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第一話
第一話 18
しおりを挟む「そろそろ、打ち込みも終わりにしようか。」
優はそういうと、反撃にでた。
籐麻の両手の竹刀をいなした後に、両手の手首を狙い竹刀を落とさせた後に東の所まで向かい東の竹刀を足元までいなして足で踏みつけて、右手の竹刀を東の首元で寸止めする。
「東様は、急に攻められるとダメだね。
攻められた時の方がチャンスを狙いやすい。
今後、大介と訓練する時は受けの練習をするといいかな。」
そういうと優はゆっくりと東から離れていき、体をうーんと伸ばした。
そして、籐麻を見る。
「籐麻は、脚力以外の基礎能力が低いみたいだから筋トレを怠らないようにしてね。
今後も僕と同じように両手を使って戦うなら特に腕を重点的に。
そうだね…今度、剛と一緒にやるといいよ、僕からも言っておくから。」
訓練を終わらせようと、その場を離れる蓮の腕を東は掴んだ。
掴まれた優は後ろを振り返り、不思議そうに首を傾げて東を見る。
「もっと訓練に付き合ってはくれないか?」
焦りにも似たその様子に、優は東の手を優しく自分の手から外して、東の目線に合うようにしゃがむ。
早く強くなりたいと焦る姿は何処か懐かしい感じがする。
微笑ましくもあるが、東にとっては必死になってやっていること。
大人として、しっかりの聞こう。
そう考えながら、優はゆっくりと口を開いた。
「東様はどうして、そんなに焦っているのかな?」
「…余は、父上のように1人では戦えない。
強かった父上でさえ、負ける時は負けたのだ。
今、同盟を組んでいる者で強い剣士がいるのだ。
離れる前に可能な限り、力を集めておかなければ…家族である民を守れない。
余に遠慮はいらん、もっと…打ち込んでくれ。」
東はそういうと、優から少し離れて竹刀を両手で握った。
娘のお土産は買えそうにないかな。
そう考えた優は、ふぅ…と息を吐き出すと覚悟を決めたのか竹刀を両手で握る。
「籐麻、先に帰って皆に遅くなると伝えてきてくれ。」
藤麻がいなくなるのを確認すると鋭い眼光で優は、東を見る。
東は、無意識に威圧する優から少し離れていた。
しかし先ほどの覚悟は本物のようで、下がった分足を進める。
「東様が本気なら僕も本気で相手をしよう。
怪我の覚悟はいいかい?
君は四大もつかっていい。
君の本気の力を見せておくれ。」
優の言葉を聞いた東は竹刀を強く握り直すと、優に向かって走り出した。
これは、蛮勇なのかそれとも…。
優は東の動きに注意しつつ、自分の反対側まで押し返した。
押し返された先は、川の側。
なるほど。
東の行動に納得した優を他所に、東は竹刀の先を川に浸けた。
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