Nora First Edition

第五話

第5話 2

「馬鹿か！
普通、体を使うだろうが！！」


アイクは、とっさに出したキーウエポンで炎を振り払った。
アイクの後ろには、たまたまキーウエポンが収納されているスペースかあった。

台所にある包丁の収納スペースのようにたくさんのキーウエポンが刺さっている。


「いや、まさか使えるとは思わなくて。」


コーダは、苦笑いを浮かべてキーウエポンを肩に乗せた。
アイクも呆れた表情で、キーウエポンをしまうと崩れた白衣をなおす。

ベルはともかく、コーダはホープの発動は可能のようだ。



「とりあえず、ベルの目眩は一種の拒絶反応か？
コーダは、なんともなかったからどうだか。」



実験開始から体調が優れないのは、ベルだけ。
だが、ベルの0段が判明していないから基本のホープは使えてもベル自身の0段は使えない。


判明しているコーダの0段は、ゴーレムの召喚。




「失礼します、アイク様。
今日も訓練をお願いしますわ。」



ノックの音が辺りに響くと、シスターの格好をしたアンナが部屋に入ってきた。

アンナも当時は、ノラに入ったばかりで0段はおろか、ホープも使えない状態だ。


資料が足りなかったこの頃は、キーウエポンの研究が不可欠だったのでアイクが必ず訓練の指示を行って結果を記録していた。

「分かった。
コーダ、後は任せた。」

「はいはい。
こっちは、大丈夫だから…じっくりゆっくり訓練をしてろよ。」


アンナのキーウエポンと自分のキーウエポンを握って部屋を出ようとしたアイクは、扉をでる直前に振り替えってそういった。

コーダも腕を組んで、ニヤニヤしながら口を開く。



軽く舌打ちをしたアイクは、少し扉を強く閉めて部屋を出ていった。



「ユニークな方ですね。
コーダ様も…アイク様も。

他の方々も挨拶をしましたが、良い人ばかりでした。」



アンナは、天使のような笑みを浮かべてそういった。
アイクも、穏やかな表情でアンナを見つめ返す。

地下の訓練所につくと、二人は直ぐにキーウエポンを起動させる。



「偉そうに見てやるとは言ったが…俺は特化じゃないから上手く教えられる自信はないんだよな。

せめて、同じ心特化型のベルがいれば楽なんだけど。」

「呼ばれて出てきて、なんとやら。」



打合せでもしたのかっていう位のタイミングでヤスが訓練室に入ってきた。
キーウエポンを引きずるように入ってアンナの隣で停止する。

アイクは、その様子を腕を組んで見ていた。
その険しい表情のまま口を開く。


「お前には、休息という不調の体の調子を整えると言う最重要任務を与えたのだが？」

「は！
横になるのが暇すぎて、ついつい出できてしまいました隊長！」



鉄拳制裁。
その文字通り、隕石のような勢い良く降り下ろされた拳はビシッと敬礼をしベルの頭に命中した。

体調が悪いのが事実でもアイクが手加減をしている様子ない。


「ぎゃぁぁぁあ！」


あまりの痛みに頭を押さえながらベルは悲鳴をあげた。