「異端者だ」と追放された三十路男、実は転生最強【魔術師】!〜魔術の廃れた千年後を、美少女教え子とともにやり直す〜

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】

文字の大きさ
31 / 82
一章 かつての生徒が迎えにきて

31話 その男、どうしようもない教授にため息をつく。





――そうして、迎えた放課後。
俺は授業関係の事務仕事を終えると、すぐに講師室を後にした。

教授になれば、研究室を与えられて研究の範囲において自由に扱うことができる。
実際、5年前には資料の山に囲まれながら仕事をする環境を作り出していた。

しかし現状、副講師の身分である俺にその権利はない。

そんな環境において、魔術を扱う資料に触れられる場所はといえば、図書館しかなかった。

もちろん間違っても、レイブル教授の研究室には行きたくなかったということもあるが……

「この五年のうちに失われたと思われていた魔術式の乗った古文書もいくつか見つかったとか、リーナが言ってたな」

真に確かめたかったのは、この情報の方だ。
もしかすると、かつて俺が生きていた時代の資料がみつかっている可能性もある。


魔術関連の書架が地下階の端に追いやられているのは、前と変わっていなかった。
俺はひとまず、そこへと足を向ける。

すると、そのすぐそばの机で一人の女生徒が魔術関連の書籍を読み漁っていた。

相変わらず、崩れた姿勢だ。
机に肘をつきながら、彼女はショートボブの髪をぐしゃぐしゃとかく。

「なにをやってるんだ? ルチア・ルチアーノくん」

わかりやすく悩んでいる様子であったから、思わず声をかけてしまった。
彼女は顔を上げて俺の方を見ると、一つ息をついた。

「あ、アデル先生。ちょうどよかった~、今から聞きに行こうかなぁとか考えてたんだよね」

それから、ずいぶんと親しげに、こちらへ視線を送ってくる。
まだ授業で一度顔を見合わせただけにもかかわらず、口調は友達に対するそれだ。

「ちょうど? なんのことだ?」
「昼すぎにね、レイブルの奴に今日の夕方までに解いてこいって魔術課題を出されたんだよ。
『命令だ、ワシの授業をまともに聞いてなかったお前には解けないだろう。できなかったら特別指導だ』、って。むかつくなぁ、ほんと。自分が解けんのかって話だし」

彼女はそう言いながら、手元にあった一枚の紙を俺の方へと見せる。
そこには、汚い字でありながら一つの魔術式が記されていた。

ただし、解がすでに示されているタイプの式だ。その解には、『聖なる白の精』とあった。

このタイプの式は、成立するためになにか欠けている箇所がある。そこに必要な文言を記入し魔力を流すことで、術が発動する仕組みだ。

「かなり難しい式だな、これ」

項数が多く、かなり複雑な条件式が組み込まれていた。

まだ習い立ての現段階で習うはずのない項目ばかりだ。
そればかりか、1000年前であってもこんな式を解けるのは選ばれし数人だけにちがいない。

もしかしたらこれが、俺のいない5年のうちに見つかった魔術式の一つなのかもしれない。

「間違いなく嫌がらせだな。この魔術式は、今の時代に残されている知識だけではほとんど解きようがない」
「……え、マジ? でもそんな式、あいつにも解けないだろうし……。ってことは、やっぱり」

そこでルチアは、自分の肩を抱くようにして身を縮める。

「なんだ、気付いたことでもあるのか?」
「あくまで噂だけど、レイブル教授って自分の研究室に女子生徒を連れ込んで、その……単位と引き換えに、いろいろなことをしているとかいう話が生徒の間で広まってるんだよね。さすがに冗談でしょって思ってたけど、わざわざ解けない問題渡してくるってことは……」

それは、とんでもない噂話だった。
事実だとすれば、まったくどうしようもない。
感想 1

あなたにおすすめの小説

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!