そうな人……もしかして、うわさのチェストマンでしょうか?」
俺の隣にやってきた織香がこそこそと話しかけてくる。
ダサい通称なので、聞かせたくないのはわかる気がした。
「じゃあ、まずはこの2チームで事にあたるということですね? 九州の方へどうやって移動するの? 羽田までいって飛行機だとしても自衛隊の駐屯地から飛ぶとしても結構時間がかかると思いますが……」
外面の丁寧な口調のイカルが銀髪の男に質問を投げかける。
「大丈夫だ。現地に直送する」
「「「は?」」」
その場にいた全員が疑問の声を上げ、男に視線が集中した。
「ここでは何かあった時困る。外でやるぞ」
用件だけを端的に使えるところを見ると無駄が嫌いな奴なのかもしれない。
まぁ、仲良くしようとは思わないが、もう少しいろいろとあるんじゃないか?
俺らは銀髪の男の後ろについていき、ホテルの裏にある駐車場へ出た。
「物資は俺が届けるが回数や時間はまだ未定だ。現地で臨機応変に対応をしろ」
そういうと、銀髪の男は空中から野太刀を取り出し一刀のもとに空間を斬り裂いた。
斬り裂いた部分が広がり、その部分から覗いているのは駐車場ではない森が見える。
「〈次元門〉だ。ここを通ればすぐに沖永良部島(おきのえらぶじま)だ。疑問も、質問も聞かない。時間がないから、すぐに動け」
男の言葉に迷宮令嬢のチームが先に出発した。
この〈次元門〉を利用した経験があるのだろう。
「サグル~、キミも〈潜在能力:超鑑定〉があるから、相手を意識してみるといいよー」
トーコの言葉に思い出したかのように、意識して銀髪の男を見た。
男の名前は【島津カイト】、噂に聞くチェストマンその人である。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい
黒城白爵
ファンタジー
ーーある日、平穏な世界は終わった。
そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。
そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
マカロニ
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる