コバナシ

鷹美

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外伝 万屋

外伝 万屋 3

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「テメェらが、万屋ってやつか?」


花街に着いた普斎達を迎えてくれたのは、明るい茶髪をした男だった。
名前は、紙に書いてある。


「お前が案内人の“プロト”ってやつか?」

「そうだ、詳しい話は…あのバカがしてくれるからついてこい。」


プロトについていくと、普斎と籐麻が初めて会った広場にたどり着いた。

プロトが辺りを見回した後に舌打ちを響かせているのを見ると詳しい話をする相方が不在なのだろう。


「貴方はヨウって名前をご存知?」

「ぁあん?
…いや…知らねーが、誰だソイツ。」


前にあったファウストと風貌が似ているから試しに聞いてみたら、彼も知らないらしい。
しかし、口は悪いが聞いたことはちゃんと答えてくれるようだ。

何かの縁だから聞いては見たけど、知った所で会う手段もないか。


などと考えていると、後ろから声が聞こえた。


「あら、貴方たちが万屋さんかしら。
遅れてごめんなさい。」



ウフフと上品に現れたのは、紫色の長い髪を大きな三つ編みにしたピオだった。
籐麻達と出会った時とは違い、踊り子のような格好をしている。


「おせぇぞ。」

「うふふ、ごめんなさい。
殿方達が逃してくれなかったんですもの、でも安心してやる事はやったから。」


豊満で女性的な体つきで、その美貌だ放っておく金持ちの男はいないだろう。

やる事はやったと言う事は、無事に依頼を受けれるようだ。
プロトはため息をついてポケットから一枚のメモ紙を取り出した。
荒々しい態度に反して、ポケットから取り出された紙はシワ一つなく綺麗に折りたたまれている。



「テメェらには、ここにいるお貴族様を始末してほしい。

俺は、ここにいるお貴族様の始末をする。


この女は、俺達の依頼主とアリバイ作りだ。
詳しいことは渡した紙にかいてある。」


「一応聞きたいが、もし俺達が裏切ったら?」


随分と度胸がいる質問だ。
ゲラゲラと高笑いした後に、プロトは不適な笑みを浮かべる。


「テメェが裏切っても変わらない、纏めて始末するだけだ。

ぁあ、そうだ別に足は引っ張ってくれても問題ねぇーぞ。
元々、俺だけでもこなせる仕事だし…何より尻拭いには慣れてる。」



プロトはそう言って、裏路地の中に消えていった。

紙にかかれた内容はシンプル。
街全体の注意を引くから、その瞬間に紙にかかれた場所にいる要人を暗殺するだけ。


「まぁ、俺達もやる事は変わらない。
いくぞ。」

普斎はそう言うと、プロトとは反対側の道を歩く。
目指す場所は温泉街の奥だ。
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