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本日のお仕事(犯罪奴隷メフィストの日常)
シロアリの脅威があり、そこからも様々な出来事があって慌ただしい1年はあっという間に流れていく。
つい最近うだるような暑さに目を回すような忙しさだったのが、だいぶ落ち着いてきて芽依の庭もゆとりが出来てきた。
茶畑で働く2人は、相変わらずイチャイチャしながら楽しそうにしているし、体調が回復してきたメフィストは、茶の生成の研究の傍ら芽依の野菜を調べていた。
「うーん、不思議だなぁ」
芽依に出してもらった大根とゴボウ。
この荒ぶる野菜は2種類だけで、出すのも1本のみだ。
野菜が儚く散ってから、新たな野菜が荒ぶり出すというシステムらしい。
さらに、従順で穏やかな大根と、暴君のゴボウ。
「これはね、わかるよ」
「わかるんですか? 」
「君との繋がりの濃密さだね。大根は奴隷で魂が繋がっているけど、森の妖精は良くて同僚だからね。自分の中に吸収してってなると反発するんだ。最初はもっと暴れていたんじゃない? 」
「暴れてた」
「だろうね。それを何度も吸い上げることで静まってきて落ち着く訳じゃないけど少し従順になってきた。これは、本体の性格には関係ない野菜の気質みたいだね」
「……………………野菜の気質」
「森の妖精は何度も吸ってる?」
「吸ってるって表現……いや。うん。そうですね? 」
「ふーん? なら今後も吸い上げ続けると、ゴボウは変化するかな。勿論大根も…………進化とかしたら面白そうじゃないかい?! 何か力を付けるのか、それとも上位の野菜になるのか!! ……大根の上位野菜ってなにかな? 」
「知らないよ!!! 」
毎日、あの部屋で自主的に篭もり研究をしている。
本人は至って満足らしく、好きなだけ研究が出来ると喜んでいるが、元々出不精なのだろう。
あまりにも良すぎる空間を与えたばかりに、まるっきり出てこなくなった。
8時間の研究時間だと縛りを与えたのに多少の不満を持ってはいるが、それ以外に不満はないようだ。
「それより、少しは外に出てくださいよ」
「いらないよ」
「いらないじゃなくて」
「時間が勿体ないから」
研究時間は、朝9時から夜6時までの1時間休憩である。
その他の時間は体調を見る為に自由だが、引きこもりが続くのなら強制労働として部屋から出す予定である。
この時間を超えると、研究は出来ないため、一分一秒でも大切だと机にかじりつき、何かの実験を繰り返している。
お湯と湯のみはまだ使われている形跡はないから、まだ試作品は出来ていないようだ。
そんな2人は、窓越しに話をしている。
あの鉄格子を隔てての会話だ。
まだ信用のないメフィストとの接触は、メディトーク達からキツく制限をされていて、会話は窓越し、誰ががいる時以外入室禁止と言われた。
あのローストビーフを勝手に持っていったのが悪かったようで、怒られ禁止されたのだ。
「体に悪いですよ」
「今体調悪いから休まないと」
「……………………じゃあ、研究も辞めましょうか」
「えっ?……何言ってんの? 」
ピクリと眉を跳ね上げて芽依を見る。
あの巨大樹を前に酔ったように話す姿からは遠く離れていて今でも同一人物なのか疑ってしまうくらいだ。
「それに、大変だろうけどもうひとつ見て欲しいのがあって」
「なに? 」
手を止めて芽依を見るメフィスト。
ヘタって汚れている白衣を変えないのか、面倒なのか昨日と同じ服を着ているのが気になる、と見てから話し出した。
「昼に食べたさつまいも、覚えてます? 」
「ああ、甘い芋? 」
「それ、地面が熱している時にじゃがいもから変化してできたヤツで。地面が戻ると作れないんです。私、前からどうしてもあのさつまいもが作りたくて試行錯誤してたから」
「見て欲しいんだ? 」
「………………見て」
キュッと眉を寄せて言うと、メフィストは、くにぃ……と口端を持ち上げた。
楽しくて楽しくてたまらないと、ペンを握っていた手を開いて床につき、体重を乗せる。
「へぇ、そんな変化が。あの時のいろんな土のサンプルはあるから、ゆっくり調べてみてもいいよ。また変化を見つけれるかもしれないしね」
「じゃあ、部屋から出てね」
「それはすぐには無理だなぁ、体調が悪いから」
肩をヒョイと上げて言う憎たらしい顔をしたメフィストに、芽依はピキっと青筋を立てる。
犯罪奴隷なメフィストは、良くも悪くもマイペースで自分の好きな事ばかりを優先する。
今の彼は、さつまいもに変化した土も気になるが、それよりも野菜が気になるようだ。
お茶の研究もだいぶ遅い。
コイツ……と手を握りしめると、ニヤリと笑ったメフィストは休憩するよ、指示通りに。とベッドに横になったのを見て、芽依は分かりやすく舌打ちをしてから離れていった。
「ここも退屈しなさそうだな」
「んもー!! 腹立つ!! 言う事聞かないよ! 穏和? 話をちゃんと聞く?! マイペースでしたい事以外しないじゃん!! 話し方もどんどん生意気な感じになるし!! あの笑った顔がぁぁぁ!! 」
確かに野菜を調べてお茶の研究もしてくれる。
アリステアが言ったように、思いの外受け答えはしてくれるが、メディトーク達に話すのと明らかに違う小馬鹿にしたような言い方に頭を掻きむしり地団駄を踏んだ。
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