Nora First Edition

第十四話

第14話 10

ーサヤ、ベル、シオsaidー


放送は聞こえないものの、何やら大きな歓声が響いた。
恐らく放送局のメインコンピューターをラグエルが破壊したからだろう。


その夜、四人は動いた。



「…それでは…我々も動こうではないか。

サヤ君、あそこにいる2匹の獣を狙撃できるかな？」

「はい、問題はありません。」



サヤは、キーウエポンをライフルのような形状に変える。


“技の4段”


放たれた雷の閃光は、一瞬だけ光ると獣を正確に撃ち抜いた。


“シン”


ニースは、満足げな表情を見せると直ぐに転移して騒ぎを見に来た獣を杖斧で斬り裂いた。

そして、杖斧の柄で地面を突く。


金色のオーラが杖斧から、放たれて地面に広がる。



“クァン”


光は直ぐに広がって直ぐに消えていったが、ニースは満足気頷いた後に手を空に上げる。



「私に力を貸して欲しい、森羅万象よ！！」



ニースの右頬にタトゥーが浮かび上がった。
そして、左手で地面を触る。


「我が戦士達よ。
そこを動かないで欲しい。」




“メイクェイハー”



ニースの掌から魔法陣が出現し、そこから地面が突き出て荊のような物がそれを支える。
それは、形を組んでいき簡易な砦になった。



「私の声が聞こえるか！！
これより、ここを我らの拠点にする！！

ホープを扱える者もいる、怪我人は此方に…闘えるものは…私と来い！
さぁ、反撃の時だ！！

行くぞ、我が戦士達よ！！」


ニースは、砦の屋根に上り杖斧を翳してそういった。


“イェン・ロン”


ニースは、杖斧の先端に炎を溜めると振り抜いて炎を放つ。
放たれた炎は、龍の形になり砦な近づいてきた獣達を瞬く間に飲み込んでいく。


その様子にシオは、ポカーンと見るしかなかった。



自分達の使う技術の次元が違うのだ。
サヤやアリエスよりも…もっともっと遥か高みのほうの力。


“チン”


ニースは、杖斧から赤い雷を放ち肉体を強化する。
サヤと同質の赤い雷だ。


「さぁ、ついてこい！」

ニースは、そう言うとバネのような力の流れで足に力を入れて跳躍した。




颯爽とビルを渡って行くニースの姿をベルは、呆れ顏で見ている。


「おいおい。
あんなパワフルな王様とか見たことねーよ。」

「そんな事は言わないの。

サヤさんは、ニース様の後を追うからヤスとシオは砦にいて。
救護班とノラの目印をお願い。」


サヤは、そう言うとニースの後を追っていった。