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第十五話
第15話 13
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「貴方は…私達の味方…って考えていいの?」
「…さぁ?
敵味方なんてその時で変わるだろう。
些細な事で敵対し、そして仲間になる。
世の中ってそんなもんだろ?
ま、縁があれば…会いましょうや。」
そしてティアの頭をポンポンとすると、姿を消した。
何処か名残惜しそうに。
「…ニース様は彼について、何か知っているんですか?
水の探知では間違いなく人間でした。」
「…私が正せなかった先代が犯した沢山の過ちの一つ。
恐らく…生きたインフィニティの生き残りだろう。
資料は隠蔽によって失われて、詳細は分からないが肉体強化もせず神話継承の類でないのであれば…あれ程の立ち回りができる人間はそれしか思い浮かばない。」
彼が使っていた力は間違いなく森羅万象のみ。
他に力を行使した様子はない。
しかし…アリエスでさえ、あそこまで精密な行使はできない。
まるで、コンピュータが扱っているかのようだった。
「何にせよ、自分たちを守ってくれた事実はかわりません。
そうでしょ、ティア殿?」
カヤは、そう言うとゆっくりと起き上がった。
あの戦闘で無事だったのは、彼がさりげなく攻撃を晒していたからだそうだ。
ただ、長く伸びた髪はボロボロになっていた。
グラムとの戦いのせいだろう。
「ニース様…いや、ニース殿。
貴方は、腑抜け過ぎです。
そんなんじゃ、エグザスに殺されてしまいますよ。
自分は、貴方の命になど興味はありません。
奪う気も助ける気もないです。
ここで好きなだけ、ウジウジしててください。
ただ、共に戦う気があるのならきてください。」
ニースは、カナの問いに答えずにただ下を向いて俯く。
カナは、ボサボサになった髪をワシャワシャと掻くとニースに何も言わずに歩き出した。
「行きましょう、ティア殿。
アイク殿達が心配です。
…確実に出来ることからやりましょう。
助けられる者も…助けられなくなる。」
そう言ったカナはきっと、サヤの事をかんがえているのだろう。
「カナちゃん…。
出口は逆だよ…。」
だけど、やっぱりカナだった。
いつも何処かでぬけている。
だけど、そんないつものやり取りはティアの何とも言えない不安感を拭うには十分だった。
りんごのように顔を真っ赤にさせたカナは、やれやれと深く息を吐き出す。
「アイク殿達に追いつけばいいのですが…。」
「…今、そこから出るのはやめておくといい。
先ほどのセカンド…いや、ベレアスか。
二人が君たちの使った通路を塞いでいる。
わずかな水や光を通さない闇の壁だ。
…私の後ろに出口がある。
そこから出るといい。
時間と労力がかかるが、二人で周囲を探知しながら進んでいった方が安全だと思う。」
ニースはそれだけを告げると、また静かになった。
今度は俯いたまま、眠りについたようだった。
ニースも神話継承をつかって、効果の高い探知が行える。
それを信じて進むと、ニースの言う通り時間はかかったが無事に素敵ハウスに戻れた。
だが、素敵ハウスは無残にもボロボロになっていて中には誰もいなかった。
ここで会う、その約束のためだけにカナはここを再開の日まで守り続けた。
「…さぁ?
敵味方なんてその時で変わるだろう。
些細な事で敵対し、そして仲間になる。
世の中ってそんなもんだろ?
ま、縁があれば…会いましょうや。」
そしてティアの頭をポンポンとすると、姿を消した。
何処か名残惜しそうに。
「…ニース様は彼について、何か知っているんですか?
水の探知では間違いなく人間でした。」
「…私が正せなかった先代が犯した沢山の過ちの一つ。
恐らく…生きたインフィニティの生き残りだろう。
資料は隠蔽によって失われて、詳細は分からないが肉体強化もせず神話継承の類でないのであれば…あれ程の立ち回りができる人間はそれしか思い浮かばない。」
彼が使っていた力は間違いなく森羅万象のみ。
他に力を行使した様子はない。
しかし…アリエスでさえ、あそこまで精密な行使はできない。
まるで、コンピュータが扱っているかのようだった。
「何にせよ、自分たちを守ってくれた事実はかわりません。
そうでしょ、ティア殿?」
カヤは、そう言うとゆっくりと起き上がった。
あの戦闘で無事だったのは、彼がさりげなく攻撃を晒していたからだそうだ。
ただ、長く伸びた髪はボロボロになっていた。
グラムとの戦いのせいだろう。
「ニース様…いや、ニース殿。
貴方は、腑抜け過ぎです。
そんなんじゃ、エグザスに殺されてしまいますよ。
自分は、貴方の命になど興味はありません。
奪う気も助ける気もないです。
ここで好きなだけ、ウジウジしててください。
ただ、共に戦う気があるのならきてください。」
ニースは、カナの問いに答えずにただ下を向いて俯く。
カナは、ボサボサになった髪をワシャワシャと掻くとニースに何も言わずに歩き出した。
「行きましょう、ティア殿。
アイク殿達が心配です。
…確実に出来ることからやりましょう。
助けられる者も…助けられなくなる。」
そう言ったカナはきっと、サヤの事をかんがえているのだろう。
「カナちゃん…。
出口は逆だよ…。」
だけど、やっぱりカナだった。
いつも何処かでぬけている。
だけど、そんないつものやり取りはティアの何とも言えない不安感を拭うには十分だった。
りんごのように顔を真っ赤にさせたカナは、やれやれと深く息を吐き出す。
「アイク殿達に追いつけばいいのですが…。」
「…今、そこから出るのはやめておくといい。
先ほどのセカンド…いや、ベレアスか。
二人が君たちの使った通路を塞いでいる。
わずかな水や光を通さない闇の壁だ。
…私の後ろに出口がある。
そこから出るといい。
時間と労力がかかるが、二人で周囲を探知しながら進んでいった方が安全だと思う。」
ニースはそれだけを告げると、また静かになった。
今度は俯いたまま、眠りについたようだった。
ニースも神話継承をつかって、効果の高い探知が行える。
それを信じて進むと、ニースの言う通り時間はかかったが無事に素敵ハウスに戻れた。
だが、素敵ハウスは無残にもボロボロになっていて中には誰もいなかった。
ここで会う、その約束のためだけにカナはここを再開の日まで守り続けた。
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