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外伝 東野
外伝 東野8
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岬が完全に息を引き取った頃、東を追ってきた大介が現れた。
「…若、御無事ですか?」
辺り一面に広がる血痕。
息絶えた岬と岬に抱かれている東。
全てを察した大介は、恐る恐るそう声をかけた。
東は、名残惜しそうにゆっくりと岬から離れると大介の方に振り向いた。
「…〝余〟は無事だ。」
初めて東が自分の事を余と言った瞬間だった。
色々と思うことのある大介だったが、ここに来た理由を口にした。
重鎮である岬の守護者の1人が裏切ったと。
そして、その裏切りと今までの岬の低落っぷりに呆れた残りの守護者2人も城から出て行ったと言う。
出て行った2人は、溜まっていた物もあったようで荷物は既にある程度纏まっていたそうだ。
東は、顔に付着した血と雨を拭うと岬の腰から鞘をとって自分の腰にさした。
そして、創地と戦った場所にあった刀を拾い鞘に収める。
「分かった。
直ぐに向かおう。
出て行った守護者は追わなくてもよい。
我々が不甲斐なかったせいだ、彼らを責めるつもりはない…だが災いを呼び込まれても困るから二度とこの地を踏ませるな。
余は、裏切った者は許しはしない。
…大介、力を貸してくれるな?」
「はっ!
この命の限り、東様の力となりましょう!」
堂々とした姿に大介は武者振るいを起こすと、力づよく膝跨いだ。
そして、東が歩き出したのを確認すると立ち上がりあとを追った。
街の方までつくと、ボロボロにやりながら民を守る門番の2人がいた。
裏切り者は、守護者だけではなくその部下も同じようだった。
「〝左近(さこん)〟、〝右京(うきょう)〟!」
門番の2人の名前を東は叫んだ。
顔に大きな傷のある左近。
そして、そして伊達男の右京。
左近は大きな盾と小太刀を、右京は細身の槍を携えて戦っていた。
その声に2人だけではなく、ほかの侍も反応した。
「お前達も裏切るのか…。
裏切るだけではなく、守るべき民のに刃を向けるとはどういうことだ?」
そう裏切り者の2人にビリビリと圧をかける東。
その姿に左近は喉を鳴らし、右京は頼もしそうに頬を緩ませた。
裏切り者の言い分はこうだ。
ここ最近の岬の態度は目に余る物があった。
命をかけ守るに値しない。
だから、領主として器のありそうな別のものについた。
…おそらく今日来た侍に唆されたのだろう。
自分達と他の侍との差というやつを。
「確かに、他の地の侍と比べると待遇に差があるとは思う、それは致し方ない。
器がないと不安にさせたのは父の責任だ。
…だからといって、いままで命をかけて守ってくれたお前たち臣下を蔑ろにした覚えはない。
父は低落したとはいえ、この東野で民やお前の自由を尊重し…生活を可能な限り豊かにしてきた筈だ。
それに、、。」
東はチラリと左近と右京が守っていた民を見る。
2人が懸命に守っていた為に怪我はしているものはいても、死にいたる大怪我や死者はいないようだった。
怪我に怯える民に、怒りで拳に力がはいる。
「器に自信のあるものは、弱きものを蔑ろにしない。
民は力がないから武器をとらないのではない…沢山の人の生活を守る為に農具をにぎっているのだ。
誰かに与えられた力に溺れ、驕るものを余は許さない。」
「…若、御無事ですか?」
辺り一面に広がる血痕。
息絶えた岬と岬に抱かれている東。
全てを察した大介は、恐る恐るそう声をかけた。
東は、名残惜しそうにゆっくりと岬から離れると大介の方に振り向いた。
「…〝余〟は無事だ。」
初めて東が自分の事を余と言った瞬間だった。
色々と思うことのある大介だったが、ここに来た理由を口にした。
重鎮である岬の守護者の1人が裏切ったと。
そして、その裏切りと今までの岬の低落っぷりに呆れた残りの守護者2人も城から出て行ったと言う。
出て行った2人は、溜まっていた物もあったようで荷物は既にある程度纏まっていたそうだ。
東は、顔に付着した血と雨を拭うと岬の腰から鞘をとって自分の腰にさした。
そして、創地と戦った場所にあった刀を拾い鞘に収める。
「分かった。
直ぐに向かおう。
出て行った守護者は追わなくてもよい。
我々が不甲斐なかったせいだ、彼らを責めるつもりはない…だが災いを呼び込まれても困るから二度とこの地を踏ませるな。
余は、裏切った者は許しはしない。
…大介、力を貸してくれるな?」
「はっ!
この命の限り、東様の力となりましょう!」
堂々とした姿に大介は武者振るいを起こすと、力づよく膝跨いだ。
そして、東が歩き出したのを確認すると立ち上がりあとを追った。
街の方までつくと、ボロボロにやりながら民を守る門番の2人がいた。
裏切り者は、守護者だけではなくその部下も同じようだった。
「〝左近(さこん)〟、〝右京(うきょう)〟!」
門番の2人の名前を東は叫んだ。
顔に大きな傷のある左近。
そして、そして伊達男の右京。
左近は大きな盾と小太刀を、右京は細身の槍を携えて戦っていた。
その声に2人だけではなく、ほかの侍も反応した。
「お前達も裏切るのか…。
裏切るだけではなく、守るべき民のに刃を向けるとはどういうことだ?」
そう裏切り者の2人にビリビリと圧をかける東。
その姿に左近は喉を鳴らし、右京は頼もしそうに頬を緩ませた。
裏切り者の言い分はこうだ。
ここ最近の岬の態度は目に余る物があった。
命をかけ守るに値しない。
だから、領主として器のありそうな別のものについた。
…おそらく今日来た侍に唆されたのだろう。
自分達と他の侍との差というやつを。
「確かに、他の地の侍と比べると待遇に差があるとは思う、それは致し方ない。
器がないと不安にさせたのは父の責任だ。
…だからといって、いままで命をかけて守ってくれたお前たち臣下を蔑ろにした覚えはない。
父は低落したとはいえ、この東野で民やお前の自由を尊重し…生活を可能な限り豊かにしてきた筈だ。
それに、、。」
東はチラリと左近と右京が守っていた民を見る。
2人が懸命に守っていた為に怪我はしているものはいても、死にいたる大怪我や死者はいないようだった。
怪我に怯える民に、怒りで拳に力がはいる。
「器に自信のあるものは、弱きものを蔑ろにしない。
民は力がないから武器をとらないのではない…沢山の人の生活を守る為に農具をにぎっているのだ。
誰かに与えられた力に溺れ、驕るものを余は許さない。」
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