[完結]サクリファイス~主従の契約

くみたろう

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第2章 種族の優劣 命の重み

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 あの大きな地震が来てから2週間がたった。
街の復旧は着々と進んでいるが物流はまだ滞っている。
カーマインの家は十分すぎる備蓄をベルライナが用意していた為問題はないが、 他の家庭では食糧不足に陥って来ていた。
それぞれの家庭で備蓄は蓄えているのだがその量は少ない家庭も多くいた。

 その為、 食料を求めて街を徘徊するジーヴスが目立ってきた。
主人に言われて食料を求めるジーヴスだが、 やはり食糧難はどこも一緒。
少量に分けた食料をなんとか食べる日が続いた。

 「………この世の終わりの様な光景だね」

 いつ復旧するのかカーマイン達にはわからない為、 備蓄はあっても分けることは出来なかった。
1人に分けたら、 大勢が詰め掛けるのは目に見えているし1度で満足いく訳がない。

 窓から外を見ていたカーマインはカーテンを閉じて椅子に座った。
小高い丘にあるカーマインの自宅は街から離れている為、 玄関に張り付き食料を求めるジーヴスはいない。
しかし、 街では現在この様な光景は日常茶飯である。

 武道大会所ではない、 生きるか死ぬかの緊迫した状況である。


 ゴゴゴゴゴゴゴ……

「またかっ!ベル!」

 揺れだした大地にベルライナはよろめき倒れそうになった所でカーマインが腕を伸ばし支える。
ベルライナは思わずカーマインに捕まりしゃがみ込むと、 カーマインも一緒にしゃがんだ。

「……っ本当にどうなっているんだ」

 2週間が過ぎても大きな地震が続く。
むしろ前よりも強くなっている気さえした。
この世の終わりか……そう話すリアルド達がいる中、 不穏な情報が持ち込まれる。









「カーマイン、 お前も来い!」

「ライナス?なに?」

 急に来たライナス。
少し痩せているのが目に見えてわかるが、 まだ元気そうだ。
無理やり引き摺られるように家から出たカーマインの後をベルライナは慌てて追いかけた。

「ちょっと!一体何なのさ?」

 街へと続く下り坂を引っ張られ足が縺れそうになりながらも着いていくカーマインがライナスに文句を言う。
ライナスは走りながら顔だけを振り向いた。

「かなり遠くだがスタンピードが確認された!既に2つの街と村が潰れてる!」

「は……」

 ライナスの話にカーマインは言葉を詰まらせた。


 スタンピード。
ここからかなり離れた場所に魔物を産む洞窟がある。
それはこの世界にたくさん存在するうちの1つで、一日に一体産むくらいの物だ。
特に注視するものでは無いのだが、 ごく稀に突然変異で大勢の魔物を産む。

 その魔物は森にある食べ物を食い散らかした後食料を求めて近くにある街や村を襲うのだ。

「今からスタンピードを潰す為の会議があんだよ!」

「なんでいきなりスタンピードなんだよ」

舌打ちしながら言うカーマインに、 ライナスは前を睨みつけて口を開いた。

「……地震のせいって話が出てる」

「地震?」

「地震が起きてから魔物が産まれる数が増えたとか、 洞窟に近い所に住んでた奴が言ってたらしい」

「確証は?」

「これから」

 本当にスタンピードなら大変なことが起きる。
カーマインは眉を寄せ顔を歪ませながら自ら足に力を入れた。
ベルライナが着いてきている事を確認したカーマインはスピードを上げた。





















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