[完結]サクリファイス~主従の契約

くみたろう

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第4章 唯一の宝

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「お待たせ致しました。」

 出されたのは、 たっぷりの野菜スープに柔らかなパン。
数日食べていないだろうクーフェンの為に胃に負担がかからないメニューにした。

 カーマインとベルライナ用の食事も用意して一緒に食べる。
クーフェンが1口食べてから手が止まった。

「クーフェン?」

「お口に合いませんでしたか?」

「…………あったかい」

 クーフェンの心は冷え切っていた。
サテライトが帰ってこない。
ヤル気も起きないし食欲もない。
1口口にしても何も感じなかった。

 だけど、 このご飯は暖かくて優しい味がしていて。
まるでサテライトとご飯を食べているようで

「……………おいしい」

 泣き腫らして痛みすら感じる瞳にまた涙が溜まる。
そんなクーフェンに2人は顔を見合わせて小さく笑った。

 ちゃんと食べてる、 笑ってる。
生きるために前を向いてる。
だから、 クーフェンは大丈夫だろう。















「ありがとう、 なんだか元気になったよ」

まだ赤い目で、 それでも笑うクーフェンに2人は笑った。

「また何時でもおいで」

「おまちしています」

2人の歓迎する声にクーフェンは照れたように笑い

「2人の邪魔はしたくないからね!たまーに来るよ!……二人とも良かったね」

そう笑って手を振ったクーフェンにベルライナは顔を真っ赤にして俯き、 カーマインは目を見開いた。
それからふわりと優しく笑ったカーマインはベルライナを見た後にクーフェンを見た。

「ありがとう」

「あーあー、 ご馳走様!ベルちゃん!なんかあったら私に言うんだよ!このクーフェン様がいくらでも相談に乗るんだからね!」

「あ…ありがとう、 ございます」

「いいさ!私はいつだって恋する女の子の味方なんだからね!!」

小さな胸を張り言うクーフェンに、 カーマインはクスリと笑った。










「良かったですね」

「ああ、 少し前を向いたみたいだね」

「まだ無理して笑っていましたけども」

「すぐには受け入れにくいよね……クーフェンはサテライトが好きだから……」

クーフェンはカーマイン、 そしてベルライナと同じような感情でサテライトが好きだった。
だからこそ2人を祝福したし、 何かあったら力になると言ってくれた。

 だからこそ、 2人はクーフェンを放っておけないし力になりたいと、 そうおもうのだ。
大切な友人だから。
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