探検サークル存続のためにダンジョン配信をはじめたら、人気のJKインフルエンサーを助けてバズってしまった件

橘まさと

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第二章 洞窟の聖地

第37話 樹木登りタイムアタック

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■沖永良部島 大樹ダンジョン 外縁部 中腹

 昼を過ぎて、日没までの時間が迫ってくる。
 落ち着いて飯も食えない状況なので、夜になったらよりつらくなるのは目に見えていた。
 気温が下がり始めれば、体温も下がる、そして動けなくなれば死はすぐそこにある。

「小松原三佐、一気に駆け上がらないか? このまま様子を見ながらでは体温の低下もさることながらビバークするにも危険な場所が多い」
『……わかりました。その意見を採用します。条件としては、クラガリ探検隊が先行して、露払いをお願いします』
「確かに、安全で早くとなればそうなるか……」
『足の速さであれば、わたくしもいけますわ』
『では、編成を変えます。スメラギ嬢、暮明さん、姫野さんの3人で先行の露払い部隊を作ってもらいます。鐘丹生教授はそのあとをついていってもらい、怪しいものがあれば鑑定を願います』
『了解したよ~』
『わかりました!』

 作戦が出来上がったので、俺達は気合いを入れ直す。
 俺達、クラガリ探検隊メンバーのステータスは今回の調査隊全員を含めても上位なのは確実だ。
 トーコだって、ダンジョンの深層を生き延びられるくらいまで鍛えたので見た目に反して強くなっている。

「じゃあ、行くぞ」
「はい、頑張りましょう!」

 雷が鳴ったような音共に、スメラギが俺の隣に来ていた。
 これが彼女の【潜在能力】なのだろう。
 
「また競争でもいたしましょうか?」

 挑発的な視線を俺ではなく、織香に向けていた。

「いいでしょう。私、ダンジョンに潜って強くなりましたから!」

 ”俺と”という部分をやけに強調しながら、織香はスメラギの挑発を受け取っている。
 確かに織香は大岳ダンジョン攻略後にランク更新を行い、Sランクにまで上がったといっていた。
 普段はそんな飛び級をしないのだが、配信で状況が分かっていたために受理されている。

「お前ら、今は進路確保と安全エリアに向かうのが目的だぞ?」
「「わかってます!」」

 仲がいいのか、悪いのかよくわからない二人だ。

「今回はわたくしの〈潜在能力:雷皇〉ユニークスキル:ライトニングカイザーを全力でだしますわ。サグル様、結婚相手に相応しいところを見てくださいな♪」

 お茶目にウィンクを飛ばしたスメラギは真剣な目になり、細身の剣……エストックだったかを突きのしやすいポーズで構える。
 前方から、樹皮を持つトカゲがガサガサと音を立てながら、迫ってきた。

「Shall we Dance?」

 流暢な英語が聞こえたかと思うと、スメラギの体が稲妻のようにジグザグに動きながらトカゲ達を一撃の突きで仕留めていった。
 突かれたトカゲ達はこんがりと焼けてあおむけになるので、中から電撃を流しているのが分かる。
 一瞬でいくつもの動きを繰り出している姿は確かにSランク冒険者といえるものだった。

「負けてられないですね。私の活躍もみててください!」

 織香はまっすぐな彼女らしい一直線に駆け出し、目の前に来るトカゲ達を拳で殴りつけ、後ろからとびかかってきたのを〈竜の尾〉で落下させていく。
 
「進路確保、先行するけれど擬態しているトレントがいるかもしれない。可能な限り見つけて対処していくが警戒だけは怠らないでくれ」
『『了解』』

 自衛官や迷宮令嬢の部下達からの返事が聞こえたのを確認すると、俺も二人の後を追って樹木を登っていった。
 先ほどまでよりもスピードが上がり、時間との闘いを有利にしようと俺達はとにかく急ぐ。

「トーコ、ドロップアイテムと魔石の回収を頼んだ。俺は擬態しているのをおびき出して倒していく」
『自己再生できるからって、無茶をするんじゃないよ~』
「多少の無茶は許してほしい、時間が大事なんだ」

 登山を高速タイムアタックでやるなんて、今回限りにしてほしいものだ。
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