星は五度、廻る

遠野まさみ

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清泉皇帝

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「あっ、笑いましたね? でもあの冷徹な顔で『毒を盛られるかもしれぬものを、やすやすと口にすると思うな』、なんて言われてみてくださいよ。あの時部屋の空気が凍りましたね」

星羽を心配させるといけないので、冷帝が太刀先を麗華に向けたことは黙って置く。星羽は微笑んだままこう言った。

「陛下は常に気を張り巡らせているからそういう言い方になるのであって、決して悪気があるわけではないのですよ。朝も昼も晩も、一年中毎日毎日気を張ったまま生活するのは疲れるでしょう? だから後宮にもおいでにならないんです」

「そうなんですか……?」

麗華の疑問に星羽は静かに頷く。ふうん、そういうもんなんだ、と麗華は思った。

「でも、お話を聞いていただけて、ちょっとすっきりしました。流石に大っぴらに皇帝のことを悪く言うのは気が引けて……。星羽さまが良い人で良かったわ」

「あら、別に何も大したことは言ってませんよ」

「ううん。話を聞いてくださって、それに皇帝がどんなに大変な仕事なのか知らなかったから、教えて頂けて嬉しかったです。お礼に星羽さまの星を読みますね」

麗華が部屋から持ってきた星読みの道具を机に並べると、星羽は興味深そうにそれを覗き込んだ。星羽の前でサイコロを振って盤の上に転がす。すると天頂付近で大きな吉星が出た。

「まあ、これは素晴らしいわ。星羽さまは此処で大きな成功を収められます。きっと貴女が皇后さまになるのね」

「まあ、そんな良い星が?」

「はい! きっと星羽さまが清泉皇帝と一緒に国を治めていくんだわ」

あの冷たい冷帝にはこの星羽のような知識に溢れた女性がお似合いだ。
とかく后は音楽や舞が出来て居れば良いと言う人が居るようだが、皇后だって皇帝を支える身だ。知識があれば、国は良い方向に向くだろう。

「詞華国の未来は明るいわ」

にこにこと微笑む麗華に、星羽もまた微笑み返した。

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