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プロローグ
プロローグ9
しおりを挟む自分達の周りの敵を一掃すると、椿は蓮の元に走りだす。
はぐれた後の合流だ、普段なら小言の1つや2つ飛ばす椿だったがこの事態では心配そうな表情で蓮を見ていた。
「父上!
ご無事でしたか。」
「おう、心配をかけたのう。
して皆は無事か?」
迷子になった挙句、娘に心配されるとは情けないことをした…。
蓮は心の中で少し反省すると、できるだけ明るい笑みで椿に返事をした。
剛も一段落したようで斬馬刀を背負いなおし、椿のあとを追うように歩いてきた。
二人の安否が確認できると、蓮が現状の事を話そうと口を開いたら自分達と逆の方向から金属音が響く。
恐らく、小屋の裏手を守る大介の戦闘が始まったのだろう。
きっかけは恐らく蓮が出した爆音。
向こうの守りは一人。
素早く動ける蓮は、剛達に賊の拘束と入り口の守りを任せて大介の所に向かって走り出す。
距離は離れていない為、すぐに大介の元にたどり着く。
守護者を名乗るだけあり、大介も手練れ賊に後れを取っている様子はなかった。
鉄の棍棒を握り、一対多数にもかかわらず賊の相手をしている。
辺りには棍棒の餌食となり殴り飛ばされた賊が木にもたれかかっていたり倒れていたりしているが、今相手をしている敵は一味違うようで大介は防戦一方だった。
蓮は、助太刀をするためにそのまま加速するして賊を殴ろうとトンファーを振りかぶるが…それはあっさりと避けられてしまう。
そして避けた動きをそのまま利用して二人から距離を開ける。
賊は小柄で、両手に2本の小太刀を握っており距離を開けてから足を少し屈ませていつでも斬りかかれる体勢を維持していた。
蓮は、大介の前に出るように立つと背中越しで声をかける。
「大介殿、無事か?」
「蓮殿…助かった。
他の賊は蹴散らしたのだが…奴は倒しきれなかった。
とにかく素早くて小回りが効く。
私とは相性が悪過ぎる。」
そう話していると、賊は話の隙を狙ってから再び攻撃を始める。
蓮も直ぐに対応するように賊に向かって走り出した。
賊はそのまま勢いに任せて、小太刀を振り回す。
蓮はそれをトンファーで弾いていく。
確かに速さは目を見張るものではあったが、力任せの軌道が丸わかりの攻撃と1発1発の攻撃がとても軽い。
武器を持たされた完全の素人だろう。
それが分かると蓮は、賊の攻撃に合わせてトンファーで小太刀を殴り刃を砕く。
武器を破壊されて驚いた賊の隙を逃さずにそのままトンファーで手を殴り使い物にならなくなった小太刀を手放させてそのまま蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされた賊はそのまま仰向けに倒れ、蓮は動きを止めるように仰向けに倒れた賊の胸らへんを右足で踏んだ。
「貴様の負けだ。
大人しくしていれば命まではとらん。」
蓮が賊を拘束したのを確認した大介は、先に自分の倒した他の賊達を拘束する。
棍棒で殴っていた為に、重症であっても死者は出ていなかった。
今までも何度も、同じことがあったのだろう手慣れた手つきで順番に賊達を拘束していく。
結託して逃げられないよう、間隔を開けて拘束した賊達をまとめると蓮が抑えている賊に向かっていった。
まずは、先に大介は自分の手を使い賊の手を拘束。
「大した怪我をさせてはいない。
まずは、話を聞かせてもらおうか。」
トンファーを袖にしまった蓮は、そのまま賊の顔を隠している布を剥ぎ取った。
賊の顔をみた蓮と大介は驚いた顔をみせた。
なぜなら、その賊は東よりも幼い子供だったからだ。
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