32 / 82
一章 かつての生徒が迎えにきて
32話 その男、解けないはずの古代魔術を解き明かす
生徒に当り散らした末に、特別指導と称して研究室に呼びつけ、今度は単位で脅して言う事を聞かせる。
レイブル。教師の風上にも置けない人間だ。
「あの噂、マジだったってこと? うわ、どうしよ、寒気してきた。単位は欲しいけど……それはまじで勘弁してほしいかも」
ルチアは顔を青くして、身体を一つ震わせる。
噂の真偽はともかく、今の彼女を安心させてやるには、特別指導を回避させてやるほかない。
「ルチアーノくん。この紙、少し貸しといてくれるか? すぐに返すよ」
「え? どうするの。だって先生、今の知識じゃほとんど解けないって……」
おっと、無意識だったが、それはとんだ失言だ。
俺が転生者であることは、伏せておかねばならない。少し自分の中で反省をしながら、彼女には笑顔を返しておく。
「ほとんど、と言っただろう? 可能性はあるさ」
俺はそこから、魔術式を解きにかかった。
まずは式を別の用紙に書き写していく。
「先生、もしかして読めるの?」
「まあ少しだけね」
本当はすべて読むことができるけれど、そこは伏せておく。
まずはペンを走らせていたのだが……そこで見つけた一つの項目に、式を写していた手が止まる。
『アデル・オースティンのみが発動可』
そんな文言が記されていたのだ。
どうやらこの魔術式は、かつての俺が作成したものらしかった。だが、そんな記憶はない。
こうなったらば、解き明かさない手はない。
俺は本腰を入れて、魔術式の分解を始める。そうして、少し。空欄に入るべきものの答えを無事に導き出すことができた。
そりゃあまぁ作った記憶がないとはいえ、かつて自分が作っただろう式だ。
自然と答えを導き出すことができた。
俺は式の一部に、欠けていた一文である『複合魔素による降霊術である』旨の一文を書き加える。その外周に、魔術サークルを結んだ。
すると、どうだ。
書き入れていたノートが白く発光しはじめたではないか。
この現象は、これまで見たことがない。
「先生、なにしたの⁉」
おおいに驚くルチアを横目に、俺へ唐突に襲い来るのはいつか味わったような頭痛だ。
そう、それこそ前世の記憶が戻ったときに味わったものに近い。
痛みがひどく、俺は椅子のうえで頭を抱え込む。
同時、つい唸り声をあげてしまった。
「アデル先生、大丈夫⁉ 嘘でしょ、この式のせい⁉ もしかして、あの変態レイブルの奴が仕込んでたの? もう、ありえない……!」
ルチアが盛大な勘違いをしているから、俺はどうにか首を横に振る。
しばらくすると発光はだんだんと収まり、痛みも同時に引いていった。
俺は切れた息を整えて、やっと平常を取り戻した。
レイブル。教師の風上にも置けない人間だ。
「あの噂、マジだったってこと? うわ、どうしよ、寒気してきた。単位は欲しいけど……それはまじで勘弁してほしいかも」
ルチアは顔を青くして、身体を一つ震わせる。
噂の真偽はともかく、今の彼女を安心させてやるには、特別指導を回避させてやるほかない。
「ルチアーノくん。この紙、少し貸しといてくれるか? すぐに返すよ」
「え? どうするの。だって先生、今の知識じゃほとんど解けないって……」
おっと、無意識だったが、それはとんだ失言だ。
俺が転生者であることは、伏せておかねばならない。少し自分の中で反省をしながら、彼女には笑顔を返しておく。
「ほとんど、と言っただろう? 可能性はあるさ」
俺はそこから、魔術式を解きにかかった。
まずは式を別の用紙に書き写していく。
「先生、もしかして読めるの?」
「まあ少しだけね」
本当はすべて読むことができるけれど、そこは伏せておく。
まずはペンを走らせていたのだが……そこで見つけた一つの項目に、式を写していた手が止まる。
『アデル・オースティンのみが発動可』
そんな文言が記されていたのだ。
どうやらこの魔術式は、かつての俺が作成したものらしかった。だが、そんな記憶はない。
こうなったらば、解き明かさない手はない。
俺は本腰を入れて、魔術式の分解を始める。そうして、少し。空欄に入るべきものの答えを無事に導き出すことができた。
そりゃあまぁ作った記憶がないとはいえ、かつて自分が作っただろう式だ。
自然と答えを導き出すことができた。
俺は式の一部に、欠けていた一文である『複合魔素による降霊術である』旨の一文を書き加える。その外周に、魔術サークルを結んだ。
すると、どうだ。
書き入れていたノートが白く発光しはじめたではないか。
この現象は、これまで見たことがない。
「先生、なにしたの⁉」
おおいに驚くルチアを横目に、俺へ唐突に襲い来るのはいつか味わったような頭痛だ。
そう、それこそ前世の記憶が戻ったときに味わったものに近い。
痛みがひどく、俺は椅子のうえで頭を抱え込む。
同時、つい唸り声をあげてしまった。
「アデル先生、大丈夫⁉ 嘘でしょ、この式のせい⁉ もしかして、あの変態レイブルの奴が仕込んでたの? もう、ありえない……!」
ルチアが盛大な勘違いをしているから、俺はどうにか首を横に振る。
しばらくすると発光はだんだんと収まり、痛みも同時に引いていった。
俺は切れた息を整えて、やっと平常を取り戻した。
あなたにおすすめの小説
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!