13 / 46
恋をしよう
お味はいかが(1)-2
しおりを挟む
取り敢えず佳亮は薫子の為にカレーを作ることにした。あわよくば一緒に料理をして、薫子が料理をするようになったら良いと思ったのだ。しかし、薫子は頑として部屋に座ったまま動かない。こういう図、故郷(ふるさと)の友達の家でも見たことあったけど、男女逆だったなあ、なんて思う。
「大瀧さん」
台所を見せようと佳亮が言うと、それ、いやだわ、と薫子が苦々しく言う。
「私、名前で呼ばれるのが好きなの。薫子って呼んで」
はいはい、そうですか。ではそのようにします。
「で、薫子さん、ちょっと見てみませんか、料理の仕方。少しでも知っておくと役に立ちますよ」
佳亮の呼びかけにも薫子は応じない。ラグに座ったまま、台所を見ている。
「良いのよ、日々の食事なんてお金を払えば食べられるんだもの。私は佳亮くんと違って食事にお金払えるだけの給料はもらってるから、そこには惜しまないわ」
他に趣味もないし。そう言って座ったままだ。佳亮が薫子に料理を体験させることを諦めて手早く準備を始めると、部屋から拍手が送られてくる。
「すごいすごい! そんなに早くみじん切りが出来るのね。私だったら指切るわ~」
何を自慢げに言っているんだろう。そう思いつつも手は勝手に動く。玉ねぎをみじん切りにし、ジャガイモ、ニンジンは乱切り。肉は角切りにして鍋に油を引く。先に肉に焼き目をつけると同時に旨味を閉じ込め、一旦出す。次に野菜を炒めて火が通ったら肉を戻す。水を分量通り入れてカレールウを投入。ルウは薫子が辛めがいいというので辛口のルウだ。くるくると割り箸で鍋をかき混ぜていると、テレビにゲームをつなげたらしい薫子が一緒にやらないかと声をかけてきた。
「煮込んでるので、そんなこと出来ません」
「なあんだ、つまんない。対戦するのが面白いのに…」
そう言いつつ一人でテレビ画面に向かっている。これでは女性宅というより子供の家だ。
「大瀧さん」
台所を見せようと佳亮が言うと、それ、いやだわ、と薫子が苦々しく言う。
「私、名前で呼ばれるのが好きなの。薫子って呼んで」
はいはい、そうですか。ではそのようにします。
「で、薫子さん、ちょっと見てみませんか、料理の仕方。少しでも知っておくと役に立ちますよ」
佳亮の呼びかけにも薫子は応じない。ラグに座ったまま、台所を見ている。
「良いのよ、日々の食事なんてお金を払えば食べられるんだもの。私は佳亮くんと違って食事にお金払えるだけの給料はもらってるから、そこには惜しまないわ」
他に趣味もないし。そう言って座ったままだ。佳亮が薫子に料理を体験させることを諦めて手早く準備を始めると、部屋から拍手が送られてくる。
「すごいすごい! そんなに早くみじん切りが出来るのね。私だったら指切るわ~」
何を自慢げに言っているんだろう。そう思いつつも手は勝手に動く。玉ねぎをみじん切りにし、ジャガイモ、ニンジンは乱切り。肉は角切りにして鍋に油を引く。先に肉に焼き目をつけると同時に旨味を閉じ込め、一旦出す。次に野菜を炒めて火が通ったら肉を戻す。水を分量通り入れてカレールウを投入。ルウは薫子が辛めがいいというので辛口のルウだ。くるくると割り箸で鍋をかき混ぜていると、テレビにゲームをつなげたらしい薫子が一緒にやらないかと声をかけてきた。
「煮込んでるので、そんなこと出来ません」
「なあんだ、つまんない。対戦するのが面白いのに…」
そう言いつつ一人でテレビ画面に向かっている。これでは女性宅というより子供の家だ。
0
あなたにおすすめの小説
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
煙草屋さんと小説家
男鹿七海
キャラ文芸
※プラトニックな関係のBL要素を含む日常ものです。
商店街の片隅にある小さな煙草屋を営む霧弥。日々の暮らしは静かで穏やかだが、幼馴染であり売れっ子作家の龍二が店を訪れるたびに、心の奥はざわめく。幼馴染としてでも、客としてでもない――その存在は、言葉にできないほど特別だ。
ある日、龍二の周囲に仕事仲間の女性が現れ、霧弥は初めて嫉妬を自覚する。自分の感情を否定しようとしても、触れた手の温もりや視線の距離が、心を正直にさせる。日常の中で少しずつ近づく二人の距離は、言葉ではなく、ささやかな仕草や沈黙に宿る。
そして夜――霧弥の小さな煙草屋で、龍二は初めて自分の想いを口にし、霧弥は返事として告白する。互いの手の温もりと目の奥の真剣さが、これまで言葉にできなかった気持ちを伝える瞬間。静かな日常の向こうに、確かな愛が芽吹く。
小さな煙草屋に灯る、柔らかく温かな恋の物語。
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!
みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!
杉藤千夏はツンデレ少女である。
そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。
千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。
徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い!
※他サイトにも投稿しています。
※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる