「異端者だ」と追放された三十路男、実は転生最強【魔術師】!〜魔術の廃れた千年後を、美少女教え子とともにやり直す〜

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二章 属性魔法学との対峙

62話 その男、美人局を撃退する

周囲から注目を浴びる日々はそれからも続いた。

いつかは収まっていくだろう。そうなったら再びダンジョンに出向いて、研究を再開しよう。そんなふうに思っていたのだが、そのときがなかなか訪れない。
そのうちに二週間超が経過してしまっていた。

そんなある日のことであった。

俺が学校からの帰路、夜道を歩いていたとき「きゃあ」という女性の甲高い悲鳴が路地の裏から響き渡ってきた。

距離としては、そう遠くない。俺は急いで、その声の方まで駆けつける。

が、そこにはもう誰もいなかった。あるのは物が雑多に置かれた暗い路地だけで、人影一つない。

「……遅かったか」

もう連れ去られてしまったあとだったのだろうか。
俺はとりあえず、【鑑定】の魔術をなして、あたりを調査する。

もし魔力を使っての犯行だったら、これを使うことで魔力の流れから行先を辿ることができる。

そして実際、どの方向に行ったのかはすぐに分かったのだけれど……その中には一部、魔術を使用したらしい跡があるのには驚いた。

使われたのは、【加重】だろうか。「重」の魔素が一点に集まっている。

が、あまりにも稚拙だったらしい。
魔術の使用痕から【探索】を使おうにも、他の魔力と混じってしまっていて、その特定までができない。

が、そこで切り替えた。
まずは、悲鳴をあげていた女性を助けるところからだ。

俺は【探索】魔術を利用して、魔力の流れを辿って、あとを追う。


そうして辿り着いた先にいたのは、肩を抱き合う男女だ。
一瞬間違いかと思うが、そうではない。男の方が魔力を使ったのはまず間違いない。

が、どう見てもただのカップルだ。

「どこ行くよ、次」
「えー、どうしよっかなぁ、あははは」

しかも、かなり泥酔していらっしゃる……。


襲われていると思ったのは、どうやら勘違いだったらしい。
たぶん、単にねずみでも見かけて、酔っているがあまりに女性が大声を出して、男性は対策として魔力を使った――とそんなところだろう。

俺はため息を一つついて、追跡を終了する。

その一方で考え始めたのは、魔術痕の件だ。
いったい誰がなんの目的で使ったのだろう。誰かが見様見真似で使っただけならいいのだけど……

そんなふうに考えながら夜道を歩いていたら、

「きゃあ!!」

と、今度は目の前から甲高い声が上がる。

なにかと思ったら、そこでは一人の女性が地面にうずくまっていた。
結構な薄着だ。

夜でもだいぶ温かい季節になってきたとはいえ、肩とお腹をさらけ出したその格好は、さすがに寒そうに映る。

「えぇっと?」

俺が戸惑っていたら、その女性はいきなり立ち上がり、こちらにずんずんと近づいてくる。

「アデル・オルラド教授ですよね、ファンです!!」
「あー……えっと」
「よければ、握手してください!!」

なんなんだ、これは。
思っているうちに、すでに手が握られている。
両手で包むようにして、しかもそれがふんわりと彼女の胸にあたっているのだ。

なにか恐ろしさのようなものを感じて俺が思わず手を引けば、彼女はさらにぐいぐい踏み込んできた。

「あー、嬉しいなぁ、本当にいたんですね~! 会えて幸せです~」

高く繕われた声でそう言われる。
やってることだけで言えば、教え子・フェルミと大差はないが、あちらは天然。こちらは作りものといった感じだ。

「そういうのは、親しい人とだけ行くと決めてるんです」

だから、こう断りをいれて、立ち去ろうとするのだけれど。

「えー、いいじゃないですかぁ。聞かせてくださいよ、お話。私の行きつけの個室バーがあるんですけど、どうですかぁ?」

なかなかどうして、引くということは知らない子らしい。
腕をぐいっと引かれて連れて行かれかけるから、俺はそこで仕方なく、【視認阻害】の魔術を利用する。

「え、どこ!? どういうこと!」

その女が明らかに戸惑っている隙に、俺はどうにか逃げおおせたのであった。

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