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第二章 洞窟の聖地
第50話 託される思い
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■沖永良部島 大樹ダンジョン 風の渓谷 セーフルーム
入った場所はひろく、風通しのいい空間だった。
展望台のような感じだが、窓がないので部屋の端の方にはいかず中央あたりにスメラギを下ろす。
全身刻まれており、血が流れていて痛々しかった。
服もかなり破れているので、〈収納〉から毛布を取り出してかける。
一通りの作業を終えたあと、俺はスメラギの顔のあたりに座り、事情を聴くことにした。
「スメラギ……」
「申し訳ございません、配信切ってくださいませんか?」
「織香、休憩時間だから一旦配信停止だ」
コメントを見ることもなくせわしかったので、忘れていたが配信用ドローンは撮影モードのままである。
小声で伝えられたので、俺は別の理由を持って織香にも配信を止めてもらった。
ふぅと一息つくと、織香にも聞こえないよう小声でスメラギに話しかける。
「他に聞かれたくない重要な話なんだろ? 無理をした理由は、もしかしたらさっきの米軍の攻撃にかかわっているのか?」
「鈍いようで、意外と鋭い時がありますのね。そういうところも、わたくしは好ましく思いますわ」
「お世辞はいいから、本題に入れ。あんまり長々話していると織香も来る」
「すみません、実はガメリカからこのダンジョンの第一討伐者としての登録をするよう指示がありましたわ。大統領命令で……」
「なんだと……ダンジョンの管理なんて面倒だからやらない方がいいと思うんだが」
「普通であればそうかもしれませんが、この場所でワイバーンが制御できるかどうかというのは大きい話ですわ」
俺としては面倒事を避けたいので、管理権限なんかはいらない方だが政治的な問題となると話は違ってきた。
ワイバーンは戦闘機に匹敵する能力を持っているので、米軍基地や果てはガメリカ本土への襲撃が可能なると言えばそうなる。
だから、警戒をする気持ちは分かった。
でも、それとスメラギが自分を犠牲にする理由がつながらない。
「だが、どうしてスメラギがこんなに重傷を負う?」
「だって、こうなってしまえばわたくしは戦線離脱、サグル様に託しても何らおかしくないですわ」
「それは……もしかしたら、俺らの敵に回る可能性を自分から無くしたというのか? だとしたら、無茶をする」
「不器用なのです。わたくしは貴方のようにまっすぐ目的を果たせるような力も、気概もありません。しがらみが多い立場ですもの」
傷つきながらも美しい顔でスメラギは自嘲を浮かべた。
ガメリカと日本のハーフということもあって、悩んでいたのだろう。
「わかった、俺が制御を手に入れ管理権限でダンジョンを消滅させる」
「ありがとうございます。憂いなくなりましたわ」
目を閉じたスメラギは意識を失った。
慌てた俺は口元に手を当てると息があたっているのが分かったので、安堵する。
「洞窟じゃないなら、俺には不要だからな。とっとと解決させよう」
俺は立ち上がると織香に近寄った。
「サグルさん? キャサリンさんは大丈夫ですか?」
「ああ、今は寝ている。織香、お前はここでスメラギを守っていてくれ」
「それって……また一人で行く気なんですか!?」
「いろいろと事情があってな、もしかしたらスメラギの命があいつの部下達から狙われるかもしれない」
「ええぇ!? どういうことです? 穏やかじゃないですよね」
「まぁ、可能性の話だ。落ち着いたら援軍に来てくれればいいから、俺は先に行く。〈自己再生〉のお陰で疲労の回復も早いからな」
「社会人だったら、立派な社畜ですね」
クスクスと笑う織香の頭を俺は撫でて、一人で次の階層に向かう。
他人を回復させる系のスキルが欲しいと思うこの頃だった。
入った場所はひろく、風通しのいい空間だった。
展望台のような感じだが、窓がないので部屋の端の方にはいかず中央あたりにスメラギを下ろす。
全身刻まれており、血が流れていて痛々しかった。
服もかなり破れているので、〈収納〉から毛布を取り出してかける。
一通りの作業を終えたあと、俺はスメラギの顔のあたりに座り、事情を聴くことにした。
「スメラギ……」
「申し訳ございません、配信切ってくださいませんか?」
「織香、休憩時間だから一旦配信停止だ」
コメントを見ることもなくせわしかったので、忘れていたが配信用ドローンは撮影モードのままである。
小声で伝えられたので、俺は別の理由を持って織香にも配信を止めてもらった。
ふぅと一息つくと、織香にも聞こえないよう小声でスメラギに話しかける。
「他に聞かれたくない重要な話なんだろ? 無理をした理由は、もしかしたらさっきの米軍の攻撃にかかわっているのか?」
「鈍いようで、意外と鋭い時がありますのね。そういうところも、わたくしは好ましく思いますわ」
「お世辞はいいから、本題に入れ。あんまり長々話していると織香も来る」
「すみません、実はガメリカからこのダンジョンの第一討伐者としての登録をするよう指示がありましたわ。大統領命令で……」
「なんだと……ダンジョンの管理なんて面倒だからやらない方がいいと思うんだが」
「普通であればそうかもしれませんが、この場所でワイバーンが制御できるかどうかというのは大きい話ですわ」
俺としては面倒事を避けたいので、管理権限なんかはいらない方だが政治的な問題となると話は違ってきた。
ワイバーンは戦闘機に匹敵する能力を持っているので、米軍基地や果てはガメリカ本土への襲撃が可能なると言えばそうなる。
だから、警戒をする気持ちは分かった。
でも、それとスメラギが自分を犠牲にする理由がつながらない。
「だが、どうしてスメラギがこんなに重傷を負う?」
「だって、こうなってしまえばわたくしは戦線離脱、サグル様に託しても何らおかしくないですわ」
「それは……もしかしたら、俺らの敵に回る可能性を自分から無くしたというのか? だとしたら、無茶をする」
「不器用なのです。わたくしは貴方のようにまっすぐ目的を果たせるような力も、気概もありません。しがらみが多い立場ですもの」
傷つきながらも美しい顔でスメラギは自嘲を浮かべた。
ガメリカと日本のハーフということもあって、悩んでいたのだろう。
「わかった、俺が制御を手に入れ管理権限でダンジョンを消滅させる」
「ありがとうございます。憂いなくなりましたわ」
目を閉じたスメラギは意識を失った。
慌てた俺は口元に手を当てると息があたっているのが分かったので、安堵する。
「洞窟じゃないなら、俺には不要だからな。とっとと解決させよう」
俺は立ち上がると織香に近寄った。
「サグルさん? キャサリンさんは大丈夫ですか?」
「ああ、今は寝ている。織香、お前はここでスメラギを守っていてくれ」
「それって……また一人で行く気なんですか!?」
「いろいろと事情があってな、もしかしたらスメラギの命があいつの部下達から狙われるかもしれない」
「ええぇ!? どういうことです? 穏やかじゃないですよね」
「まぁ、可能性の話だ。落ち着いたら援軍に来てくれればいいから、俺は先に行く。〈自己再生〉のお陰で疲労の回復も早いからな」
「社会人だったら、立派な社畜ですね」
クスクスと笑う織香の頭を俺は撫でて、一人で次の階層に向かう。
他人を回復させる系のスキルが欲しいと思うこの頃だった。
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