49 / 82
二章 属性魔法学との対峙
49話 その男、危険地帯も余裕綽々
ダンジョンの中は、明かりなしではまともに歩けないくらい暗かった。
一寸先は闇、とはこのことだ。その中から魔物のうめき声がそこかしこで反響して聞こえてくるのだから恐ろしい。
が、念のためと持ってきていたあるアイテムがここで生きた。
「先生、それ。フェデリカのところの?」
「あぁ、うん。たまたま店を訪れたときに、フェルミくんに貰ったんだよ」
リーナが聞いたとおり。
これはフェデリカに渡されていた、魔術を組み込んだ魔導灯だ。
「ってか、ルチアはこんな明るい魔導灯知らないよ」
ルチアが言うように、現代で一般的に流通している魔導灯と比べれば、明るさが段違いだった。
基本的に魔導灯は、火属性の魔力を利用して作られている。
だが、フェデリカの作ったこの魔導灯は魔術式・【発光】が使われており、根本から作りが違うのだ。
そのうえ、持久力や使い勝手も断然違う。
火属性の魔力を利用した魔導灯は、使えば使うだけ魔力を消費して暗くなっていくのに対して、魔術を利用したものは明るさがほぼ変わらない。
空気中に滞留する魔素同士をぶつけ、その反応により発光を促しているためだ。
さらに、この魔導灯は浮かせることもできるのだから、かなりの優れものと言っていい。
それにより、良好な視界のなか探索が始まる。
途中、ネズミ型魔物・ゲッシの進化系、大ネズミ・デントラットの群れに出くわすなどしたが……
「さすがだな、リーナは。おかげで、派手な戦闘をしないで済んだ」
「いいえ、先生のおかげですよ。それの、私と先生が組めば敵はいません」
リーナが言う通り、あっさり撃退に成功した。
俺が【加重】の魔術により敵の動きを完全に封じたところへ、リーナが水の波動を纏った剣閃を放ち、一気に薙ぎ払ったのだ。
「……すごいなぁ。あのデントラットを牙も剝かせないうちに倒しちゃうなんて。
先生とリーちゃんがいると、なんかダンジョンにいるのに実家のような安心感あるよ、うん」
それを見て、ルチアが暢気に言う。
信頼してもらっているのはいいけれど、あまり気を抜いてもらっても困る。
「用心したほうがいいよ。ここは外より全体的に瘴気が濃い。魔物も、上級ランクがほとんどだ。かなりの危険地帯だよ」
「たしかに言われてみれば、見たことない魔物ばっかりだったかも……? それにうまく【鑑定】魔術が使えなかったし」
「そういうものですよ、ルチアーノさん。瘴気が強い空間では、魔力が乱れやすくなります。その分、魔術を操るのも難しくなりますよ」
ルチアとリーナの会話を脇に置いて、俺は少し思案をめぐらせる。
普通、同じダンジョン内でここまで明白に出現する魔物のランクが異なることはない。
多少の濃淡はあれど、発生した瘴気は、空気中で混ざり合い均一化するためだ。
しかし、この洞窟内は今の今まで封鎖されていた。
とすれば、洞窟内のどこかに濃い瘴気の発生源があり、それが原因で強力な魔物が住み着いているのかもしれない。
俺はそんな仮説を立てると同時、さっそく検証へと入ることにした。
空気中に速記した魔術サークルは、【探索】だ。基礎魔術【鑑定】を、魔術サークルを『拡散』型に変えるなど、改良したものである。
これにより、さらに広範囲にわたって使用することができる。
「ねぇリーちゃん。今、瘴気の濃いところでは魔力が乱れるから魔術は使いにくいって言ってなかった?」
「言いました。言いましたが、アデル先生は別格ですよ。先生に常識は当てはまりません」
一体、なんのことやら。
少し疑問に思いつつも、俺は【探索】の範囲を広げていく。
そうして、それは引っかかった。
明らかに瘴気の濃い場所が一点、洞窟の中に存在していたのだ。
「さぁ、行こうか。どうも、こっちの方らしい」
俺は【探索】で得た感覚を頼りに、2人を先導して洞窟内を進む。
そうして大広間のような空間に到着した。
一寸先は闇、とはこのことだ。その中から魔物のうめき声がそこかしこで反響して聞こえてくるのだから恐ろしい。
が、念のためと持ってきていたあるアイテムがここで生きた。
「先生、それ。フェデリカのところの?」
「あぁ、うん。たまたま店を訪れたときに、フェルミくんに貰ったんだよ」
リーナが聞いたとおり。
これはフェデリカに渡されていた、魔術を組み込んだ魔導灯だ。
「ってか、ルチアはこんな明るい魔導灯知らないよ」
ルチアが言うように、現代で一般的に流通している魔導灯と比べれば、明るさが段違いだった。
基本的に魔導灯は、火属性の魔力を利用して作られている。
だが、フェデリカの作ったこの魔導灯は魔術式・【発光】が使われており、根本から作りが違うのだ。
そのうえ、持久力や使い勝手も断然違う。
火属性の魔力を利用した魔導灯は、使えば使うだけ魔力を消費して暗くなっていくのに対して、魔術を利用したものは明るさがほぼ変わらない。
空気中に滞留する魔素同士をぶつけ、その反応により発光を促しているためだ。
さらに、この魔導灯は浮かせることもできるのだから、かなりの優れものと言っていい。
それにより、良好な視界のなか探索が始まる。
途中、ネズミ型魔物・ゲッシの進化系、大ネズミ・デントラットの群れに出くわすなどしたが……
「さすがだな、リーナは。おかげで、派手な戦闘をしないで済んだ」
「いいえ、先生のおかげですよ。それの、私と先生が組めば敵はいません」
リーナが言う通り、あっさり撃退に成功した。
俺が【加重】の魔術により敵の動きを完全に封じたところへ、リーナが水の波動を纏った剣閃を放ち、一気に薙ぎ払ったのだ。
「……すごいなぁ。あのデントラットを牙も剝かせないうちに倒しちゃうなんて。
先生とリーちゃんがいると、なんかダンジョンにいるのに実家のような安心感あるよ、うん」
それを見て、ルチアが暢気に言う。
信頼してもらっているのはいいけれど、あまり気を抜いてもらっても困る。
「用心したほうがいいよ。ここは外より全体的に瘴気が濃い。魔物も、上級ランクがほとんどだ。かなりの危険地帯だよ」
「たしかに言われてみれば、見たことない魔物ばっかりだったかも……? それにうまく【鑑定】魔術が使えなかったし」
「そういうものですよ、ルチアーノさん。瘴気が強い空間では、魔力が乱れやすくなります。その分、魔術を操るのも難しくなりますよ」
ルチアとリーナの会話を脇に置いて、俺は少し思案をめぐらせる。
普通、同じダンジョン内でここまで明白に出現する魔物のランクが異なることはない。
多少の濃淡はあれど、発生した瘴気は、空気中で混ざり合い均一化するためだ。
しかし、この洞窟内は今の今まで封鎖されていた。
とすれば、洞窟内のどこかに濃い瘴気の発生源があり、それが原因で強力な魔物が住み着いているのかもしれない。
俺はそんな仮説を立てると同時、さっそく検証へと入ることにした。
空気中に速記した魔術サークルは、【探索】だ。基礎魔術【鑑定】を、魔術サークルを『拡散』型に変えるなど、改良したものである。
これにより、さらに広範囲にわたって使用することができる。
「ねぇリーちゃん。今、瘴気の濃いところでは魔力が乱れるから魔術は使いにくいって言ってなかった?」
「言いました。言いましたが、アデル先生は別格ですよ。先生に常識は当てはまりません」
一体、なんのことやら。
少し疑問に思いつつも、俺は【探索】の範囲を広げていく。
そうして、それは引っかかった。
明らかに瘴気の濃い場所が一点、洞窟の中に存在していたのだ。
「さぁ、行こうか。どうも、こっちの方らしい」
俺は【探索】で得た感覚を頼りに、2人を先導して洞窟内を進む。
そうして大広間のような空間に到着した。
あなたにおすすめの小説
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!