「異端者だ」と追放された三十路男、実は転生最強【魔術師】!〜魔術の廃れた千年後を、美少女教え子とともにやり直す〜

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三章 古の対峙

79話 その男、黒幕を追い詰める



こうしてフェデリカの助けも得た俺は、その場の魔物退治を衛兵たちに任せて、大元を叩くため、王都内を動き始めた。

移動しながら、まずは【探索】魔術を使う。

【探索】だけでは、瘴気と黒魔素との見分けはつかない。場合によっては、ビアンコをもう一度起こして【白鑑定】をする必要があるかとも思っていたが……

今度は明らかに一か所だけ、邪悪な反応が濃い場所があった。

「先生、見つけましたか」
「うん、ほぼ間違いなくね」

俺はリーナとともに、一直線にそこへと向かう。

途中から嫌な予感はしていたが、的中していた。
そこは王立第一魔法学校の学園内だったのだ。

俺もリーナも校門をまたいで、中へと入る。
その後も【探索】の感覚を頼りに進んでいけば、そこは教授棟だった。

扉に鍵はかかっていたが、非常事態だ。リーナが水属性魔法で強引に扉を破り、中へと突入する。

そして階段を駆けのぼり、俺たちが至ったのは、研究室棟の最上階だ。
そのフロアを貸し切っているのは、ほかでもない。

名誉教授であるシモーニだ。
彼は自身の椅子に座りながら、その片手では【魔物召喚】の魔術陣を利用している。

彼は吸っていた葉巻を空いた左手で取ると、俺たちを一目見て、高笑いした。

「誰かと思ったら、これから落ちぶれる魔術学の諸君じゃないか。よくここまでたどり着いたな、それだけはまず褒めておこう」

しわがれた声で、こう言う。

「もう分かっているだろうが、この事態を引き起こしたのは、私だよ。一連の事態は私がやったことだ。ただ残念ながら、これは君たちの仕業として新聞に載るだろうね」
「……魔術学を貶めるために、ここまでやったんだな」
「ご名答。さすが、王様にも認められるだけのことはある。そのために魔術を利用してやったのだ。ここから遠隔で、魔物を街に送り込めるのだ。貴様にもできなかろう?」

シモーニはそう言うと、その手に渦巻く【魔物召喚】の術式にさらに魔力を注ぎ込もうとする。

「やめなさい!!」

そこへリーナが水属性魔法を打ち込むのが、それはあっさりと弾き返された。

たしかに強力な魔術だ。正攻法では解除できまい。
俺は一度、リーナを制する。

「かかか、小娘。なかなか強力だろう、この特殊な魔術は」

その光景を見て得意そうに言うシモーニに、俺は一つため息をついた。

「……気づいていないのか。お前は、悪魔族にはめられただけだよ。シモーニ」
「なにを言っている?」

「悪魔族に唆されて、王都への魔物襲撃を実践したんだろう? あいつらはお前に罪を押し付けるために、そうさせたんだよ」
「……私に? ありえない。そんなもの証拠など――」
「ばっちり契約書は抑えさせてもらっているよ。これには、お前の印が押してあるうえ破棄もできない。たとえば俺たちをここで殺したところで無駄だ」

俺はそう言いながら、契約書を彼のほうへと見せる。
するとシモーニは慌てて立ち上がり、奪い取ろうとしてくる。

だからそこで、【加重】の魔術をその身体にかけてやった。
シモーニはそのまま床へと転ぶ。そこへリーナが剣を突きつけるのだが、【魔物召喚】の魔術は解けないままだ。

普通は術者の魔力が乱れれば解けるものだが……
もしかしたら、禁忌術であるせいで、術者の意思に関係なく作動しているのかもしれない。

「どうして、そこまで魔術を憎む」
「か、関係ない話だ! 私が築いてきた地位を貴様のような小僧に奪わせるわけにはいかないのだよ!!! いいから返せ、小僧!! くそ、動けぬ!!」

まったく呆れた情けなさだ。

地位を手にすれば人は、ここまで堕ちるらしい。その地位を堅持するために、民間人の犠牲だって厭わないという。

この一言はもはや決定的だろう。

「聞いたか、オレステ・オレンくん」

だから俺は後ろへとこう投げかける。
少し前から背中に、ただならぬ空気を感じていた。

たぶん彼は、ショートカットせずに正規の道でダンジョンから戻ってきて、その足でここまで来たのだろう。
自分の師の無実を信じて。

しかし、結果はこれだ。

彼の前で、彼が憧れた師は地面に這いつくばりながらも、自分の地位にしがみつこうとあがいている。
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