Nora First Edition

鷹美

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第五話

第5話 32

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「ッチィ!
ヒョロヒョロノモヤシノ癖ニィィイ!!」


「いやいや、体つき関係ないから。」



“技の1段”



ベルは、キーウエポンの先端に炎の刃をためてキーウエポンを振って飛ばす。

鎧は、ベルの放った炎の刃を避けようともせず真っ直ぐに飛んでいく。


火の刃を体当たりで打ち破ると、緑色の双眼を光らせてベルを見る。


「突貫!!
今度コソ砕ケ散レモヤシィィィイ!!」


「この、脳筋やろうめ…。」



その瞬間、鎧に目掛けて大きな壁が飛んできてぶつかり鎧を左へ殴り飛ばす。
コーダが隙をみて、支配していた外壁の帯をぶつけてくれたようだ。


壁にぶつかった鎧はそのまま、地面落ちていく。



“技の4段”



ベルは、その隙を逃さないように雷を鎧に落とした。


「ァアアアア!!」




「…ん?
お前…。」



ベルが何か言いかけた時に、鎧の周辺が火の海に変わる。

炎は、鎧を守るように渦巻きヤスを遠ざけていく。




「何ヲ呆ケテイルノダ。
コノ愚図ガ!」




鎧の前に炎を掻き分けて、一体の獣が現れた。
フードをかぶり、仮面を着けた獣が。



「おいおい、仮装パーティかよ。」



ベルは、苦笑いを浮かべて二匹との距離をあける。

辺りの炎をみると仮面の方も森羅万象使い。
それを考えてしまったベルは、思わずため息をつきはじめた。



「…ッ!!
邪魔スンナヨ、アイアン短気!

マダマダ、コレカラナンダッ!!」

「黙レ、愚図。
自分ノ力量モ知ラナイデイルカラコンナ目ニ合ッテルノダロ?」



仮面は、右手を肩の高さまで上げると炎を集める。
すると、1本の立派な大剣か出現した。


まるで、金属から作られたような剣だ。



“炎生む剣〔ほのおうむつるぎ〕”




「え?
主原料は、炎だよね?」

「見タ目ナド、記号ヤ性別ヨウナモノダ。

大切ナノハ、性能ダ!

覚悟シロ、モヤシ!!」




“炎纏う風〔ほのおまとうかぜ〕”





仮面は、大剣を交差させるように大きく振る。
すると、エックス状の斬撃が飛んできた。


シオや、エグザスが使うものよりも遥かに早い。


ベルは、とっさに一番を抱えて高くジャンプした。




仮面の斬撃は正確にベルのいた場所を通り過ぎゴーレムを破壊した。




「ソノ状態デハ、次ハ防ゲマイ。」


「ここは、仮装パーティーじゃないんだ。

他所でしてくんない。」



コーダは、仮面の真上に向かって急降下してそう言った。

キーウエポンに外壁を集め大剣に変えて。




“心の0段 シュヴェルト”



仮面の鎧は、コーダの落下攻撃をゆったりと回避するとコーダに左手を向ける。




「先生トノ戦イハ見テイタ。
ソノ技ノ効果ナド把握済ダ!」



“炎這う大地〔ほのおはうだいち〕”


仮面は、さっき鎧を守った炎を自分の周囲に展開させた。
そしてコーダを包み込むようにその炎を操る。
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