Nora First Edition

鷹美

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第五話

第5話 9

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「よし、それじゃぁ俺とグレーズが先に行く。
カナは、最後に上ってきてくれ。
カナ、アンナが落ちそうになったら頼むぞ。」

「なんだよー。
こう言う時の俺だろー。

オッサンにも良いカッコさせろよー。」



アイクがそう言うと、グレーズは急に子供のように騒ぎ始める。
アイクはそれを無視しながら梯子をあがった。



グレーズは、怨めしそうにアイクを見たあとにカナをチラリと見る。



「嬢ちゃんだって、もし仮にアンナちゃんが落ちたら危ないでしょ。」

「ご安心ください。
こう見えて自分は、力仕事は得意です。」




フンスと息を上げて、右手でトンッと胸を叩くカナを見たグレーズは、ため息をついた後にゆっくりと梯子を上がった。

グレーズの様子をみたカナは、首をかしげるとアンナの後を追って上に上がっていく。




「結構な高さがあるな。
全音、無闇に下を向かないようにしてくれ。」


アイク自身も下を見ないようにして、そう言った。
高所恐怖症でなくとも、かなり神経を削られるという事なのだろう。


「アンナ殿、疲れましたか?
もし疲れたなら自分が支えるので休んでみませんか?」

「いえ、大丈夫ですわ。
私だってノラの一員。

この位、やり遂げて見せますわ。」

地図通り、梯子を上がると予定していた部屋に到着した。

あまり使われることのない倉庫。
一日一回の備品確認位にしか獣がこない場所だ。




「ここまでは、予定通りだが気を抜くなよ。
ここからが、本番だ。


退路を確保したゴーダ達と合流し、苗床を救出する。
先ずは、合流予定である裏口に向かうぞ。

俺とカナが先導する。
グレーズ、最後尾を頼んだぞ。」


「あいよ。」




アイクたちは、裏口に向かって歩き出した。
防犯カメラをくぐり抜け、騒がれそうな獣をアイクが速やかに殺す。


このメンバーはジュリのようにサイレンサーなどの消音装備がされていないため、獣を殺すときは、アイクが気絶させて肉体強化したグレーズが首を一気に締め上げる連係でやっている。

そして、死体を物陰に隠して前進の繰り返し。



「…んで、ここか?」


「あぁ。
ここが、コーダ達との集合場所。

俺のキーウエポンが反応しているから、もう少しで合流できる。」



アイクのキーウエポンのみノラの隊員のキーウエポンから情報を読み取れる。
情報と言っても、持っている人間と現在の場所くらいだが。



裏口がゆっくりと開かれると、獣の鎧を着たコーダ達が現れた。



「おっふ、攻撃されると思ったけど案外…気づかれるもんなのか?」

「お前、ほんとメガネだな。
アイクのキーウエポンにセンサーが搭載されてただろ。」



合流したコーダ達は、獣の鎧を脱ぎ捨てるとアイク達にこれまでの経緯を話した。


まず、入り口と警備は完全に制圧済み。
住民と見逃した見回りに気づかれない限り、騒ぎになることはないだろう。


そして、コーダとジュリの合わせ技により退路の確保がされていること。


「さて、状況がまとまったな。

一応、予定通り…ってことだ。
苗床の救出が出来次第、速やかに素敵ハウスに帰るぞ。」


「なー、アイク。
いい加減、素敵ハウスなんてメガネみたいな名前は止めない?」



そんなやりとりをしながら、苗床が拘束されている部屋に向かう。

すると、警報が響き渡る。



侵入者発見。
速やかに拘束及び駆除をせよ。




そんな機械音が何度も繰り返されていた。




「…っち。
俺達の存在がバレたか?」


「いたぞ、人間共ダ!
オスは殺せ、メスは捕まえロ!!」



警報がなって直ぐにアイク達は、見つかった。
正面から、小数の獣が走ってくる。


アイクは、舌打ちをするとキーウエポンを銃形態に変形させて獣達に向ける。


“技の1段”


銃口から、火弾を獣に向かって乱射する。




「撤退だ!
俺達は殺されに着た訳じゃない。

エグザス、退路を開け!
ヤスはエグザスの、グレーズはコーダの補助を!


コーダ、獣の進路を塞げ!!」



「わかった。
2秒後に攻撃を止めて。」



コーダは、そう言うとキーウエポンを杖形態に変形させる。



“心の0段”


コーダは、キーウエポンを壁に当てると壁が道を塞ぐように出現した。
恐らく、キーウエポンの当てた壁の厚さを減らして作ったものだろう。



「俺に続け。」


エグザスの一声で、他のメンバーも走り出した。
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