3 / 15
第3話
しおりを挟む定食の量は程よく心地よい満腹感に満たされた2人は、腹ごなしがてらししゃもの販売所をうろつく。
むかわのししゃもは、すだれ干しという独自の方法で加工されており普段食べているのはカペリンという別の魚らしい。
ちなみに、生のししゃもは北海道でしか食べられない魚でノドグロやヒラメと並ぶ高級魚だそうだ。
前もって知っていたら、お寿司の感想や気構えがもっと変わっただろうに…。
次からは特産の食べ物くらいは下調べしようと考えながら、店にあるししゃもの説明書きをミナトは眺めた。
ちなみに配送も行っているようで、近郊に限らず北海道じゃなくても問題ないそうだ。
海外は専門外だから知らないけどと豪快に笑いながらオヤジさんが教えてくれた。
お互い一人暮らしの身。
珍しい物だ、別の場所にいる親や祖父祖母に送って親孝行でもしよう。
そう思い、2人は商品を見る。
オスのセット、メスのセット、オスメス両方入っているセット。
折角だから両方入っている奴を購入。
ミナトは祖父祖母に送る為にサラサラと住所を紙に記入する。
〝福島県〟
先に終えたオオダは、ミナトの書いている紙を覗き込む。
「ミナトのじーちゃん、ばーちゃんは道外にいるんだ。」
「そうだよ。
北海道らしいものを送れたから今日は来てよかったよ。」
配送をお願いした2人は店を後にする。
他にもお土産屋のような市場に向かった2人。
野菜やご当地お菓子とあったが、やはり目が行くのはししゃも。
ししゃもの加工品が目に止まる。
各自でししゃもふりかけや、ししゃも塩など個人の土産を見た後は…今夜の酒の肴を探す。
今回の宿は北湯沢。
生の物や加工が必要な物では酒の肴にはできないだろう。
いつになく真剣な表情で、市場内を物色するオオダ。
見事、彼女の目に止まったのは真空された火の通ったししゃもだった。
思っていた物が手に入り、満足げなオオダだったが…彼女に不安が起こる。
むかわ町は温泉も有名らしく、道の駅の直ぐそばにある宿にあるのだが…不安にも宿が改装中だったのかやっていないようだった。
「温泉…。」
「はいはい、次にいくよ。
ここから北湯沢は結構遠いからね。」
ミナトはしょんぼりするオオダの背中を押して車に戻る。
ちなみに、なぜ離れた場所の北湯沢を選んだ理由は一つ。
宿の特典だ。
「ミナト氏、なめ茸を頂こうぞ。」
彼女のその一言で全てが決まった。
行ったことのない場所だから非常に楽しみだ。
途中、ガソリンスタンドが見えたが…いつも行ってるガソリンスタンドではなくてミナトは見逃して進む。
「結構、走ったけど…ガソリン入れんでもぇえの?」
「大丈夫大丈夫。
苫小牧を経由するから、いつも言ってるガソリンスタンドの一つや二つあるでしょう。」
オオダの心配を他所に、ケラケラと笑って答えたミナト。
彼女は昔、苫小牧に住んでいた。
だからこそ、慢心してしまったのだ。
この後怒る悲劇も知らずに。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる