4 / 82
一章 かつての生徒が迎えにきて
4話 その男、前世あり。
自分には前世がある。
その事実に気づいたのは、20の頃。
地方子爵の次男であったが、魔力を持たずに俺は役人を志して、日々勉強に励んでいた。
そんなある日、国立図書館内でやたら古びた書物を見かけた。
どういうわけか気を引かれてそれを開いてみると、その記憶はとんでもない頭痛とともに、唐突に記憶として蘇ってきた。
今から約1000年前――。
今はなき、グランデ王国にて、俺はアデル・オースティンという名の魔術師であったらしいのだ。
前世でも所持魔力は0で属性魔法はろくに使えなかったものの、こと魔術の扱いとなれば天下一。
はじめは冒険者がてら研究をしていたが、やがてその力量を買われ、王立魔法学校にて魔術学の教授まで上り詰めた。
その後は術式の研究や術具の開発などに心血を注ぎ、国の発展に貢献。やがて名誉教授の地位をもらう。
『当代一の魔術師』と、もっぱらもてはやされるほどだった。
以降の人生など一部はっきりしない点はあるものの、その記憶はあまりにもリアルな質感を持っていた。
かつ、『転生した事実は誰にも言ってはならない。言えば、世界に災いが訪れる』と頭の中になぜかしっかり刻み込まれていたのだから到底、作り物とは思えない。
だが、それだけなら都合のいい妄想に陥ったという可能性もある。
実際、魔術はこの世から喪失しており使い手を見たこともない。
だから、あくまで試しに頭の中にあったイメージどおりに、【浮遊】の魔術を使ってみると、これが怖いくらいにうまくいった。
「……本当にできた」
あたりの本がすべて、書庫内で宙に浮きあがったのだ。
それも術式を細かく変えることで、一冊の本ごとに自在に繰ることもでき、そのまま棚へ戻すこともできた。
そして、この体験から俺の人生は一変することとなる。
記憶が馴染んだのだろう。
日を経るごとにだんだん魔術を使いこなすようになった俺は、生活魔法として利用したり、ダンジョンでの狩りに利用したりと、どんどん使いこなしていく。
そうしているうち、22の頃に、ついぞ国に目をつけられた。
あれよあれよという間に、前世同様、ハイデル王立第一魔法学校の講師として取り立てられたのだ。
国内に5つある魔法学校の中で、最上位に位置づけられる学校である。
15歳~18歳の生徒が属しており、国が出資していることもあり、高貴な名家の生徒や学績優秀な生徒が数多く通う。
教師陣も、実績のある面子ばかりが揃う超優秀校だ。
しかし、そんな学校でも『魔術学』は研究されていなかった。
現代、『魔術』はすっかり衰退し、使えるものは一部いるものの、『属性魔法』の下位互換扱い。まったく世に浸透していなかったのだ。
俺が使う魔術は、『喪失魔術』と呼ばれていたくらいである。
そのため俺は、国で唯一の『喪失魔術学』教授として、教鞭をとることになる。
魔法陣や魔術式の書き方、発動方法などを生徒へ指導をしつつ、魔術の研究に没頭することとなった。
学説では、いわゆる五属性しか魔素の種類はないとされていたが……
魔術においては、その何倍もの魔素がある。
そんな俺にとっては当たり前のことすら、魔術のない世の中には、革命的な事実となったらしい。
研究の成果は上々で、魔術は徐々に魔法学界隈で認められていく。
そのうえ、生徒からの評判もそれなりに高かったはずだ。
中には、
「この先も私は先生だけについていきます、心から尊敬しております」
こうまで言って慕ってくれるような生徒もいたっけ。
可憐で、かつ身分も申し分のない少女だったから、その姿は今もよく覚えている。
もちろん、他の生徒らのことも忘れてはいない。
彼らへの指導を含めて、魔法学校での時間は非常に充実したものであった。
しかし、である。
その時間が長く続くことはなかった。
その事実に気づいたのは、20の頃。
地方子爵の次男であったが、魔力を持たずに俺は役人を志して、日々勉強に励んでいた。
そんなある日、国立図書館内でやたら古びた書物を見かけた。
どういうわけか気を引かれてそれを開いてみると、その記憶はとんでもない頭痛とともに、唐突に記憶として蘇ってきた。
今から約1000年前――。
今はなき、グランデ王国にて、俺はアデル・オースティンという名の魔術師であったらしいのだ。
前世でも所持魔力は0で属性魔法はろくに使えなかったものの、こと魔術の扱いとなれば天下一。
はじめは冒険者がてら研究をしていたが、やがてその力量を買われ、王立魔法学校にて魔術学の教授まで上り詰めた。
その後は術式の研究や術具の開発などに心血を注ぎ、国の発展に貢献。やがて名誉教授の地位をもらう。
『当代一の魔術師』と、もっぱらもてはやされるほどだった。
以降の人生など一部はっきりしない点はあるものの、その記憶はあまりにもリアルな質感を持っていた。
かつ、『転生した事実は誰にも言ってはならない。言えば、世界に災いが訪れる』と頭の中になぜかしっかり刻み込まれていたのだから到底、作り物とは思えない。
だが、それだけなら都合のいい妄想に陥ったという可能性もある。
実際、魔術はこの世から喪失しており使い手を見たこともない。
だから、あくまで試しに頭の中にあったイメージどおりに、【浮遊】の魔術を使ってみると、これが怖いくらいにうまくいった。
「……本当にできた」
あたりの本がすべて、書庫内で宙に浮きあがったのだ。
それも術式を細かく変えることで、一冊の本ごとに自在に繰ることもでき、そのまま棚へ戻すこともできた。
そして、この体験から俺の人生は一変することとなる。
記憶が馴染んだのだろう。
日を経るごとにだんだん魔術を使いこなすようになった俺は、生活魔法として利用したり、ダンジョンでの狩りに利用したりと、どんどん使いこなしていく。
そうしているうち、22の頃に、ついぞ国に目をつけられた。
あれよあれよという間に、前世同様、ハイデル王立第一魔法学校の講師として取り立てられたのだ。
国内に5つある魔法学校の中で、最上位に位置づけられる学校である。
15歳~18歳の生徒が属しており、国が出資していることもあり、高貴な名家の生徒や学績優秀な生徒が数多く通う。
教師陣も、実績のある面子ばかりが揃う超優秀校だ。
しかし、そんな学校でも『魔術学』は研究されていなかった。
現代、『魔術』はすっかり衰退し、使えるものは一部いるものの、『属性魔法』の下位互換扱い。まったく世に浸透していなかったのだ。
俺が使う魔術は、『喪失魔術』と呼ばれていたくらいである。
そのため俺は、国で唯一の『喪失魔術学』教授として、教鞭をとることになる。
魔法陣や魔術式の書き方、発動方法などを生徒へ指導をしつつ、魔術の研究に没頭することとなった。
学説では、いわゆる五属性しか魔素の種類はないとされていたが……
魔術においては、その何倍もの魔素がある。
そんな俺にとっては当たり前のことすら、魔術のない世の中には、革命的な事実となったらしい。
研究の成果は上々で、魔術は徐々に魔法学界隈で認められていく。
そのうえ、生徒からの評判もそれなりに高かったはずだ。
中には、
「この先も私は先生だけについていきます、心から尊敬しております」
こうまで言って慕ってくれるような生徒もいたっけ。
可憐で、かつ身分も申し分のない少女だったから、その姿は今もよく覚えている。
もちろん、他の生徒らのことも忘れてはいない。
彼らへの指導を含めて、魔法学校での時間は非常に充実したものであった。
しかし、である。
その時間が長く続くことはなかった。
あなたにおすすめの小説
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!